20代勤務医からの相談・自費診療と保険診療の割合や開業医の利益の出し方は?

開業から10年間、安定経営を継続するつゆくさ歯科医院の小塚義夫先生。自費率30%以上、売上もメインテナンス数も好調の忙しい日々の中、多くの若手歯科医師からの相談にも精力的に対応しています。

もともと教師への憧れがあり、「歯科は教育業である」と考える小塚先生。自身も様々な「師」の教えに助けられた経験への感謝から、後輩の育成のために今日も貴重なアドバイスを贈ります。そんな小塚先生のweb版開業相談室、4回目の開講です!

ご質問者Dさん:卒後2年目の20代の勤務医

⬛︎Question 1⬛︎

開業医としての利益の出し方についてお聞きしたいです。

●Answer1●
院長になるにあたっては、財務の勉強もしなければいけません。財務がわかれば、おのずと利益の出し方もわかります。売上さえあがれば利益も増える、というのは間違いです。

入門書としては、和仁達也さんの「キャッシュフロー経営って?」という本を参考にするといいでしょう。開業までに必読です。この本を読めば医院のお金の流れがよくわかり、投資と浪費の違いが明確になります。

利益が出る経営をするために最も大切なことは、立地です。視認性があり、広告を出さなくても患者さんに認知できる立地かどうか、そして売上に対して適切な家賃か(家賃は売上の5%以下が目標)?開業する場所を間違えると、その後いくら頑張ってもあまり報われないこともよくあります。

また、利益を増やすためには、売上アップのほかにも、

  • 変動費(材料代や技工代)を減らす
  • 人件費を適正にする
  • 無駄な経費を使わない
  • 家賃や広告などに費用をかけ過ぎない など、色々と考えるべきことがあります。

自分が理想とする医療の提供を、安心して継続できる環境を手に入れるためには、財務の知識が不可欠といえるでしょう。

⬛︎Question2⬛︎

自費診療と保険診療のバランスは、どれくらいが良いですか?

●Answer2●
自費診療と保険診療のバランスは、自分がどんな医療を提供したいかによって違ってきます。「高品質の医療を、じっくり時間をかけて丁寧に提供したい」と思うのであれば、自費診療率100%がいいでしょう。 ただし、自費100%の治療を希望する患者さんはそんなに多くなく、集患で苦労することになります。

一方で、「たくさんの患者さんに喜ばれる医療を提供したい」と思うのであれば、保険診療の割合が増えてきます。 ただし、保険診療は、1回の治療に対する時間制限があることが前提になります。時間をかけすぎると、たちまち赤字になるからです。

そのため、保険診療にウエイトを置き過ぎると、図らずしも薄利多売のスタイルとなり、院長自身もスタッフも、肉体的に疲れてしまう傾向があります。

ちなみに、私の医院は自費診療が約30%、保険診療が約70%です。 保険診療を手際よく行いながら、自費診療にじっくり時間をかける…、保険と自費をバランスよく両立するために、勤務医を含め、常に3人以上の歯科医が診療所で勤務する体制を整えています。

⬛︎Question3⬛︎

1日の患者数は、どれくらいを目指すべきですか?

●Answer3●
1日の患者数は、診療チェアの台数とプレイヤー(歯科医師&衛生士)の数に比例します。 保険診療が中心としていて歯科医が院長1人であれば、まずは1日の患者数20人が目標になると思います。自費診療が中心であれば、自費の単価にもよりますが、院長1人に対して1日の患者さんの数は数人でも問題ないと思います。

⬛︎Question4⬛︎

開業するタイミングは、いつがよいでしょうか?年齢や経験値に関して、最適な時期を知りたいです。

●Answer4●
開業に年齢制限はありませんが、30代に開業するというのが、ひとつの目安になりますね。あまり若すぎると経験が足りなくて苦労しますし、年を取り過ぎてから開業すると体力的にしんどくなります。

30代が学術的に自信がつく時期であることも、当然、その理由のひとつです。あまり急いで開業するよりも、それまでに経営に関する知識をつけたり、経験を積んだりしておくと良いでしょう。

例えば、30代の開業を目標にする場合、勤務医となった最初の3年は学術に集中し、次の3年は経営の知識を入れながら勤務先の歯科医院で経営にも関わっていく、というスケジュールを立てられます。

勤務医時代にある程度、医院経営の基礎知識をつけてから開業するとロケットスタートをきることができます。何も知らずに開業して、慌てて経験者に話を聞きに行くようでは、経営が軌道に乗れるまでのスピードで遅れをとってしまいます。

もちろん、それよりも深く勉強したり実践を重ねたりしたいなら、もっと準備に時間をかけるべきですし、逆に最低限の準備でできるだけ早く開業したいなら、準備期間を短縮することも不可能ではありません。

⬛︎Question5⬛︎

どこで開業すべきか悩んでいます。開業する場所を選ぶ基準を教えてください。

●Answer5●
開業する場所を選ぶ基準は、「自分がやりたい医療を提供できる場所」であるかどうかです。 開業する場所によって、来院する患者さんの年齢層や求められる治療の質など、すべてが変わってきます。

「高品質の医療を提供したい」と考えていて100%自費診療のクリニックを目指すなら、交通の便がよい都市部の駅前などが良いでしょう。 一方で「地域医療に貢献したい」といった気持ちがあるなら、郊外での開業が良いでしょう。 気をつけたいのは、人口動態です。

これから人口が増える場所なら問題ないですが、過疎化していく場所に開業すると年々集患に悩まされる未来が想像できますので、できれば避けたいですね。

⬛︎Question6⬛︎

周辺に、他の歯科医院がある場所に開業するのは避けるべきですか?

●Answer6●
ズバリ、逆です。 人が多い街には、歯科医院がたくさんあるのです。歯科医院が少ない街は、人も少ないということです。 つまり、周辺に他の歯科医院があるのは、そこが集患できる場所である証拠といえます。

問題は、既存の歯科医院に勝てる何かを自分がもっているかどうかです。 すべてにおいて勝つ必要はないのです。ひとつでも勝てるものがあって、それを患者さんに上手くアピールできれば、その場所での開業が成功につながるでしょう。

⬛︎Question7⬛︎

初期投資には、どれくらいの資金が必要ですか?

●Answer7●
ざっくりですが、土地を購入して医院を建てるなら1~2億円以上、土地を借りて医院を建てるなら1億円くらい、テナントを借りて改装するなら5000万円~8000万円くらい必要です。

この手の相談は税理士さんや歯科専門の内覧会コンサルタントさんが詳しいです。開業前だと、開業後に税理士顧問を御願いすることが前提であれば、税理士さんは無料で相談にのってくれます。開業を決めたのであれば早めに税理士さん探しをするといいと思います。

⬛︎Question8⬛︎

スタッフの人数や診療ユニットの台数は、どうやって決めるのでしょうか?

●Answer8●
「自分がやりたい医療」が何であるかによって、スタッフや診療ユニットの数が決まります。自費診療のマイクロエンドを専門でやっている私の友人は、診療チェア1台のみです。

スタッフは、受付に彼の母が一人いるだけ。それ以外の従業員はいません。スタッフマネジメントがストレスになるから、あえてそのスタイルを選んでいるそうです。

一方、歯周治療を中心とする私の医院は、歯科衛生士の活躍が必須であることと、患者さんの教育のために歯科助手もカウンセリングを行うことがあるので、スタッフ20人・診療チェア8台・カウンセリング室2部屋という体制をとっています。

まずは、やりたい医療はなにか、目指す歯科医院のスタイルはどんなものかを明確にしましょう。そうすれば、おのずと必要となるスタッフや診療ユニットの数が決まります。 参考として、目指す医院のスタイル別の診療ユニット数とスタッフの人数を紹介します。

(1)目指すスタイル:地域密着型の小規模医院  診療ユニット数は3前後、Drは院長のみ、スタッフ3人程度

(2)目指すスタイル:地域制圧型の大規模医院  診療ユニット数は7~20、院長+副院長+Dr2~20人、スタッフ20~100人以上

(3)目指すスタイル:専門性の高い医療に特化した小~中規模医院  診療ユニット数は3~8前後、Drは院長のみ(またはDr2~5人)、スタッフ3~8人程度

⬛︎Question9⬛︎

これから開業する場合、導入すべき設備は何ですか?例えば、CBCTや口腔内スキャナーは必須でしょうか?

●Answer9●
設備についても、自分のやりたい医療に必要な機器を備えればよいと思います。これからインプラントをやりたい場合は、CBCTはあった方がよいでしょう。インビザラインをやりたければ、口腔内スキャナーは必要ですね。

ただし、最初からあれもこれも導入すると資金ショートを起こしかねませんので、最低限にして、少しずつ増やしていく方がよいと思います。 それから、機器を買う時には、「何年後に元がとれるか?」ということをしっかり考えてから買うようにしましょう。

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