歯科医院の経営方針がわがままなスタッフに左右されていませんか?

はじめまして。エイチ・エムズコレクションの濵田真理子です。

私は歯科衛生士としてスキルを積みながら24歳で起業し、以来27年に渡り歯科衛生士のスキル研修から人材マネジメント、衛生士の育成から集患の支援など実に様々な分野で歯科医院様にコンサルティングを行ってきました。

弊社には私だけでなく多くの専門スキルを持つスタッフがいることから、医院様のお悩みの種類や緊急性を分析し、最も適したスタッフに問題解決にあたらせるという方式をとっています。今まで私が一緒に仕事をしてきたスタッフは660人以上。専門家として独立している者も数多くいます。

現在、私自身も日々経営者として成長と模索を続ける日々です。先生方にお伝えしたいのは、まさに「経営者」としての厳しさを知っている私の体験から生まれたもの。先生方の耳に痛いこともしっかり伝え、そして緊急かつ重要度の高かった悩みが改善して「よかった」と言ってもらえることが私の使命であり喜びです。

多くの先生方のお話を伺って共通しているのは、医院長のお悩みの多くは「スタッフ」に対するものであるということです。

トラブルの背景には先生方のスタッフ思いの優しさが裏目に出てしまったケースや、気づかぬうちに「わがまま」を増長させる環境になっていた、など意図しない原因が多く潜んでいます。数百という医院様の問題解決をしてきた私だからこそお伝えできるスタッフのトラブル回避法を、具体的な事例と合わせてご紹介していきます。

「歯科医院長がスタッフに良い顔しすぎて失敗しちゃった」編

今回ご相談に来た医院の環境

院長 39 歳、開業6年目。
ユニット4台・スタッフ8名・平均年齢29歳(最年少22歳・最年長47歳)

1.コロナ不安により相次ぐエース歯科衛生士の退職

【教育をまかせっきりにしていた】
(お悩みキーワード 仕組づくり・チーフ育成・歯科衛生士・コロナ不安)

開業当初から5年ほど勤務してくれた 33 歳の歯科衛生士チーフAが、コロナの不安や旦那さんの強い希望もあり、自粛要請直後に退職しました。またAと二人三脚で年間5千万円以上の予防歯科分野での売り上げをつくり、他のスタッフを盛り上げてくれていたBも社員で働き続けることへの不安から、ほどなく退職。

2.紹介予定派遣からの紹介で47歳の歯科衛生士を即決で採用

紹介予定派遣の会社に採用の相談をすると、2 週間とかからずに 47 歳の歯科衛生士が紹介されました。第一印象は感じも良く出来そうな人で『即決しないともったいない人材』と、言われたので翌週より来てもらいました。

その人は当医院に来る前に半年間で 2 件の医院を辞めていたのですが、人手不足ということもあり、あえて詳しい理由はききませんでした。

3.働き出してすぐに気づいた違和感

実際に働きだして一番に感じた違和感は、『謝らない』『自分勝手』でした。 最初は慣れないから仕方がないと考えていましたが、以下のような問題を起こし始めました。

  • 勝手に判断して間違える
  • 若い人に医院方針と違うアドバイスをする(仕事の仕方を勝手に変更したり備品を購入させていた)
  • 歯科衛生士の器具機材が不足しているので購入が必須だと指摘をしてくる(例:ルーペとエアフロー)
  • AとBに対して『衛生士用の探知用インスツルメントもないのに施術をしていたのか?』と非難する
  • 勝手に医院のルールを変える。( 1 人40 分のSRPを自分だけ 1 時間に変更した上、時間を守らない)

試用期間内にこのようなことが立て続けに起きる一方、患者さんの評判は悪くなかったため、歯科衛生士不足の状況でしたので本採用に切り替えました。

4.あっという間に激変してしまった医院の雰囲気

採用から2 か月くらいたつと、元からいたメンバーが彼女の発言や行動に影響されてしまい〔院長 vs スタッフ全員〕という微妙な空気が生まれてしまいました。 歯科医院全体の雰囲気も悪くなり、院長の悩みが【人手不足】から【人のマネジメント】そのものになってしまったのです。

解決策

今回の発端は、面接で様々な問題を見破れなかったことにあると思い、まず「採用面談の仕組み化」および評価制度の作成と導入研修を行うことにしました。

女性経営者視点での真理子流メソッド

採用は、そのスタッフとの人間関係構築がスタートです。今回事例となった医院には、この時期はコロナ禍でお伺い出来ませんでしたので、以下のような10項目のシンプルな評価制度を導入してオンラインで説明し、問題点を短期間で修正する手段を取りました。

  • 評価は他人が決めるものであること
  • 「私は…」が多い人は、自分しか見ていない危険性があること
  • 「安全・安心・安定」経営のために全員が真摯に取り組むこと
  • 院内ルールを勝手に破る人は「仕事をする上で与えられたことを正確に全うする責任感がないと判断する評価スコアをつける」こと
  • 「周囲の人の気持ちを乱すような発言や態度をとる人は、協調性の分野では最低の評価スコアをつける」こと

最初はこれを聞いたスタッフも少し戸惑っていたものの、導入 3 回目の評価(2021 年 2 月)では問題が改善され、今現在も継続しています。

コンサル視点での秘訣(ポイント整理)

問題児など院内で人に関する問題が出た時、院長はその【人】にフォーカスしないようにしましょう。

責めるのは【人】ではなく【仕組み】です。
そういったトラブルが起きてもおかしくない「仕組み」になっていないか?気を付けて院内を観察してみてください。あくまで重要なのは、「仕組み」づくりです。
あわせて以下の三つの流れも心がけてみてください。

1)大切なのは「どんな人が来ても院内で人が育つ環境」を日頃からきちんと構築しておくこと 2)その仕組みを「スタッフに伝えて終了」ではなく、そのルールが正しく伝わりきちんと実行出来ているかを頻繁に確認すること
3)仕組みを伝えたあと、それがしっかり理解され定着しているか、それにより人材が育っているかという「人が育つ評価制度」を同時に持つこと