歯科医院スタッフの離職が怖くて強く言えない そんな院長の悩みにアドバイス

少子高齢社会を迎え、コンビニよりも数が多いと言われる歯科医院。

厳しい競争に勝ち残るためには、自院の経営や組織のマネジメント力の強化が不可欠です。

しかし、多くの歯科医院の経営者が「現状では効率的な歯科医院の経営が難しい」と感じているようです。

この連載では、組織を成長させるマネジメント方法のベストプラクティスとして、2,000社以上が導入してきた「識学」のコンサルタントである私、冨樫 篤史氏が、院長から相談を受けた経営に関するお悩みや課題をどうすれば解決できるのか、そのヒントをご提案いたします。

【編集部のポイント】歯科医院で抱えるさまざまな課題

歯科医院経営における課題は、大きく分けて「診療・治療」に関わる課題、「医院経営」に関わる課題、の2つに分けられます。

今回、編集部では、冨樫さんに歯科医院において院長が直面する「採用」「評価」「マネジメント」「集客(マーケティング)」などの「医院経営」に関わる課題、中でも「スタッフマネジメント」の課題にフォーカスして、取り上げていただきました。

相談内容:「スタッフの離職が怖くて、どうしても本人たちには強く言えません」

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(画像=buritora/stock.adobe.com)

Q:慢性的な人材不足に悩んでいる医院を経営しています。

採用した歯科衛生士などのスタッフはできるだけ大切にしたいと思います。

しかし、スタッフに寄り添いすぎたため、中にはわがままな言動をする人が出てきました。

ただ、「強く注意すると、すぐに離職してしまうのではないか」と怖くなり、なかなか指導できません。

どうすればいいでしょうか。

A:例えば、どんなわがままな言動があるのでしょうか。

「私のおかげでこの病院が回っている」と思い込み、わがままし放題

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(画像=milatas/stock.adobe.com)

Q:「私のおかげでこの病院が回っている」と思い込んでいるのか、自院を「うちはダメ」とけなしたり、患者さんの前では言ってほしくない情報をべらべらと話したりします。

また、その上司である管理職の中には、そうした言動を注意せずに見て見ぬふりをする人もいます。

この間は「遅刻したのに有給扱いにしてほしい」と言われました。断ると、その旦那さんからクレームが来たこともありました。

また先日は「コロナ禍なので営業しないでください。でも給与は満額ちゃんとください」と言われたこともあります。

A:なるほど。それは識学の理論では、組織のゆがみの1つである「当事者意識」に関するお悩みですね。

Q:「当事者意識」とは、どういうことでしょうか?

組織のゆがみを生み出す5大要素の1つ「当事者意識」とは?

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(画像=ponta1414/stock.adobe.com)

A: 識学では、組織の生産性を阻害する要因を「ゆがみ」と定義し、そのゆがみを整えるための理論を説いています。

組織のゆがみとなる5大要素の1つが「当事者意識」です。

当事者意識のゆがみとしては、自分が所属している組織の外に意識が向いてしまう人や、まるで他人事かのように自院の「評論家」になったり、我関せずと「傍観者」になってしまうことがあります。

Q:「他人事」ですか…。

これまで「リーダーはまず相手に奉仕し、その後相手を導くものである」という「サーバント・リーダーシップ」の考え方を取り入れて、自分なりに頑張ってきたつもりでした。何がいけなかったんでしょうか?

A:その考えで頑張った結果として、現状をどうお感じになっていますか?

Q:スタッフのモチベーションは上がったと思います。

それが顧客満足度に影響を与えたのか、売り上げも少しだけ上がりました。

ただ、私やチーフはスタッフの満足度を上げるために、強烈に忙しい日々が続いています。

正直、疲れすぎてもう大変です。

顧客満足度(CS)とスタッフ満足度(ES)の発生順序を正しく理解すべし

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(画像=BrunoWeltmann/stock.adobe.com)

A:なるほど。満足度の発生順序が逆になっていますね。

顧客満足度が高まった結果、医院に対する社会的な評価が高まります。

それが派生して、所属するスタッフの満足度も上がると発想を変えてみてはいかがでしょうか。

識学では「自己成長」への期待や、そこで働くことによる「社会的な評価の獲得」が、優秀なスタッフをつなぎためるための要素だと考えています。

また、そもそも「スタッフは、中々すぐには採用できない」という考え方を見直した方がいいと思いますよ。

Q:え、どういうことですか?

スタッフの離脱という恐怖から脱却せよ

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(画像=polkadot/stock.adobe.com)

A:「スタッフが辞めると、採用が難しい」ということは、ある種の都市伝説だと考えてもいいと思います。

一般社団法人 全国歯科衛生士教育協議会「歯科衛生士教育に関する現状調査の結果報告」によると、歯科衛生士の求人倍率は「20倍」で採用難度が比較的高いことが分かります。

そのため、歯科医院から「スタッフに強く注意できない」というお話を聞くことも多いです。

だからと言って「スタッフをきちんとマネジメントできない」医院の職場環境が正しい状態だとは思えません。

識学では、スタッフに寄り添うマネジメントではなく、当事者意識のゆがみの解決も含めた歯科医院の組織改善を支援しており、医院ごとに適切なマネジメント手法をご提案できます。

Q:そうなんですか! もっと詳しく教えて下さい!

第1回まとめ

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(画像=Proxima Studi/stock.adobe.com)

院長をはじめとした読者の皆さんは、今回の相談についてどう感じたでしょうか? 

識学では、組織のゆがみを生じさせる要素を理論的に解決する方法の実践をコンサルタントが支援しています。

少しでも興味を持たれた方は、ぜひ一度識学までご相談ください。

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冨樫 篤史

株式会社識学 品質管理部長

2002年、立教大学経済学部を卒業後、株式会社ジェイエイシージャパン(現ジェイエイシーリクルートメント)に入社。おもに幹部クラスの人材斡旋や企業の課題解決を提案。

2015年10月に識学に入社。大阪支店の支店長などを経て、現在は品質管理部長としてコンサルティング品質の標準化とレベルアップの責任者として従事。

今回、歯科医院経営における組織マネジメントの課題を「識学」で解決してきた実績を踏まえ、当サイトにも寄稿頂く。