歯科医院のスタッフが自発的に行動する提案型ミーティング実践法 5つのワーク

前回までに、なぜミーティングが必要なのか、どのようなミーティングが必要なのかなど、解説してきました。

最終回となる今回は、私が推奨するスタッフ自らアイデアを出し合い、組織最適化の仕組みを作る「提案型ミーティング」を行うための5つのワークについてご紹介します。

1.褒め合いワーク=認め合いワーク

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(画像=taka/stock.adobe.com)

なぜ褒め合うのか?

「提案型ミーティングを実施したことがない」という歯科医院では、参加しやすいミーティングにするための頭のストレッチが必要です。

私の著書では褒め合うことで脳をアイデア出しモードに切り替えることを「褒め合いワーク」と名付けましたが、最近になって「認め合いワーク」の方がより目的に近い表現だと思うようになりました。

認め合いワークの目的は、まず自分や相手の「存在価値」を認め合うことです。

これまでお伝えしてきたように、医療従事者は油断しているとつい「アリの目」「ダメ出し脳」になってしまいます。

これでは、スタッフは安心して提案できません。

引き算ではなくプラスの目線で見る、問題解決脳から解釈脳に切り替えるストレッチによって、前向きな姿勢や雰囲気を作ります。

褒め言葉は長所であり、武器

褒め合いワークを経て目指すのはブラックでもホワイトでもなく「カラフルな組織」です。

逆に言えばカラフルなそれぞれの個性や強みを見つけ出すために認め合いワークを行うのです。

ただし、長所や強みは無意識の中に潜んでいることが多く、案外自分にはわからないものです。

「私の強みは〇〇です!」といった発言が出てこないのも珍しくはありません。

だからこそ、「あなたは〇〇がすごいよね!」「〇〇に助けられているよ!」と、まずは相手を認めることが大切です。

自分の強みに気づき、理解すれば、仕事へのモチベーションや効率もアップし、組織にとって有益な提案も出てくるようになるでしょう。

2.何マスターですか?ワーク

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(画像=ponsulak/stock.adobe.com)

自分の提供する価値は対象によって変化する

褒め合いワークの次にご紹介するのは「何マスターですか?」ワークです。

このワークも頭のストレッチを目的としています。進め方は以下の通りです。

  1. A4用紙を1人2枚配る
  2. 1枚目は各自「実は私は〇〇マスターです」と書き、1人1分間程度で発表
  3. 2枚目は「初診の患者さんに自己紹介するなら」という観点で〇〇マスターと書き発表

マスターという響きにためらう人がいるかもしれませんが、あくまでも自称でOK。

1枚目はむしろ仕事に関係ないものの方がよいでしょう。

場の空気を和らげるためにも、院長や年長の先輩から発表します。

2巡(進め方の2、3)すると1枚目と2枚目に書いた内容の変化に気づくでしょう。

それは伝える対象が「院内のスタッフ」から「患者さん」に変わったことで、思考も変化したからです。

この方法は一般的には「インサイト」と呼ばれているものです。

日常的にインサイトを意識することで、患者さん自身も認識していない欲求に気づける力や、物事の本質を見抜く力が磨かれ、「この場合は、〇〇してみよう」といった提案が生まれるケースが多くなります。

3.院長の人生曲線ワーク

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(画像=taka/stock.adobe.com)

なぜ院長の人生曲線をスタッフに見せるのか?

「1.褒め合いワーク=認め合いワーク」「2.何マスターですか?ワーク」で頭のストレッチは完了しました。

続いて行うのは「院長の人生曲線ワーク」です。

院長自身の原体験から転機、そして現在に至るまでを曲線で図解し、スタッフに見せながら語りましょう。

人前で人生を振り返って話すことは恥ずかしいとは思いますが、以下のようなメリットがあります。

  • 院長自身の振り返りができる
  • 院長が素直に自己開示を行うことで、スタッフの心理的安全性が保たれるようになる
  • 4で行う「理想設定ワーク」において、掲げたい理想に対するスタッフの納得感が生まれる

私たちは「先生」と聞くとつい学校の先生をイメージします。

院長に対しても、「何でもできる、何でも知っている人」と思い込んでしまう人が多いのです。

しかし、実際には院長もただの人。へまや失敗もしますし、苦手なものだってあります。

院長がある種の弱みを開示することで、「なんだ、院長も人間なんだな」とスタッフが発言しやすい環境の下地ができるのです。

4.理想設定ワーク

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(画像=Paylessimages/stock.adobe.com)

なぜ理想を設定するのか?

ここまでのワークが終了したら、次は「理想」を設定します。

理想の設定が大切なのは、「船が進むためには、目的地を据える必要がある」からです。

理想があるから、人はそこに辿り着こうと努力し、成長します。

歯科医院としての理想を掲げるのは院長の役目。「私はこういう人生を歩んできた、その上で目指したいのは、ここだ」と目的地を指し示しましょう。

「できる<なりたい」で設定

まず行うのは理想の設定です。「できる」よりも「こうなりたい」を軸に設定してください。

医療従事者の特性上、できるかどうかわからないことを掲げるのは難しいものですが、ここでは頭を切り替えて「なりたい」を素直に言語化することが大切です。

「なりたい」という理想ができたあとは、「じゃあ、3年後にはこうなっていたい」「そのためには、1年後にはこうなっていたい」とゴールから逆算して区切ってみましょう。

「いつまでに」「こうなりたい」という期限と内容が決まると、理想がグッと現実味を帯びてくるはずです。

このように理想を設定することで、「こうなりたい」という院長の想いをかたちにしていくのです。

設定した理想をスタッフに共有する

院長の理想をかたちにしたらスタッフに共有しましょう。

ここでわざわざ共有しなくても「院長が立てたプランに従いなさい、という指示で良いのでは?」と疑問をもつ方が多いと思います。

しかし、「これをしろ」「あれをしろ」と指示しているだけでは、変化の多い現代社会には対応できません。

より生産性を上げるためには、院長の掲げた目的地に向かう方法をスタッフが「自発的」に見つけることが求められます。

理想を定め、共有してはじめて、各自が自分事として捉えられるようになり、自発的に行動するようになるのです。

5.理想-現状=課題(≠問題)ワーク

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(画像=Mihai Simonia/stock.adobe.com)

最後は、「課題」を見つけるワークです。理想から現状を引くと、やるべき課題が見えてきます。その式が下記です。

理想-現状=課題(≠問題)ワーク

  • 理想:院長の理想
  • 現状:日々のいろいろ
  • 課題:やるべきこと、やると理想に近づくこと
  • 問題:単に目につくところ

歯科医院には現場にしかわからないこと、見えていないことがたくさんあります。

「理想に対して、今〇〇が足りていません」といった課題が見えてくると、やれること、やるべきことが浮き彫りになってきます。

このワークこそが「提案型(自律型)ミーティング」です。

「もっと前からみんなに任せればよかった」と院長が思えるようになったらしめたもの。

人に任せることを「かっこ悪い」と思う院長は少なくありませんが、すべてを担うことがリーダーシップというわけではありません。

提案型ミーティングによって、日々の課題を見つけ出し、個々の強みが生きるカラフルな組織を作り上げれば、時代の荒波も楽しく乗り越えていけるはずです。

終わりに

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(画像=Paylessimages/stock.adobe.com)

全4回に渡り、「提案型ミーティング」の必要性や進め方について解説してきました。

各ワークの詳しい進め方は、私の著書「最強の歯科ミーティングバイブル」に記載していますので、興味のある方は手に取っていただけますと幸いです。

他にもご質問などあれば、どうぞお気軽にSNSで声をかけてください。

この度は、私の記事をお読みいただき、ありがとうございました。

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<角 祥太郎先生の書籍紹介>

院長の不安解消、スタッフのモチベーション向上
「最強の歯科ミーティングバイブル」
角 祥太郎 著
(デンタルダイヤモンド社)

角流!(KADO STYLE!)ここにあり。
歯科医院のチーム力を高めるステップアップワーク集。
8医院の実践事例を紹介。

「なぜ」をまず考えることが最も大切だ。
「なぜ」がわかっていないと何をしても迷い、損をする。
まずは「なぜ」を考えよう。

「なぜ」を理解したら、
「何をどのようにするか」を最適化して決めれば、
ミーティングはゲームになる。

8つのパートナー歯科医院から届いた現場の率直な感想。
そのとき何が起こったのか。
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角 祥太郎

株式会社clapping hands 代表取締役
歯科医師
歯学博士

2009年、東京歯科大学解剖学講座で歯学博士取得後、千葉県の大手医療法人海星会に就職。3年で副理事長に就任。社内ベンチャーとして訪問歯科や歯科医院の海外展開を支援する会社の立ち上げをリードする。

2017年、株式会社clapping hands を設立し、診療の傍らメーカーへのアドバイザーも務め2020年は137回の講演をおこなった。

学生時代よりプロレスラー(キム・ヨッチャン)としても活躍し、週刊プロレスの表紙掲載や著名人との対戦経験もある異色の経歴の持ち主でもある。