歯科医院の院長が現場のトップじゃダメなのか?

この連載では、組織を成長させるマネジメント方法のベストプラクティスとして、2,000社以上が導入してきた「識学」のコンサルタントである冨樫 篤史が、歯科医院の経営で悩んでいる院長の相談に対して、その課題解決のアドバイスを提言します。

相談:院長自身がトッププレイヤーになっちゃだめですか?

Q:私は「治療」「勉強」「現場」にいることが大好きです。

しかし、経営者の立場にあることは分かっています。

ただ、できれば現場のトッププレイヤーであり続けたいのです。

こうした考えは、単なるわがままなのでしょうか。

例えば、私の妻に経営の一部を任せたりしてはいけないことでしょうか?

A:そんなことはないと思います。

歯科医師になるため、難関の国家試験に合格するための努力をされてきた先生ですから、「学会に行きたい」「臨床的な研究をしたい」など、自分の歯科医師としての道を究めたいと考えるのは素晴らしいことだと思います。

Q:ありがとうございます。

A:ただ、院長は歯科医院の経営トップとしての役割も当然担わなければいけません。

家族経営の歯科医院では、識学で定義されている「組織のゆがみの5大要素」である「指揮系統」のゆがみによって、組織が混乱することもありますので注意が必要ですね。

Q:「指揮系統」のゆがみとは何ですか?

組織の序列や役割の位置をずらす「階層飛ばし」

A:理事長や医院長、チーフ、現場のスタッフといった階層がある組織では、院長がチーフを飛ばしてスタッフに指示するような「階層飛ばし」が組織のマネジメント力を損なう可能性があります。

例えば、院長がチーフを信頼できないため、直接現場の歯科衛生士にコミュニケーションを取りに行ってしまうといった行動がそれに当たります。

その結果、「自分の上司は、信頼されていないのでは」と考えて、上司を値踏みしたりすることもあります。

また、退職を恐れるあまり院長がスタッフに対して媚を売ったり、違う部署の歯科医師が他部門の歯科衛生士や歯科助手に指示やアドバイス、注意などを勝手に行う横槍なども例として挙げられます。

さらに、今回のご相談のように、組織に直接所属していない院長の奥さんが院長のような立ち振る舞いをする場合も、指揮系統が乱れることにつながりますね。

Q:どんなことが起きてしまうのですか? 妻は、スタッフの誕生日のお祝いをしたり、頑張ってもらうために尽くしてくれたりするのですが……。

A:夫婦がツートップ体制になった場合、どちらの指示に従えばよいか分からず、現場が混乱することが多いですね。

最悪の場合、院内の混乱が原因で夫婦関係まで悪化したり、その夫婦関係の悪化がさらに院内の組織状態を悪化させてしまうといった負のスパイラルに陥る可能性もあります。

識学では、リーダーが行うべきこととしてスタッフを「個人」という枠組みではなく、組織内の役割である「機能」と捉えてマネジメントすることを勧めています。

同一人物の家庭内の序列と院内の序列の位置関係が切り分けられないことも多くあるので、夫婦でのツートップ体制はなるべく避けた方がいいですね。

Q:そうなんですね……。ちなみにこういった階層飛ばしを防ぐためには、どうすればいいですか?

指揮系統を明確にした「組織図」を策定すべし

A:指揮系統に沿った役割別に明確にした「組織図」を作成してみてはいかがでしょうか。

役割が複数ある場合は、同一人物が何箇所か登場することもあります。

ここで重要なのは「自分が関与するスタッフと、関与しないスタッフを明確に分ける」ことです。

また、「階層飛ばし」や「他部署への指示」を禁止することもお勧めします。

階層飛ばしが発生すると、管理者が管理できないことの言い訳を許すことにもつながってしまいます。

それにより管理者が育たない原因にもなります。

院長が直接的に指示する必要がある部下については、院長の直属にするなどの対策を取ってください。

Q:あの……、最初の質問だったトッププレイヤーで居続けたいというのは、いかがでしょうか。

自分の時間を「本当にやりたいこと」に使えていますか?

A:「多くの院長が、効率的な歯科医院の経営は難しいと感じている」と聞いています。

現状、経営自体は上手く行っていると思われますか?

Q:正直な所、組織内部の問題に時間やコストが取られているのが現状です。

「モグラたたきに終始する」というような、不本意な時間の使い方をしています。

A:そうなのですね。では、まずそうした時間を減らすための取り組みを始めてみてはいかがでしょうか。

識学では、経営者の非効率な時間を取り戻すためのご提案も可能ですよ。

Q:え、そうなんですか! ぜひ詳しく教えて下さい!

第3回まとめ

院長をはじめとした読者の皆さんは、今回の相談についてどう感じたでしょうか? 

識学では、経営者の負担を軽減できる歯科医院経営の実現に向けてアドバイスすることも可能です。

少しでも興味を持たれた方は、ぜひ私たちコンサルタントへご相談してください。

お気軽にご相談ください!

院長をはじめとした読者の皆さんは、今回の相談についてどう感じたでしょうか? 

識学では、組織のゆがみを生じさせる要素を理論的に解決する方法の実践をコンサルタントが支援しています。

少しでも興味を持たれた方は、ぜひ一度識学までご相談ください。

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冨樫 篤史

株式会社識学 品質管理部長

2002年、立教大学経済学部を卒業後、株式会社ジェイエイシージャパン(現ジェイエイシーリクルートメント)に入社。おもに幹部クラスの人材斡旋や企業の課題解決を提案。

2015年10月に識学に入社。大阪支店の支店長などを経て、現在は品質管理部長としてコンサルティング品質の標準化とレベルアップの責任者として従事。

今回、歯科医院経営における組織マネジメントの課題を「識学」で解決してきた実績を踏まえ、当サイトにも寄稿頂く。