言い訳が上手くなる歯科医院スタッフには、いい緊張感を与えよ

この連載では、組織を成長させるマネジメント方法のベストプラクティスとして、2,000社以上が導入してきた「識学」のコンサルタントである冨樫 篤史が、歯科医院の経営で悩んでいる院長の相談に対して、その課題解決のアドバイスを提言します。

■相談内容:以前の歯科医院の評価制度や育成方法と比べられて困っています

Q(相談に来た歯科院長):最近、中途採用で入った歯科衛生士から「前の医院では、私の▲▲▲の部分を高く評価してもらいました」「前の医院では、こう教わってきました」ということを何度か言われてしまいます。

うちの医院のやり方を覚えてほしいのに、なかなかうまくいきません。どうすればいいのでしょうか。

A(冨樫):「評価制度」や「人材育成」に関するご相談ですね。現在は、どのような評価制度や人材育成を行っているのでしょうか。

Q:それが……、実はちゃんとしたものがなくて困っているんです。

A:なるほど。識学では、組織にゆがみをもたらす5大要素として「評価」「育成」が挙げられます。

正しい評価や育成の制度がなければ、組織の成長を阻害する要因になってしまいますよ。

Q:え……、どういうことですか?

歯科医院に最適な評価制度がないと、優秀なスタッフが離脱する可能性も

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(画像=naka/stock.adobe.com)

A:組織の生産性を左右するものの1つとして「評価制度」が挙げられます。

評価制度の有り・無しはもちろん、その設計方法によっては組織の在り方を大きく変える可能性があります。

定量的な目標が設定しにくい歯科治療では、目標設定が明確ではない評価制度を採用している歯科医院も少なくありません。

ただ、評価制度の成績は、スタッフの昇格や昇給などを決める大事な指標です。

評価に納得できない場合は不満を覚えたり、「今の職場にいても実入りが少ない」と感じたら離職する可能性もあります。

また、上司によって評価の基準がまちまちだった場合、特定の部署だけ優秀な歯科スタッフの退職が相次いだり、「頑張らなくても、それほど評価に影響がない」と分かれば、あまり優秀でない歯科スタッフがだらだら長く居続けることも考えられますね。

さらに昇給や昇格、手当などの基準が適当だったり、属人的な評価がなされていると、組織をゆがませていく原因にもなると言えるでしょう。

Q:そうなんですね……。適切な評価制度を策定するには、どうすればいいのでしょうか。

A:識学では、評価項目をできる限り「完全結果」で設定することを推奨しています。

完全結果とは、「期限」と「状態」が明確であることを表しています。

完全結果の提示で、部下は「何を求められているのか」がより明確になって、自分から成長する意欲を持ったり、集中力の向上や達成感の充足にもつながっていきます。

また、たとえ目標が達成できなかった場合でも、完全結果とのギャップを知ることで「どこが、どれくらい足りなかったのか」が自分でも理解しやすくなります。

そこから次の目標設定やその達成に向けた正しい改善策や行動を導きやすくなるというメリットもありますね。

Q:なるほど。育成についてはどうなんですか?

ルールの明文化で「いい緊張感」を与える

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(画像=taka/stock.adobe.com)

A:まず適切な育成方法を実施しないと、管理職や現場の歯科スタッフの成長は期待できません。

また、スキルアップが図れないと、与えられてから動くことが前提となる「自分のことだけをやっていればいい」というスタッフが増えてしまいます。

その結果、言い訳ばかりが上手くなるというゆがみを生むきっかけにもなります。

あるいは、現場で声の大きい年長者や院長と仲の良いといった実際の能力とは別の理由で、スタッフをチーフに抜擢するといったことも多々見られます。

その場合、管理の役割が機能しなくなって院長の管理負荷が増えたり、管理をするチーフを目指すという人も少なくなるということが考えられるでしょう。

Q:そうしたゆがみを解決するには、どうすればよいのでしょうか?

A:識学では、明文化されたルールを設定して目標達成の指示や基準を伝え、達成に向けた取り組みを推進していくマネジメントを勧めています。

結果、「自己成長」への期待や、その歯科医院で働くことによる「社会的な評価の獲得」などによって、優秀な歯科スタッフをつなぎ留めることも可能になると考えます。

また、人の行動を決定する要素である「希望」と「恐怖」の2つの内、恐怖の感情についてもマネジメントに上手に活用していることが識学の特徴として挙げられます。

Q:え、ちょっと怖いんですけど……。

A:驚かせてしまって申し訳ないです。何も「恐怖政治をしろ」と言っているわけではありません。

適切な目標を設定して遂行させるために「いい緊張感」を与えることが目的なのです。

危機感のある人はそれを乗り越えるために自分で考えたり、学んだり業務を改善することを通して成長できるからです。

Q:おお、それは面白い発想ですね。もう少し詳しく教えてください。

第4回まとめ

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(画像=直聖 安田/stock.adobe.com)

院長をはじめとした読者の皆さんは、今回の相談についてどう感じたでしょうか? 

識学では、効率的な医院経営を目指すためには、組織力の向上は必要不可欠と考えます。

識学は、その実現を強力にサポートしています。少しでも興味を持たれた方は、ぜひ私たち識学のコンサルタントへご相談してください。

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冨樫 篤史

株式会社識学 品質管理部長

2002年、立教大学経済学部を卒業後、株式会社ジェイエイシージャパン(現ジェイエイシーリクルートメント)に入社。おもに幹部クラスの人材斡旋や企業の課題解決を提案。

2015年10月に識学に入社。大阪支店の支店長などを経て、現在は品質管理部長としてコンサルティング品質の標準化とレベルアップの責任者として従事。

今回、歯科医院経営における組織マネジメントの課題を「識学」で解決してきた実績を踏まえ、当サイトにも寄稿頂く。