スキャナー、チェア、… 歯科医院の設備投資の失敗パターン

歯科医院をとりまく環境は年々厳しくなっていると言われています。

多額の初期投資によって開業したものの、さまざまな経営上の問題に直面して悩んでいる院長は多くいらっしゃいます。

この連載では、多くの歯科医院の経営コンサルティングを手掛けているユメオカの代表である丹羽 浩之が、院長1人で経営する歯科医院が事業拡大を目指す中で出てきたお悩み相談を受け、これまでの経験を踏まえて課題解決のヒントを提示します。

今回は、設備投資に関するご相談です。

金額が高い設備への投資に躊躇しています

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(画像=pixta)

<相談内容>

「約1000万円の口腔内スキャナ―の新規導入と1台約500万円のチェア増設を考えています。
ただ、元が取れるか正直不安です。どうすれば納得のいく決断ができるのでしょうか」


今回は、相談されることが多い「設備投資」の例を紹介します。

投資金額が大きい設備投資では、もちろん失敗は避けたいものですよね。

しかし、「あのメーカーは高すぎる。このメーカーは高くはないけれど性能が……」と考えすぎたり、どこかに落とし穴はないかと不安が募ることも多いでしょう。

また、相談者の院長にしてみれば、経営者としての意思決定を求められても、そもそも教わったわけでもないので決断に自信が持てないのも仕方ありません。

業者に相談しても「導入してもらいたい」という気持ちが伝わってくるし、先輩の開業医に相談しても「悩むだけムダ。とりあえず導入してみろよ」という精神論のような回答をもらうこともあるようです。

これまでも歯科業界は、本来ならば必要でないコストが多く発生してきた業界でもあると言われています。

たとえば、「デンタルショーを見に行った後、院長が突然何に役立つのか分からない機器を購入した」という話を聞くことがあります。

医院の設備投資あるあるの話として、私は「設備がオブジェ化している」と表現しますが、こうしたことの積み重ねがキャッシュフローを圧迫する場合もあるので十分注意が必要です。

しかし、確信が持てない状態で下した判断は、いつまでも後悔してしまいがちです。

これまでの歯科医院経営のコンサルティングを通して、私たちは、安定的な医院経営を阻害する一番の原因は「院長が抱える漠然とした不安」だと考えています。

その中でも特に「スタッフ」と「お金」の問題が不安を増大させることが多いです。