20代の勤務医の相談 開業時のスタッフは何人採用すべきか?人数目安とその理由

開業から10年間、安定経営を継続するつゆくさ歯科医院の小塚義夫先生。

自費率30%以上、売り上げもメインテナンス数も好調の忙しい日々の中、多くの若手歯科医師からの相談にも精力的に対応しています。

もともと教師への憧れがあり、「歯科は教育業である」と考える小塚先生。

自身も様々な「師」の教えに助けられた経験への感謝から、後輩の育成のために今日も貴重なアドバイスを贈ります。

Question 1)
開業時にはスタッフ(歯科衛生士・歯科助手・受付など)をそれぞれ何人ずつ採用しておくべきですか?

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(画像=pixta)

Answer1)

希望する歯科医院の規模や予算によりますが、歯科衛生士は2~3人(最低1人)、歯科助手は受付兼務にして1~2人で、常勤が最大4人までになるよう採用します。

なぜ「最大4名まで」かと言うと、「5人を超えると社会保険への加入が必要」となるからです。

医院の支払う保険料が高くなるので、新規開業には負担が大きすぎることになります。

ただし開業資金や運営資金に余裕があれば、問題ありません。

Question2
開業準備に必要な期間はどの程度でしょうか?

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(画像=pixta)

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必要な開業準備期間は、「開業前にどこまで準備をするか」で異なります。

歯科技術習得以外の開業準備の場合、できれば3年は準備期間がほしいと私は考えます。

開業を考えるようになってから、初めて経営に関する情報に対してアンテナが立つようになってくるものです。

すると初めて、自分の所属する医院の経営のことが見えてきます。

3年の間に何を習得すべきか、解説しましょう。

・1年目
自分の所属する医院の経営を自分の目で見て学ぶことです。

今現在あなたが勤めている医院は、歯科医師を雇うことができる、つまり成功している歯科医院です。

パンフレット一枚をとっても、様々な試行錯誤を経て、今の状態になっているはずです。

問診票の作り方やスタッフの対応の仕方、患者さんへの説明の手順など、何でも学ぶようにしてください。

・2年目
所属する医院で経営に関わることです(できれば副院長とか医局長など役職になっているといいです)。

具体的には集患のための広告や院内に置いてある紹介用パンフレットやPOPなど、自分の意見を提案してみましょう。

また、自費診療と保険診療の比率や専門とする患者さんをどうやって集めているか、メインテナンスと新患の比率など、マーケティング視点でよく観察しましょう。

役職がなかったとしても、マーケティングやマネジメントの知識を身につけると見えてくるものがあるはずです。

「自分が経営者だったら」という意識で広く学ぶ意識を持ってください。

・3年目
最後の3年目で自分の医院を作る準備をします。

2年目までの学びを軸に、3年目は具体的に自分がつくりたい医院をイメージし、実行に移す準備を始めましょう。

私自身がこう考えるようになったのは、セールスマーケティングの第一人者とされる神田昌典さんの起業セミナーで「3年準備して起業する」ことを勧めていたのを聞いたのがきっかけでした。

同じ3年間の勤務医でも、漫然と過ごすのと「3年後には勤務医を卒業して独立」と具体的な目標を持っているのでは、得るものがまるで違います。

ただし経営者になると勤務医の3倍は働かなくてはならないため、「そもそも自分に開業はできるのか・向いているのか」と考えるのもこの時期です。

Question3
具体的にチェア数を何台にするか、将来的な増築も意識した設計にするのか、など開業の規模をどのように決めたら良いでしょうか?

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(画像=pixta)

Answer3

これも予算によります。また、予算以上に立地も関係してきます。

オフィス街のテナントだと、大きくできない代わりに自費診療を中心にする必要があります。

商店街だとある程度は大きくできますが、それでも限界があります。

郊外は自由度が大きくかなり大きく開業ができる一方で、衛生士や歯科医師の採用は不利になる傾向があります。

保険診療が中心の場合は、いずれ増築することを念頭に設計します。

最初のチェア数は3〜4台(自費診療中心なら1〜2台)で、増築後に最低8台以上チェアが置けるようにしたいです。

Question4
内覧会の開催時期と方法について、どうするのが良いか教えてください。

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(画像=Monet/stock.adobe.com)

Answer4

内覧会は、絶対に内覧会のコンサルを入れることをおすすめします。

なぜなら、内覧会コンサルタントに支払う費用は、内覧会でたくさんの患者さんが集まれば一瞬で回収できます。

一方、そのコンサル費用をケチって、しょぼい内覧会をしたり、もしくは内覧会をやらなかった場合、開業しても患者さんが集まらず、数か月赤字が続いてしまうでしょう。

開業場所が決まると準備期間も見えて開業時期が決まるので、開催時期は自然と決まります。

内覧会の方法は、医院のコンセプトに合ったものにするのが良く、プロである内覧会コンサルの方と相談して決めましょう。

Question5
開業の準備はそもそもまず何から取りかかれば良いのでしょうか?

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(画像=ponta1414/stock.adobe.com)

Answer5

一番最初にやるべきことは、「○年後に開業する」と決めることです。

ここが決まればそこから逆算して、学んでいったり開業地域を探したり、とやるべきことが見えてきます。

「いつか開業する」ではなく、明確に〇年後と決めることが、最初の大きな一歩です。

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小塚 義夫

医療法人つゆくさ歯科医院 院長 / 歯科医師

平成23年5月に名古屋にて、つゆくさ歯科医院を開業。専門は歯周病・入れ歯全般。歯周病治療に力を入れており、ターゲットを具体化した歯科医院経営の成功事例として多数の講演実績あり。

元々は教職志望だったこともあり、後輩歯科医師の育成にも注力。開業を志す若き歯科医師のよき相談相手としても活動中であり、開業にまつわるエピソードや知見を基に、あきばれ歯科経営 onlineにも寄稿頂く。