「子どもの教育で老後資金が不足」 そんな歯科医師はどうすればいい?

一般的な職業と比べて、かなりの高収入である歯科医師。その一方で、支出が多いケースも少なくありません。

支出の内訳を見てみると「子どもの教育費」「住宅ローン」「自動車ローン」などが大きな割合を占めています。

特に教育費に関しては、多くの歯科医師が頭を悩ませる問題です。

「子どもにも歯科医師になってもらいたい」と考えている方も多く、その場合は歯科大学などに通わせるための教育資金が必要です。

私立大学では6年間で学費が約3,000万円以上になるとも言われています。

また、早い段階で大学受験に備えるために進学塾の費用や教材費なども家計に重くのしかかってきます。

この連載では、「歯科医師の方を専門とするファイナンシャルプランナー」に寄せられてきた歯科医師からの資産運用に関する、よくあるご相談を紹介いたします。

今回は、子どもの教育資金に関するテーマを取り上げます。

今回のご相談:2人の息子を歯科医師まで育てた結果、老後資金が足りなくなった

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(画像=pixta)

・相談者

「多額な教育資金によって、老後の資産形成が難しい」歯科医師 C先生(72歳)

・相談者のプロフィール

歯科医院を代々経営する家系に生まれたC先生。親から引き継いだ医院の院長を務めながら、二人のお子さんを歯科医師になるまで育てられました。

ようやく肩の荷が下りたと感じていたのもつかの間、自身の老後資金が足りないことに気づき、当面の間は院長として働き続けています。

実際にお会いしたC先生は、とても真面目な印象で「私立の歯科大学に通わせたから、それまでの学費だけでも1億円かかった」と、これまでの苦労話を淡々と語り始めます。

しかし、少し気疲れしているようにも見えました。

歯科医師になるまでには、多くの教育資金が必要です。C先生が2人のお子さんを立派に育て上げたことは素晴らしいことです。

ただ、C先生がこれまでに得てきた収入をお聞きすると、「多額な教育資金が掛かったとしても、もう少し資産があってもいいのでは」と感じました。

では、なぜC先生はこのような状況になってしまったのでしょうか?

増え続ける、子どもに関する資金、老後に向けた資産運用がより重要に

一般的に子どもに関する親世代の負担としては「誕生前後の出産・育児費用」「大学までの養育費・生活費」「学校内外の教育費を含めた教育資金」「成人後の結婚援助資金・住宅取得援助資金」「財産の贈与」などが考えられます。

また、日本は他の国と比べて「親は責任を持って子どもにかかる費用を出すべき」という風潮が根強くあります。

「パラサイトシングル」という言葉が生まれたように、親世代の負担の長期化も問題視されていることはご存じの方も多くいらっしゃるでしょう。

その一方で、公的年金の受給額の低下などに伴い、老後資金を重視する資金計画が求められています。

そのため、教育資金を含めた子どもにかかる費用の全体像を視野に入れ、それぞれ必要になる時期と金額を把握することが、今後ますます重要です。

ライフプランニングで、より具体的な未来のイメージを把握しましょう

C先生が老後資金で苦労されている原因の1つとして、「自分の将来にどのようなことが起きるのか、未来のイメージを具体的に描けなかったこと」もあると、私は考えています。

未来のイメージを具体的に描く方法として、私がお勧めしているのが「ライフプランニング」の実施です。

ライフプランニングとは、自分の人生における将来の夢や目標を考え、「それをいつ、どのように実現していくか」を計画する「人生の設計図」とも言えます。

「ライフプランニング表」を作成することで、この計画をしっかり「見える化」していきます。

ライフプランニング表は、縦軸に「家族の名前と年齢」、横軸に家族それぞれが何年後に何歳になり、どんなイベントが想定されるか、どのくらいのお金が必要になるかを書き込んでいきます。

さらに「キャッシュフロー表」を作成すると、家計の収入・支出の変化も把握できます。

具体的な収入・支出をライフイベントに沿って確認することで、無駄な支出を抑えるなど家計の見直しを図ることも可能です。

今回のまとめ

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(画像=pixta)

ライフプランニングを実施した結果、将来的に資金不足が起こりそうだと分かった場合、どうすればいいのでしょうか。

その場合の解決策としては「学資計画の見直し」「キャッシュフローの改善」「節税対策」などが考えられます。

また、「積立貯蓄」で公的年金をカバーする資産を形成したり、払い過ぎている各種保険の見直しなどで「生活費のサイズダウン」を図ることも有効です。

この連載では、私に寄せられてきた歯科医師からの資産運用に関する、よくあるご相談として3つの事例を紹介してきました。

その他にもさまざまな悩みがあるはずです。私はこれまでのご支援を通じて「資産運用の悩みは、それぞれの家庭で違う」ことを強く実感しています。

「お金のことは、どうしても苦手だ」と感じている方は、資産運用のプロである私たちファイナンシャルプランナーにぜひご相談ください。この記事が歯科医師の先生方のお役に少しでも立てれば幸いです。

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本間 博史

歯科専門ファイナンシャルプランナー

歯科医院の経営サポートの「攻め(マーケティング)」と「守り(お金の対策)」をバランス良く提供。歯科医院の院長先生の「夢」を設定し、将来を明確に思い描く。

キャッシュフローの試算を基に、まずは単年度予算を作成し、歯科医院経営を見える化。ここをスタートに目標と実績のギャップを示し、ギャップの改善をPlan-Do-Check-Actionサイクルを通じて実行。

これまで数々の支援を通じて「資産運用の悩みは、それぞれの家庭で違う」ことを強く実感したうえで、歯科医院の院長先生ごとのファイナンシャルプランナーとして寄り添う。