歯科医院が注意すべき 医療広告ガイドライン講座

医療広告ガイドラインは、医師、歯科医師、病院等の医療機関、広告関係者全てが、医療広告を掲載する際に守らなければならないものです。本記事では、広告可能な事項、禁止広告、広告可能事項の限定解除の要件、出稿時に注意すべき点について詳しく説明した上で、歯科医師ならではの注意したいポイントを解説します。

なお、医療ガイドラインは現時点で2021年4月1日の改定内容が最新情報となっています。

医療広告ガイドラインの基礎知識

まずは医療広告ガイドラインの基礎知識をご説明します。どのような内容が医療広告に該当するかの定義、医療広告ガイドラインの概要、違反した場合の罰則規定についても解説します。

医療広告の定義

医療法に基づき、同ガイドラインでは、以下2要件を満たせば広告に該当すると規定されています。

1.誘引性:患者の受診等を誘引する意図があること
2.特定性:医業若しくは歯科医業を提供する者の氏名若しくは名称又は病院若しくは診療所の名称が特定可能であること

上記2要件を明確に満たしていなくても、「実質的に広告と判断されるもの」「暗示的又は間接的な表現」なども医療広告に該当すると見なされることがあります。例えば「実質的に広告と判断されるもの」として、「これは広告ではない」と記述しながら病院名などを記載しているケースは医療広告に該当する可能性があります。

医療広告ガイドラインの概要

医療広告ガイドラインとは、医療法に基づき、歯科を含む病院などが広告を行う際の指針となるもので、正式名を「医業若しくは歯科医業又は病院若しくは診療所に関する広告等に関する指針」と呼びます。

歯のホワイトニングや二重まぶた、レーザー脱毛など美容医療サービスに関する相談件数が増加する中、利用者保護の観点からガイドラインが定められ、整備されてきました。

医療広告ガイドラインでは、広告可能な事項と、禁止される広告、そして要件を満たす場合のみ広告が許される事項の3種類が定められています。

医療広告ガイドラインの対象媒体

費用発生の有無は関係なく、宣伝を目的としていれば、ホームページに掲載している内容もガイドラインの対象となります。医療広告ガイドラインの対象となる媒体例は、次のとおりです。

・チラシ、パンフレット、ダイレクトメールなど
・ポスター、看板、ネオンサイン、アドバルーンなど
・新聞紙や雑誌などの出版物、放送、映写、電光
・メール、FAX、インターネット上の広告
・不特定多数を対象とした説明会、相談会、スライド、ビデオや口頭で行われる演述

違反すると罰則規定も

医療広告ガイドラインの医療広告の定義に該当する場合は、ホームページのようなWebサイトであっても同ガイドラインに従う必要があります。

従来、医療機関のWebサイトは原則として規制の対象ではなく、関係団体などによる自主的な取組を促されていましたが、2018年6月から施行された医療法の一部改正により、現在はWebサイトも広告規制の対象となっています。

そのため、医療機関のWebサイトも他の広告と同様に、虚偽または誇大などの表示が禁止されていますし、ガイドラインに従わなければ是正命令や罰則の対象となるので注意しましょう。

厚生労働省は「ネットパトルール事業」として、常にインターネット上で過度で違法な表現がないか、常に探しています。「ネットパトロール事業について(令和2年度)」によると、2021年3月末時点で、医療広告ガイドラインの違反事例のうち歯科で最も多かったのは「広告が可能とされていない事項の広告」(923件)でした。

特に法令に根拠のない「インプラント」(42%)や「審美」(31%)が用いられたケースが大半です。歯科医院が広告を打つ時は、これらの単語に注意する必要があります。

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医療広告ガイドラインで許可されている表現方法

広告可能な表現方法として、ガイドラインには次のように定められています。

”法又は広告告示により広告が可能とされた事項については、文字だけではなく、写真、イラスト、映像、音声等による表現も可能である。 ”

例えば、院長や歯科医師の写真付きプロフィール、あるいはスタッフの人数や配置状況を写真で掲載することは可能です。

その他、院内や据え置き型医療機器、セカンドオピニオンの実施、検査や手術などを含む診療風景の写真も掲載が認められています。

医療広告ガイドラインで広告可能とされる事項

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(画像=pixta)

医療法では広告への規制が厳しく、広告可能な内容は限られています。しかし、正確な情報提供の必要性や、利用者の選択を支援するという考えから、認められているものもあります。ここでは、広告可能な3つの事項について説明しましょう。

広告可能な事項1.医療機関・医師情報

医療機関や医師に関する説明は、広告可能とされています。主に次のような内容です。

  • 歯科医師である旨や歯科医師名
  • 診療科名(歯科・小児歯科・矯正歯科・歯科口腔外科)
  • 歯科医師のプロフィール
  • 病院・診療所の名称
  • 電話番号
  • 住所

その他の情報として、歯科医師が行った個人的な手術件数については広告できませんが、医療機関として行われたものであれば、期間を併記することにより広告が可能になります。

広告可能な事項2.医療機関の運営情報

医療機関の運営に関する内容も広告可能です。例えば、次のような内容が挙げられます。

  • 院長のあいさつ文
  • 診療日時や診療時間
  • 予約の有無
  • 入院設備の有無
  • スタッフ数

表現方法の項目でも前述したように、院内の様子や設備、スタッフを写真・イラスト・映像などで掲載できます。また、据え置き型医療機器については、メーカー名も広告可能です。

広告可能な事項3.提供する医療サービス

自院で提供する医療サービスについても、広告が認められています。

  • 検査や手術、その他の治療方法
  • 治療の方針
  • 具体的な治療内容(「歯列矯正」「インプラント」など)
  • セカンドオピニオンの有無

治療内容は、治療効果(成功率や治療率など)に触れないことが重要です。また、歯列矯正やインプラントの掲載は、「医薬品医療機器等法上の医療機器として承認された」ものによる治療である場合に可能で、「自由診療であること」と「標準的な費用」の併記が必要になります。

医療広告ガイドラインで禁止される広告

広告可能な事項について解説してきましたが、反対に禁止されている内容についても確認していきましょう。なかには罰則付きで禁止されているものがあるため、しっかりとしたチェックが必要です。

禁止項目1.広告が可能とされていない事項

厚生労働省が定める場合を除き、以下の項目については原則、広告が禁止されています。

  • 専門外来
  • 死亡率や術後生存率
  • 未承認医薬品による治療の内容

基本的に「◯◯外来」という表記は、広告可能な診療科名と誤認されやすいため使用できません。また、海外の医薬品や健康食品といった未承認医薬品による治療はた限定解除の要件として「未承認医薬品であること」「入手経路」を明記するなど、条件を満たした際に限り、広告可能となります。

禁止項目2.虚偽広告

虚偽広告は患者に誤った情報を与え、受診機会の喪失や不適切な治療を受ける恐れがあるとして、罰則付きで禁止されています。以下は一例です。

  • 安全性をうたう広告(「絶対安全」「必ず成功」など)
  • 加工・修正した術前術後の比較写真
  • 根拠のないデータ結果(◯%の満足度)

禁止項目3.比較優良広告

自院が他の歯科医院よりも優れている、という内容を広告することはできません。患者に誤った認識を与える可能性があるためです。

  • 「日本一」「No.1」「最高」といった最上級表現
  • 著名人や芸能人の来院を強調
  • 雑誌や新聞などメディアへの掲載事実

禁止項目4.誇大広告

事実を不当に拡張した表現や、誤認させるものは誇大広告として禁止されています。

  • 「最先端」「最新」「最適」といった表現
  • 「◯◯センター」のような医療機関名
  • 活動実態のない団体による認定(「〇〇学会認定」「◯◯協会認定」)
  • 科学的根拠のない情報の提供(治療法・改善法・症状に関するリスク)

禁止項目5.主観・体験談

患者から寄せられた治療に対する体験談の掲載も、原則禁止となります。患者の症状などにより感じ方は異なるため、誤った認識を与える恐れがあるためです。

ただし、治療に関係しない院内や立地などに対する感想は含まれません。口コミやSNSへの投稿も医療機関による広告費の支払いがなく、患者自らが投稿した場合に限り、認められます。

禁止項目6.誤認コンテンツ

いわゆるビフォーアフターのような術前術後の写真掲載は、患者により治療結果が異なることから、以下のような詳細を明記する必要があります。

  • 治療内容
  • 治療にかかる費用
  • 治療上のリスク(副作用も含む)

加工・修正をした写真や説明が不十分なままの掲載は、当然広告できません。

禁止項目7.公序良俗の逸脱

公序良俗に反する内容の広告は、ガイドラインで禁止されています。

  • わいせつな写真や映像
  • 残虐な写真や映像
  • 差別を助長する表現
  • 誹謗中傷

これらに該当するものは、医療に関する広告として認められません。

禁止項目8.その他

その他には、次のような広告が禁止されています。

  • 品位を損ねるような広告
    →「無料キャンペーン中」「今なら50%オフ」など、治療に関係のない情報や安さを強調したもの

  • 他法令に違反するような広告
    →薬機法・健康増進法・景表法・不正競争防止法などに違反するもの

広告可能事項の限定解除の要件

医療ガイドラインによると、原則として広告可能な事項しか掲載してはいけませんが、以下4つの要件を満たすものは「広告可能な事項の限定解除」として掲載が認められます。

  1. 医療に関する適切な選択に資する情報であって患者等が自ら求めて入手する情報を表示するウェブサイトその他これに準じる広告であること
  2. 表示される情報の内容について、患者等が容易に照会ができるよう、問い合わせ先を記載することその他の方法により明示すること
  3. 自由診療に係る通常必要とされる治療等の内容、費用等に関する事項について情報を提供すること
  4. 自由診療に係る治療等に係る主なリスク、副作用等に関する事項について情報を提供すること

上記の補足として、1はWebサイトやメルマガなどを指し、2は簡単に照会が可能なもの、3は明確な費用もしくは可能な限り分かりやすい費用、4は利点だけではないリスクや副作用の掲載が必要です。

歯科医師が医療広告の出稿時に注意すべき3つのポイント

2018年に行われた医療広告ガイドラインの改正では、歯科治療に関しても具体的な指針が示されました。

とくにインプラントやホワイトニングなどの自由診療については、掲載時の条件が定められています。ここでは3つのポイントについて、それぞれ詳しく解説します。

歯科広告の注意点1.費用負担の明記

歯列矯正・インプラント・ホワイトニングなどの自由診療では、次の2つを明記する必要があります。

  • 公的な医療保険が適用されない治療であること
  • 治療に必要な標準的な費用

保険適用に関する表記は、「全額自己負担」「保険適用外」「自由診療」といったものが一般的です。標準的な費用については、「◯万円~◯万円」「約◯万円」といった表記が可能ですが、負担する費用が把握しやすい範囲がよいでしょう。

歯科広告の注意点2.リスクの明記

未承認インプラント・未承認医薬品を使用する際には、さらに以下の明記が必要になります。

  • 未承認医薬品等であることの明示
  • 入手経路等の明示
  • 国内の承認医薬品等の有無の明示
  • 諸外国における安全性等に係る情報の明示

とくに安全性に関わる部分は、使用状況や重大な副作用を含めた海外の情報を、日本語で分かりやすく説明する必要があります。

また、主要国で承認されていないものは、リスクが明らかになっていない可能性も明示しなければなりません。

歯科広告の注意点3.誤解を招く表現の禁止

歯科治療において、「審美治療」という表現を用いた広告は、認められていません。

「審美治療」には、さまざまな治療方法が含まれており、提供する治療方法が明確ではないため、誤解を招く恐れがあるからです。

また「歯を削らない治療」という表現は使用できますが、「痛くない治療」「99%以上の満足度」といった根拠のない文言は、誇大広告・虚偽広告に当たる恐れがあります。

違反広告の通知を受けた時の対処法

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(画像=pixta)

厚生労働省が管理・委託している「医療機関ネットパトロール事業」や一般からの情報提供によって医療広告の違反事項が見つかった場合、評価委員会から通知が届きます。

違反箇所が指摘されるので、迅速に削除および修正しましょう。

通知から約1ヶ月後に状況確認が行われ、改善されていない場合や修正が不十分な場合は委員会から自治体に報告されます。

その後の「中止命令」や「是正命令」に従わなければ6ヶ月以下の懲役、または30万円以下の罰金が科されることがありますし、事例として公表される可能性もあります。

違反事例として歯科医院の名称が公表されれば信頼性に傷が付き、患者離れが加速するかもしれません。

そうならないためにも、評価委員会からの通知には誠実に対応する必要があります。

まとめ

当記事では、医療広告ガイドラインに沿って、医療広告に関する注意点について解説しましました。ガイドラインの広告規定は、病院・診療所だけでなく、歯科医院にも該当しますので、広告を掲載する際には注意が必要です。

実際に広告に当てはまるかどうかに関しては、ガイドラインに沿いながら、細かくチェックしていくとよいでしょう。

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