20代歯科勤務医の相談 歯科医院を開業する土地や規模ってどう選べばよいですか?

開業から10年間、安定経営を継続するつゆくさ歯科医院の小塚義夫先生。自費率30%以上、売上もメインテナンス数も好調の忙しい日々の中、多くの若手歯科医師からの相談にも精力的に対応しています。

もともと教師への憧れがあり、「歯科は教育業である」と考える小塚先生。自身も様々な「師」の教えに助けられた経験への感謝から、後輩の育成のために今日も貴重なアドバイスを贈ります。

そんな小塚先生のweb版開業相談室、2回目の開講です!

⬛︎Question 1⬛︎開業する土地の相場に関する質問

質問者Bさん:1~2年後くらいに開業を考えている20代の勤務医

開業する土地の相場についての質問です。 立地や価格など、どの程度の土地に開業すればいいですか?どれぐらいの規模の医院をつくればいいのか、医院経営を維持していくためにはどの程度の売り上げが必要なのかについても知りたいです。

●Answer1●

開業する際、購入した土地に医院を建てるのか、借地に建てるのか、もしくは既存の建物にテナントととして入居するのか、どのスタイルを選ぶかによって大きく変わってきます。 土地価格の相場などは、地域によってかなり差があります。

今回は、開業時の土地の選び方や医院の規模についての考え方、また医院経営の維持にはどれくらいの売上が必要なのか、という質問にお答えします。

まず、開業する立地や土地の準備にかかる費用は、集患や求人の広告の出稿にかかる費用とセットで検討する必要があります。 というのも、良い立地に開業すれば広告を出さなくても患者さんが来てくれるので、広告費が安く済むからです。

また、駅前などの交通アクセスが良い土地に開業する場合は、スタッフが集まりやすいので求人広告にかかる費用を削減できます。 つまり、条件の良い立地を選ぶと土地の準備に費用がかかりますが、その分、広告費が抑えられるというわけです。 セットで検討する理由を、おわかりいただけたでしょうか?

●土地のタイプ
次に、立地のタイプを考える必要があります。立地のタイプは大きく分けて、以下の4つがあります。

1.郊外住宅地
2.駅前商店街
3.イオンなどの複合商業施設
4.都市オフィス街

考慮すべき点は、家賃、視認性、駐車場の確保、通行人の流れ、人口動態(これから人口は減るのか増えるのかも含む)、自分の得意分野の競合の有無などがあります。それぞれの土地の特徴を見てみましょう。自分がターゲットとする患者さんの層が多い地域はどこか、という視点で見るのも一つかもしれません。

1.郊外住宅地
郊外住宅地であれば、車での視認性の良さ、駐車場の確保、人の流れが良いなどが重要になります。

2.駅前商店街
駅前商店街では、徒歩での視認性の良さ、人の流れが良いなどが重要でしょう。

3.イオンなどの複合商業施設
イオンなど複合商業施設は、集患には困らないと聞きますが、家賃が高かったり、複合施設の営業時間に準ずる必要があるなど、規制が多いと聞きます。

4.都市オフィス街
都市オフィス街は、家賃が高く、1Fでの開業は難しいので、地下や2F以上での開業となり、視認性も悪く、苦戦を強いられる可能性が高いです。

立地に関しては、下記の本『実践! 「繁盛立地」の判定・分析・売上予測』が大変勉強になります。開業を考えるなら必読書です。

実践! 「繁盛立地」の判定・分析・売上予測
林原 琢磨 (著) 同文舘出版

●医院の規模
次に医院の規模ですが、最低でも年商1億円を超えられる可能性がある立地を選ぶ必要があります。医院の規模としてはチェア4台以上、スタッフは少なくても8人以上は必要になってきます。

年商1億円を超えるのは比較的簡単ですが、東京都内の中心部などは競走が激化していますので大変かもしれません。 郊外や地方なら、年商1億円を達成するのは、そう難しくはありません。おそらく開業1~3年目で達成できるでしょう。

今は、開業に成功した先駆者の情報がノウハウとして出回っていて、「開業成功の方程式」が明らかにされている時代です。そのノウハウを愚直に実践できれば、年商1億円はそんなに難しくないと思います。

大事なのは長期的に経営を安定させることです。開業して短期間で地域の患者さんをつかみ、成功した歯科医院になっておかなければ、後から近くに開業した歯科医院に追い抜かされてしまいます。開業してなるべく早期に地盤を固めておかないと、その後の医院経営が相当厳しくなるといえます。

ところが、年商が1億円を超えて医院経営が軌道にのったとしても、いずれスタッフの採用に関して苦労することになります。スタッフの人数が多くないため、そのうちの1人が退職しただけでもダメージが大きく、円滑な業務の遂行が難しくなってしまうからです。 結局は、年商2億円を目指す必要が出てきます。

将来的にはチェア7台以上、スタッフ15人以上が必要になることが考えられます。いずれは、医院の規模をそれくらいまで拡大できる余地のある土地を選んでおくとよいでしょう。