歯科衛生士の採用を二度と失敗させないポイント

歯科医院をとりまく環境は年々厳しくなっていると言われています。

多額の初期投資によって開業したものの、さまざまな経営上の問題に直面し悩んでいる院長は多くいらっしゃいます。

厚生労働省の「第22回 医療経済実態調査(医療機関等調査)」(令和元年実施版)によると、個人開設の歯科医院における2018年度の平均年間医療収益は「約4,470万円」となっています(参照元「第22回医療経済実態調査(医療機関等調査)報告」p32)。

1カ月の売り上げ平均は約370万円になりますが、実際にははるかに高い売り上げの歯科医院がある一方で、かなり下回る歯科医院もあるのが現状です。

すべての歯科医院の経営が安定しているわけではなく、経営難に陥っている医院の数は決して少なくないでしょう。

この連載では、予防管理型を起点として歯科業界の活性化を目指し、多くの歯科医院の経営コンサルティングを手掛けているユメオカの代表である丹羽 浩之が受けた、事業拡大を目指す歯科医院の院長の「お悩み相談」に対して回答し、これまでの経験を踏まえた課題解決のヒントを提示していきます。

今回は、歯科医衛生士の中途採用に関する相談にお答えします。

中途採用の歯科衛生士と間に起こりやすいトラブルとは?

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(画像=pixta)

<相談内容>

「以前、経験のある歯科衛生士を中途採用したことがあります。

しかし、医院の方針とは異なる対応をしたので注意したところ、トラブルになって辞めてしまいました。

事業拡大にはどうしても歯科衛生士が必要なので、あらためて採用したいです。

前回のようなトラブルが起きないようにするためにはどうすればいいのでしょうか?」


中途採用で歯科衛生士を迎えた場合、以前勤めていた医院での経験から現在の医院の方針とは異なる行動をしてしまうのはよくあることです。

歯科衛生士自身が良かれと思って取った行動でも、方針に沿っていなければ注意せざるを得ません。

その際に言い方を間違えると「自分は信頼されてない」と誤解をし、院内の雰囲気が悪くなり、結果的に患者さんにも伝播してしまう恐れもあります。

そうした院長と歯科衛生士とのギャップを解消するには「面接時と入職時に必ず自医院の考え方や理念、コンセプト、行動指針をしっかりと伝えること」が大切です。

また、定期的なミーティングを通して、そのことを理解・定着させる取り組みも必要だと思います。

失敗例としてありがちなのは「経験者だから大丈夫だろう」と考えて何となく採用してしまい、入職後に「あとは頑張ってね」という感じで済ませてしまう場合です。

歯科衛生士の中途採用における注意点

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(画像=pixta)

院長とスタッフは「雇う側」と「雇われる側」の立場にあるため、埋められないギャップが必ず出てきます。

私たちユメオカでは、自医院が目指す歯科医院のあるべき姿をスタッフに理解してもらうため、自医院の「カンパニースピリッツ」や「行動指針」「信条(クレド)」を明文化することをお勧めしています。

また、その定着を図るプロセスにおいて、院長がすべてを担う必要はありません。

歯科医院の幹ともいえるカンパニースピリッツについては、医院の歴史や変遷などを踏まえた医院全体の道筋を示すものであるからこそ、院長が直接伝えるべきです。

しかし、それ以外の部分は、チーフや他のスタッフ、私たちのようなパートナーコンサルタントに権限委譲して伝えるという方法でも良いと考えます。

歯科医院の成長を阻害する、院長が抱えてしまうもの

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(画像=ponta1414/stock.adobe.com)

これまで全国3,000以上の医院に教材を販売したり、経営改善の支援をしてきました。

そしてユメオカとは「夢とお金の作戦会議」の略です。

歯科医院のリコール率を向上させる「予防型経営ビジョナリー・コンサルティング」によって、歯科業界のスタンダードになりつつある「予防管理型経営」による業界の活性化に取り組んでいます。

多くの経営コンサルティングサービスが「リコール率の向上」や「新規患者の集客」などの施策をアドバイスする形態を取っています。

一方、私たちが実践するビジョナリー・コンサルティングでは、リコール率向上以前の問題である「院長の漠然とした経営に対する不安の解消」に重きをおいています。

なぜなら、医院を導く院長が抱える不安を解消して心穏やかな状態でなければ、いくら経営改善に向けたアクションプランをアドバイスしても医院の成長にはつながらないと理解しているからです。

院長が不安を抱えていると、目の前にいる患者さんに集中できなくなり、勤務医やスタッフとのコミュニケーションギャップやすれ違いが生まれ、経営にも悪影響を及ぼします。

院長の漠然とした不安の2大要因は「スタッフ」と「お金」です。

今回の相談のようなスタッフとのギャップを埋めない限り、医院の成長は望めません。

2階建てのパートナー・コンサルティングで漠然とした不安を解消

ビジョナリー・コンサルティングでは、院長の心の平穏状態を確保できる環境を整えながら、医院のビジョンの実現に向けたアクションを支援する「2階建てのパートナー・コンサルティング」を展開しています。

1階部分では、院長の心が穏やかになる状態を保ち、診療や経営に集中できる環境を構築していきます。たとえば、スタッフに対する不安についてはコンサルタントが個別面談を通して双方のギャップを早期に発見したり、その解決をお手伝いします。

2階部分では、院長の頭の中にある医院のカンパニースピリッツを引き出して整理し、具体的なアクションプランを形作ります。それを院長やスタッフとの共通言語として活用し、実現の支援に注力するのです。

【第一回】歯科衛生士の中途採用に悩む院長の相談
2階建てパートナー・コンサルティングのイメージ図(株式会社ユメオカ提供)

医院の成長に貢献できる歯科衛生士になってもらうコツ

医院が抱えるビジョンを実現するためには「どれくらいの売り上げが必要になるか」「売り上げ達成には、どれくらいリコール率を上げればいいのか」などを明確にする必要があります。

ユメオカでは「ビジョン」と「お金(数値)」を両輪として、医院の成長に必要な条件を明確にした上で、その到達までの道筋を逆算して描いていきます。

また、コンサルタントは院長とスタッフの間に入って双方のギャップを解消し、細かく軌道を修正する役割を担っていると考えてください。

スタッフとのギャップを埋めるためには「教育カリキュラムを印刷して開示する」方法も挙げられます。

他にもスタッフルームの改善や有給休暇を取得しやすい雰囲気づくりなど、スタッフの働きやすさを整備することも必要です。

【第一回】歯科衛生士の中途採用に悩む院長の相談
歯科衛生士教育カリキュラムの例。採用時に説明することで、歯科医衛生士も安心感が得られる。(株式会社ユメオカ提供)

予防管理型経営を目指す場合、患者さんとの直接的なコミュニケーションや定期的なサポートを担う歯科医衛生士は、重要な役割を担います。

優秀な歯科衛生士を迎え入れることは、安定的な医療経営にとって欠かせない要素です。

ぜひ、自院に最適なスタッフの採用や定着を検討してください。

予防管理型経営をお手伝い

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(画像=pixta)

医院の方向性が定まっていないと、どんなに優秀な歯科衛生士がいたとしても、その能力を十分に引き出すことは困難です。

スタッフが「働きやすく、自身の成長につながる」と共感してくれると、医院の成長に貢献してもらえる好循環につながります。

しかし、そうした改善は、院長単独で進められるものではありません。

そのサポートが必要だとお考えなら、私どもの活用も選択肢の1つとして考えていただければと思います。

ユメオカ人気教材の7本

予防型歯科医院で「昇給・カリキュラム作成・空き時間活用」に悩む院長はこちらをご確認頂ければと思います。

予防型経営★実践アカデミー

予防型歯科医院づくりに邁進する全国の院長が集まっているのが、予防型経営★実践アカデミー。

会員制(月額5,500円)で「学び・交わり・相談できる」場となっていて、ユメオカ共通言語をもとに、他医院の事例を学び、zoomなどで交流し、個別相談も可能です。

【おすすめセミナー】
・【無料】たった4ヶ月で歯科衛生士276名の応募獲得! 歯科衛生士・歯科助手採用セミナー

丹羽 浩之

株式会社ユメオカ 代表

大学時代に統計工学を専攻後、コンサルティング営業の世界へ(2004年に独立)。2008年に株式会社ユメオカを設立。

医院の想いが伝わらず、自費率やリコール率が低く苦難する多くの歯科医院の存在を知る。「単なるノウハウ提供、他医院の事例提供」ではない「考え方と豊富な具体例」により、院長の経営力育成と医院ビジョン実現に貢献するコンサルティングスタイルを確立。

「院長の考えを整理すること」「分かりやすく数字で裏付けること」「患者心理に沿った診療システムをつくること」を得意とする。2016年からは予防管理型歯科医院経営を業界横断的に推進する活動をはじめ、歯科界に新たな価値提供をし続けている。