歯科医院のZ世代人材採用を絶対成功させるために欠かせない3つの要素

2018年の初版が歯科医療専門書店・シエン社のWEB販売ランキングで1カ月半にわたり連続1位を記録した書籍が「歯科医院のための採用マニュアルツール集」です。

この春には「書き込むだけで人材が集まる!」のコンセプトはそのままに、「Z世代」へのアプローチ方法、SNSの活用法などを追記した改訂版が登場し、再び注目を集めています。

今回も前回に引き続き著者である伊藤祐子さんに、コロナ禍による採用の変化やZ世代の採用ポイントなどについてお話を伺いました。

Z世代はスマホ完結型、FAX・郵送の経験なし

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(画像=AdobeStock)

コロナ禍による歯科医院の採用で変化を感じることは?

採用に関して古くから歯科医院では、

求人広告を見て電話

 ↓

履歴書記入

 ↓

写真貼付

 ↓

郵送

 ↓

面接

といった流れがありました。

しかし、コロナ禍になってからは人材確保ができる医院と、できない医院の二極化が進んでいると感じます。

コロナ禍における歯科医院の採用事情は以下2つの特徴があります。

1.採用のデジタル化
コロナ禍において緊急事態宣言が発出された際に、見学者や面接者が減少した歯科医院が多くみられました。

特に医療職に就職希望の応募者は、感染に対するモラルが高く、「自分が感染していた場合、見学先に迷惑をかけてしまう」という配慮があったからだと思います。

そのため、デジタル化を進めている医院には応募者が多く、進めていない医院では応募者が少ないという二極化が生じ、採用結果に多大な影響を及ぼしました。

事実、LINEなどを活用し、Web面接を実施した医院は応募者が増加しました。

地方の医院がzoom面接を行った結果、採用に成功したというケースもあります。

反対に、昔と変わらずFAXのみで対応しているような医院では、採用以前に応募がこないというケースも散見されました。

2.感染症対策
先ほどお話ししたように歯科医院への就職希望者は感染に対するモラルが高く、さらにコロナ禍をきっかけに、感染対策への取り組みを歯科医院の安全性や信頼度の規準としてとらえる傾向が強くなったといえます。

例えば、口腔外バキュームを全ユニットに設置している、天井埋め込み型の空気清浄機などの情報を提供していると、医院への好感度が高くなるといえます。

業務用空気清浄機の画像をSNSにアップしただけで、採用の成果が出たという医院もあります。

一方で、コロナ禍のこのご時世において、感染対策についての発信がなく、”過酷な就労環境”というイメージを持たれてしまうこともあるようです。

このように今の時代は歯科医院もデジタル化を進め、ホームページやSNSなどで、自院の情報をしっかりと見せる努力が必要です。

改定版でこだわった点を教えてください。

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(画像=naka/stock.adobe.com)

初版がでた4年前との大きな違いは、コロナ禍によってデジタル化をはじめとした「未来」が5年ほど早く到来したということです。

従来の「求人広告を見る→電話→履歴書を購入→写真を貼って郵送…」といった手順ではなく、デジタル化が応募者世代にとっては当たり前になりつつあります。

こうした背景を踏まえ、改訂版では主に3つのキーワードについて追加しました。

1.Z世代

Z世代とは1990年後半から2000年代に生まれた若者のことで、デジタルネイティブとも呼ばれています。

この世代は、コロナ禍による外出自粛や、休校など約2年間にわたりオンライン中心の生活を過ごしていたため、コミュニケーションが失われた世代であるともいえます。

Z世代とのかかわり方や、採用についてのマーケティング方法は、歯科界に限らず世界的な課題の1つとなっています。

2.Instagram

SNSの中でも特に画像投稿や共有に特化したInstagram(インスタ)の活用法を追加しました。

Z世代を含め、インスタをみて情報を知る、物を買うといった流れが一般化しつつあり、採用に関するマーケティングの観点をもつ必要があります。

具体的には、院内のおしゃれな画像や、安全な感染症対策をアップすることなどです。

これだけで応募者が増加したという歯科医院もあります。

3.ハローワーク

ハローワークは国が所管しているため財源が豊富にあり、SEO施策なども強化されています。

それによって求人検索した場合、検索上位に表示されることが増えてきました。

“ハローワークは応募者が来ない=採用できない”というイメージをお持ちの方は、認識を改める必要があります。

確かに、3年前であれば、ハローワークでの採用は稀というケースもあったと思います。

しかし現在は、スマホやPCによる検索機能の強化や、写真でイメージを伝えられるなど情報発信力が高まっています。

信頼性も高く、無料であることから、採用における有効手段の1つといえるレベルになっています。

Z世代の特徴や採用時のポイントを教えてください

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(画像=pixta)

当社のお客様の中には、応募から内定、労働契約の締結まで、スマホだけで完結する採用プロセスを導入している医院もあります。

履歴書に写真を貼り、郵送という従来の方法では履歴書が送られてこないことも多く、「面接時に履歴書を持参」という一言は、Z世代にとって高いハードルになりえます。

手紙を書いたことがないという人も多く、郵送の宛名書きに迷った瞬間に、応募をやめてしまうこともあります。

写真はスマホで撮影するため、証明写真を撮りに行く方法が分からない、面倒くさいという人もいます。

情報をスマホで収集するのも特徴です。

知らない人が書いたネット上の口コミを容易に信じる傾向があり、医院の口コミが低評価の場合には、就労に不安を感じてしまいます。

1つの規準として、Googleの口コミを3.0以上に保つような対策が必要かもしれません。

また、豊かさの基準が従来とは異なる点にも注意が必要です。

物欲に乏しい一方で、社会貢献活動などに価値を感じる人が多いといえます。

例えば、清掃活動や寄付、地球にやさしいといったキーワードには敏感に反応を示します。

本書のおすすめの活用法は?

いざ採用活動を改善しようと思っても「何から手をつければよいのかわからない」という先生が多くいらっしゃいます。

そこで改訂版では、巻末に「やることチェックリスト」を導入しました。

リストの中からできそうな項目を洗い出し、優先順位を決めて、1つずつ取り組んでいけば、必ず良い人財を採用することができると思います。

ここは必ず役に立つ、いち押しのポイントは?

「年間計画を立てる」という項目も追加し、職種ごとの採用活動の年間スケジュールやおすすめの求職媒体を明記しています。

追加した理由は近年、求人媒体でのトラブルに見舞われる先生が多くいらっしゃったからです。

無料のはずなのに、掲載中止で費用が発生したり、数か月後に費用を請求されたりという悪質な詐欺が増えています。

まさしく当社のサービスの肝といえる部分ですが、読者の先生方がトラブルに巻き込まれぬよう、信頼性と効果の高い求人媒体を厳選し掲載しました。

読者にメッセージを

初版の読者の先生が感想をFacebookに投稿してくれました。

「採用に関する必要最低限のことが書いてある。これができていない歯科医院は採用が難しいだろう」というお言葉通り基本的な内容となっています。

事実として、採用に成功している歯科医院は本書の内容をベースに様々な取り組みを行っています。

例えば、説明会の実施や動画の提供、こまめなInstagramの更新などです。

ただでさえお忙しい院長先生が、診療や他の業務と並行して採用活動に取り組むのは大変です。

しかし、巻末のチェックリストから優先順位を洗い出し、ひとつずつ取り組めば、良い人財の採用ができるだけでなく、院内環境の改善へとつながり、既存スタッフの長期雇用も見込めるようになります。

まとめ

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(画像=pixta)

今回は、伊藤先生にコロナ禍における採用活動や、Z世代へのアプローチについてお話を伺いしました。

激しく変化する時代において、従来の採用方法では応募者の増加が望めず、優秀な人材の確保は難しいといえます。

開業に向けて新スタッフをそろえたい方、採用方法や採用計画を見直したいという方は、「歯科医院のための採用マニュアルツール集」改訂版をぜひ参考にしてみてください。

伊藤 祐子さんの書籍紹介


求人広告の作り方から、見学・面接のポイント、定着のヒント、離職トラブル対応までを網羅

シートに記入するだけで求人広告などが完成します。
初版に比べ、Z世代対応や、ハローワークの新サービス・インスタグラムを活用した最新の採用テクニックを大幅にアップデート。
「超」求人難時代の現在において、ローコストで採用できる秘策を知ることができます。

伊藤 祐子

株式会社グランジュテ 代表取締役

兵庫県生まれ。東洋英和女学院大学卒業後、シンガポール航空客室乗務員として勤務。その後、スイス系プライベートバンク勤務を経て、10年間歯科医院の理事を勤め、従業員2名から40名以上の大規模医療法人設立に携わる。

人材が集まりにくい地域にて人材を安定して採用するノウハウが注目され、セミナー講師、雑誌連載の依頼を多数受ける。

2014年(株)グランジュテ創業。

医療機関の人材採用に特化したコンサルティングは全国300医院以上に及び、9割以上のクライアントが3ヶ月以内に希望職種の採用に至っている。

今回、歯科医院の採用課題を解決し、コロナ時代の先を見据えた採用戦略を寄稿頂く。

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