歯科医院スタッフの人間関係と生産性に因果関係はない!

この連載では、組織を成長させるマネジメント方法のベストプラクティスとして、2,000社以上が導入してきた「識学」のコンサルタントである冨樫 篤史が、歯科医院の経営で悩んでいる院長の相談に対して、その課題解決のアドバイスを提言します。

相談:「多くの歯科医院は、感情的な集団」は本当?

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(画像=pixta)

Q:現在、開業を検討しています。

先輩の開業医から「歯科医院のスタッフは、感情的な集団だと思え。誰かの感情を逆なでしてしまうと、すぐに院長が敵にされてしまうぞ」と聞き、とても不安です。

スタッフを上手に率いていく自信がありません。どうすればいいでしょうか。

A:院長は組織の経営トップとして、さまざまな意思決定を下し、医院のスタッフを先導する役割を担います。

それにしても、なぜ、そんなに自信がないのでしょうか?

Q:院内の人間関係を良好にしていかなければ、組織が一体にならないと考えています。

歯科医師や歯科衛生士、歯科助手、受付などさまざまな立場の人たちのコミュニケーションを活発にして、組織の「和」を作ることを最優先にマネジメントしないと……と、考えるだけで気が重くなります。

A:なるほど。確かに医院 の中には「仲が良いこと」「相性がいいこと」「一緒に」ということを好む人もいるので、部下一人ひとりに丁寧に声掛けをしたり、人間関係が悪化しないように日々奮闘するリーダーもいます。

しかし、それは取り越し苦労に過ぎません。

そもそも「人間関係が良いこと」と「組織の生産性」にはそれほど因果関係は存在しないですよ。

Q:え、どういうことですか?

「和」を求めるマネジメントは失敗する

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(画像=pixta)

A:スタッフの仲が良いことを「円滑なコミュニケーションの大前提」と捉えられる組織のリーダーは、多いですね。

また、スタッフのモチベーションを高める取り組みも必要だと考えて、リーダーが率先して声掛けを行うなどモチベーションの向上を促進しようという動きもあります。

しかし、識学では、こうした個人間には“好き・嫌い”という感情が入りやすいと考えています。

また、感情が入ってしまうと組織のゆがみが発生し、マネジメントが上手く行かない原因になると捉えているのです。

Q:いつでも声を掛けられる風通しの良い環境は、大切ではないのでしょうか?

A:仲良くすることが目的の「仲間的な集団」では、個人の役割や責任、上下関係が曖昧になりやすいのです。

その結果、「上司の指示待ち」になったり、責任を逃れようとしたり、業務の不履行によるさまざまな弊害が起きてしまいます。

Q:では、どうすればいいのでしょうか。

感情を排したマネジメントを実践すべし

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(画像=pixta)

A:識学では「感情を排したマネジメントの実践」を推奨しています。

また、感情を挟まないようルールを明確に定義し、それぞれの役割に応じた目標を設定し、その達成に向けた取り組みをスタッフに徹底させることを説いています。

Q:「ルールを作って、徹底的に守らせる」と言うと「ルールに縛られるなら辞める」とか、「こんなルールを作るなんて」と嫌われたりしないでしょうか?

A:識学の考え方では、基本的に「人間関係」という概念は存在しません。

上司は上司の役割、部下は部下の役割がそれぞれあって、それをルールに則って役割を果たすことが使命となります。

また、達成ができなかった場合は、定期的な報告を重ねることで改善を図っていきます。

あくまで役割に対して向き合い、人としての好き・嫌いといった余計な感情が入らないので、人間関係で疲れることはありません。

感情で動いている組織では、上司も部下もなるべく好かれようとします。

でも、それが疲れる原因になりかねません。

Q:そうした取り組みによって、本当に組織としてまとまった歯科医院なんてあるのでしょうか?

「異性が多い職場をまとめるのは難しい」は俗説

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(画像=pixta)

A:自分にとって「異性が多い職場をまとめるのは難しい」と考えている経営者はある程度いますが、そんなことはありません。

これまで曖昧な基準で運営していた歯科医院の経営者が「うちは感情的な集団だから、識学式のマネジメントは難しい」と思っていたところ、いざ厳格なルールの下で実践すると自院のスタッフにバッチリはまって組織改善を実現した例を何度も見てきましたよ。

俗説に惑わされないことが大事ですね。

Q:その他にも何か注意点はありますか?

A:そもそも職場とは、それぞれが業務の遂行に専念する場です。

学校やサークルなどのような仲良し集団ではありません。リーダーは、部下が自分の役割を果たすための最適な環境作りに注力することが大切です。

また、ルールに例外を作ってしまうと「あの人は許されているのに、なぜ自分はダメなのか」という不満が起きることもあります。

相手によってルールを独自に変えてしまうこともよくありません。

Q:なるほど。ありがとうございました!今回のアドバイスを参考にして、開業の準備を進めたいと思います。

第2回まとめ

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(画像=pixta)

院長をはじめとした読者の皆さんは、今回の相談についてどう感じたでしょうか?

識学ではルールに基づき、それぞれの役割・責任が明確に規定されてこそ、「やらねばならない」感覚が醸成されると説いています。

その理論に興味を持たれた方は、ぜひ詳しい情報を調べてみたり、私たちコンサルタントへお気軽にご相談ください。

お気軽にご相談ください!

院長をはじめとした読者の皆さんは、今回の相談についてどう感じたでしょうか?

識学では、組織のゆがみを生じさせる要素を理論的に解決する方法の実践をコンサルタントが支援しています。

少しでも興味を持たれた方は、ぜひ一度識学までご相談ください。

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冨樫 篤史

株式会社識学 品質管理部長

2002年、立教大学経済学部を卒業後、株式会社ジェイエイシージャパン(現ジェイエイシーリクルートメント)に入社。おもに幹部クラスの人材斡旋や企業の課題解決を提案。

2015年10月に識学に入社。大阪支店の支店長などを経て、現在は品質管理部長としてコンサルティング品質の標準化とレベルアップの責任者として従事。

今回、歯科医院経営における組織マネジメントの課題を「識学」で解決してきた実績を踏まえ、当サイトにも寄稿頂く。