他医院と差別化の方法、リピート率の上げ方とは?  ―20代歯科勤務医の相談―

開業から10年間、安定経営を継続するつゆくさ歯科医院の小塚義夫先生。

自費率30%以上、売り上げもメインテナンス数も好調の忙しい日々の中、多くの若手歯科医師からの相談にも精力的に対応しています。

もともと教師への憧れがあり、「歯科は教育業である」と考える小塚先生。

自身も様々な「師」の教えに助けられた経験への感謝から、後輩の育成のために今日も貴重なアドバイスを贈ります。

ご質問者Eさん:2021年4月から当院に勤務している女性歯科医師

pixta_82933727_M_歯科_電子カルテ_歯科衛生士_歯科助手_2
(画像=pixta)

⬛︎Question 1⬛︎
開業する際、既に開業している周りの歯科医院との差別化を図る秘訣はありますか?

●Answer1●
リサーチです。

既に開業している歯科医院があまりやっていないことやなかなか習得が難しいことで、患者さんからの需要があることは何かを把握し、それについて学んで習得してから開業すれば差別化できます。

開業地を探す際は、近くの歯科医院に対して自分のウリ(得意分野)で勝てる場所を探せば簡単に差別化を図ることができます。

ただ、もっと難しいのは、開業後も差別化できている状態を継続することです。

後から開業する人の方が有利なので、さらに差別化を図られる可能性がありますからね。

だから、開業したらゴールではなく、開業がスタートです。

そこからいかに頑張り続けるかが大切なんです。大変ですが…。

⬛︎Question2⬛︎
リピート率を上げる秘訣はないですか?

●Answer2●
歯周治療をしっかりと行って、「メインテナンスの大切さ」を伝え続ければ、おのずとリピート率が上がります。

歯周治療の実施と、患者さんとのコミュニケーションの量に比例して、リピート率は上がります。

私の医院では、必要に応じて、歯科衛生士や歯科医師だけでなく、歯科助手やトリートメントコーディネーターに患者さんのカウンセリングを任せ、歯科医院のファンを増やす工夫をしています。

⬛︎Question3⬛︎
一般的に、開業してから何年くらいで開業資金の回収ができますか?

●Answer3●
開業時にどれくらい投資するかによっても違います。

実は、開業して経営が軌道にのると、開業資金を回収するどころか、さらに投資をして借金を増やしていく傾向にあります。

一般的に成功していると言われている院長ほど借金が多いというのが実情です。

常に投資し続けなくてはならないことへの不安はないかと聞かれることがありますが、「借金は時間を借りている」ということですので、前進のためには必要です。

ほかにも、勤務医の求人のために器材を購入するケースもあります。

特にマイクロスコープなんかが、人気ですね。

私の医院では、勤務医一人ひとりにライト付きの拡大鏡を支給しています。

そうすることで、拡大鏡を使いたいときに誰かが使っていて使えないという問題が起こりません。

1台につき50~60万円の投資ですが、経験が少ない分、よく見えることがその経験の少なさをカバーできると思うので、安い投資だと思っています。

⬛︎Question4⬛︎
保険診療と自費診療の割合がどれくらいなら成功する、という必勝パターンはあるのでしょうか?

●Answer4●
ないです(笑)

自費診療率100%でも保険診療率100%でも、それぞれで経済的に成功している院長がいます。

その院長に合ったスタイルで割合を決めて、日々の診療がやりがいを感じられて、金銭的にも不自由していなければ良いと思います。

⬛︎Question5⬛︎
開業時に入ってくれたスタッフと良い関係を維持し、「できるだけ長く勤めたい」と思われる職場環境をつくる方法はないのでしょうか?

●Answer5●
スタッフとの関係は、永遠の課題です。

開業時からずっと、よい関係を維持できている院長を見たことがありません。

ほとんどの院長が、スタッフとの関係について悩んでいます。

勤務医時代にスタッフと仲良くやっていても、その時の関係と、院長になってからのスタッフとの関係では全く違います。

雇用者同士の関係と、雇用主と雇用者との関係という違いがあるからでしょう。まず、そこに戸惑います。

しかし、そこで悩み苦しみ、乗り越えたという経緯があるからこそ、スタッフに「できるだけ長く勤めたい」と思われる環境をつくれるのだと思います。

人間関係で苦しんだ人だからこそ、人の気持ちや大切さを理解できるようになるのですね。

スタッフマネジメントの悩みを抱える歯科院長は孤独です。

支えとなる存在が必要ですが、私の場合は外部のコンサルタントにマネジメントを依頼しました。

院長がすべてを抱えるのではなく、外注するという判断も時には必要です。

その時の注意点としては、外部スタッフと院長の意見を統一しておくことです。

そこに揺らぎがあれば、かえってスタッフが戸惑ってしまいますからね。

★最短で開業を目指す先生方に大人気!
※2021年7月29日10:30〜本放送・8月1日9:00〜再放送予定 (下記セミナーは盛況のうちに終了いたしました)

【おすすめセミナー】
・【無料】たった4カ月で歯科衛生士276名の応募獲得! 歯科衛生士・歯科助手採用セミナー

小塚 義夫

医療法人つゆくさ歯科医院 院長 / 歯科医師

平成23年5月に名古屋にて、つゆくさ歯科医院を開業。専門は歯周病・入れ歯全般。歯周病治療に力を入れており、ターゲットを具体化した歯科医院経営の成功事例として多数の講演実績あり。

元々は教職志望だったこともあり、後輩歯科医師の育成にも注力。開業を志す若き歯科医師のよき相談相手としても活動中であり、開業にまつわるエピソードや知見を基に、あきばれ歯科経営 onlineにも寄稿頂く。