課題解決にコミットする医療コミュニケーション_濵田真理子_04

歯科医院経営において、スタッフマネジメントに課題を抱えている先生方は多いと思います。

今回は、医院スタッフをまとめる歯科衛生士チーフの人選に失敗してしまった事例をお伝えします。

医院の状況

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(画像=pixta)

以前のチーフは、人格者でスタッフに人気でした。

サブチーフもスタッフからは人気もあったので、人格者のチーフ退職後、そのままサブチーフをチーフに就任させました。

すると半年間で、7名のスタッフたちとの関係がギクシャクしてしまい、それぞれにヒアリングをすると以下のような声が挙がりました。

  • チーフが気に入っている人だけをかわいがる
  • チーフより仕事ができるスタッフに、嫌味を言ったりいじめたりする
  • 感情の起伏が激しいので、スタッフ全員がチーフに何も言えない
  • チーフ自身は自分のことが好きなので、スタッフが自分を褒めないと不機嫌になる

新チーフになったことにより、「彼女が良いと言えば良い、ダメと言えばダメ」という組織になってました。

とにかく彼女が不機嫌にならないよう、常に皆がご機嫌取りをするようになっていました。

院長が何か言っても「そんなの無理」「人が足りない」「うちは忙しい」などネガティブな発言が多すぎて、組織の雰囲気も悪くなってしまいました。

M’s MODEL【人格者と残念人の7つの特徴】

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(画像=pixta)

人格者だった旧チーフとと残念人な新チーフ、それぞれどこが違うのでしょうか。

態度にあらわれる特徴を整理してみました。

人格者(旧チーフ)残念人(新チーフ)
1誰に対しても平等(評価は公平、対応は平等に)好き嫌いがある(好きな人を異常に褒める)
2偏見がない(常にフラットな視点で人と関わる)色眼鏡でみる(自分より能力が高い人に怯えていじめる)
3いつも穏やか(人がリラックスする)起伏が激しい(人に気を使わせる)
4仲間のために努力する(難しい仕事を)自分のためだけに頑張る(楽な仕事を優先して取る)
5臨床の知識が豊富(医院で必要なものは全て網羅している)自分の事しか興味ない(医院必須でなく自分が好きな事を優先する)
6責任感がある(最後まで仕上げる、人のせいにしない)無責任なところがある(やりっぱなしでこちらにおしつける)
7自慢しないのに人に慕われる雰囲気がある(スタッフをよく見ていて認めて育てる)その人を慕わないといけない雰囲気を出す(「チーフ凄いですね」と言わないといけない)

歯科医院が成功するチーム医療

チーム医療が「成功しているケース」と「成功していないケース」に分かれるのには、色々な原因があります。

特に、「リーダー(チーフ)の選択ミス」で、組織が崩壊するケースは珍しくありません。

CASE1:他の医療機関でリーダーだった人を採用直後からリーダーに任命した

(NGポイント)優秀であっても、入職した歯科医院の事をまだ理解していない。スタッフとの信頼関係がない。

CASE2:年功序列で経験の長いスタッフをリーダーに任命した

(NGポイント)プレーヤーとしては優秀であっても、人に仕事を譲る・任せる、メンバーが活躍する場を整備するなどができない。

CASE3:勤務して日が浅いけれど、優秀と院長が感じた若手をリーダーに任命した

(NGポイント)仕事ができるけれど、リーダーとしての意識がない(低い)。元からいたスタッフも納得していないと医院内が混乱する。

取組み:人事評価制度を導入してチーフを変えた

それまでも人事評価制度はありましたが、活用ができていませんでした。

そこで、これを機に人事評価制度をあらためて導入しました。

その上で、後述する「リーダーに求められる4つの資質」を具体的に整備しました。

しかし、1年経過してもチーフに改善が見られなかったので、別のスタッフをチーフに任命することにしました。

「医療コミュニケーションの視点」から見たリーダーに求められる4つの資質

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(画像=naka/stock.adobe.com)

医療コミュニケーションの視点では、リーダーには以下の4つの素質が必要です。

  1. 働く仲間から信頼されている
  2. 働く仲間に対して寛容でいられる
  3. 自分の仕事に関して業務遂行能力が高い
  4. 自分の考えを明確に表現できる

1.働く仲間から信頼されている

リーダーとして活動する時に、働く仲間から信頼されていることは、必須となります。

リーダーが仲間からの信頼を得ていない場合、その多くはスタッフとのコミュニケーションが不足していたり、うまくいっていない事が多いです。

スタッフもリーダーを信頼していないので、勝手に行動してしまい、報告が疎かになります。

結果、多くの場合はチームが混乱してしまうのです。

2.働く仲間に対して寛容でいられる

リーダーは自分の意見を押し付けるのではなく、仲間に対して寛容であることも大切な資質になります。

自分と意見が違う、想像できない意見が出てくることもあるかもしれません。

その時に、スタッフの意見に耳を傾けることができなければ、チーム医療が成長する機会を妨げます。

自分の意見を持つことは必要ですが、スタッフの意見をまとめて、最終的に責任を持って判断することがリーダーの役割となります。

その時に大切なのは、意見を言うスタッフの意見に耳を傾けることです。

3.自分の仕事に関して業務遂行能力が高い

自分の業務に関して遂行能力のない人が、リーダーとして認めてもらえることはありません。

仕事が下手、ミスが多いというリーダーに、ついていこうと思うメンバーはいません。

リーダーは、自分の仕事を高いレベルで遂行できることが大前提です。

一方で、自分がやれない仕事は他のスタッフに頼んだり、チーム医療を遂行するために人を使うことは、リーダーのマネジメントのチカラを見せどころです。

4.自分の考えを明確に表現できる

リーダーは、仲間に対して意思決定の上で、指示する立場にあります。

そのリーダーが自分の考えを明確に表現できないと、スタッフはどうすれば良いのか混乱してしまいます。

例えば、スタッフが相談しても曖昧で優柔不断な回答しかできないリーダーだと、スタッフは自然と相談しなくなります。

まとめ

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(画像=pixta)

その後、今回の医院では、評価に対してチーフも素直に納得してくれた結果、チーフの交代はスムーズに進みました。

聞いてみると、本人も以前のほうがみんなと働きやすかったと安堵していて、大きなトラブルにはなりませんでした。

この後、この医院の組織は見違えるように良くなりました。

今回は、スムーズに交代ができたCASEでしたが、誰を選ぶかは慎重に判断し、間違えないようにしたいものです。

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濵田 真理子

有限会社エイチ・エムズコレクション 代表取締役
歯科衛生士
福祉用具選定員
歯科MG戦略インストラクター
全米NLP協会公認トレーナー
歯科メディカルサポートコーチングトレーナー

1991年に日本大学歯学部附属歯科衛生学校を卒業。 卒業後、財団法人日本歯科研究研修協会に入職。歯科衛生士教育機関を育成するトレーナーとしての教育と研修を受けながら臨床に携わる。

その後女性の起業への理解がまだ少なかった1994年に「歯科業界の中で、疾患を持たない患者が歯科医院に来院し続ける仕組みを作りたい」との思いから、エイチ・エムズコレクションを起業。

歯科医院に対して20年にわたる人材コンサルティングの実績を持ち、歯科医療スタッフ分野における人材育成の先駆者として活躍。スタッフが思い通りに成長しなかったとしても「数年後には変わるかもしれない」と決して諦めず、人材育成に尽力している。