「前職ではこうでした!」 歯科医院の方針に従わない 中途採用DHとの接し方

年々、経営環境が厳しくなっていると言われる歯科医院。多額の初期投資によって開業したものの、さまざまな経営上の問題に直面して悩んでいる院長は多くいらっしゃいます。

この連載では、多くの歯科医院の経営に関するコンサルティングを手掛けているユメオカの代表である丹羽 浩之が、歯科医院が事業拡大を目指す中で出てきたお悩み相談を受け、これまでの経験を踏まえて課題の解決のヒントを提示していきます。

今回は、「自医院の方針に従わない中途採用DHとの接し方」に関するご相談を取り上げます。

自医院のビジョンを中途採用DHに上手く伝えるには?

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(画像=polkadot/stock.adobe.com)

相談内容

「最近、中途採用DHが入職しました。スキルも経験もあるのですが、以前の医院の方法で全部やろうとして困っています。改善してもらおうと注意すると、露骨にムッとされてしまいます。どう接すればいいのでしょうか」

トラブルの根本的な原因は院長側にある?

どうやって自医院の考え方や方法に合わせてもらえばよいのかについて、悩んでいる院長はかなり多いです。あえて厳しいことを言わせてもらうと「こういう事態になる原因は、院長にもあります」と伝えることもありますね。

なぜなら、医療スタッフに医院のミッション、コンセプトが伝わらない根本の原因は「面接や入社時に正しく伝えられていないことだ」と私たちは考えているからです。

スタッフを採用する場合、まず採用時の「入口対策」を重視しなければいけません。この対策を怠ると、入職後の一定期間は「ムッ」とされることもあると思います。ただ、それはあくまでかすり傷程度です。本当に恐ろしいのは、後々起きる大きなトラブルであることを忘れてはいけないでしょう。

なぜ、入口対策が重要なのか

私たちは常日頃から、院長に対して「ビジョンを伝えることが非常に大きな意味をもたらすことを理解してほしい」と説明しています。ただ、医院の中には、そもそもビジョンを伝えることすら実施していないケースもあるのです。

ユメオカでは「医院のミッションを定期的に共有し、その方向性を確認する場を設けることが重要だ」と説いています。ビジョンを共有した後に、注意するとムッとする人がいた場合、自身のプライドを持って仕事をしていると捉えててみてはどうでしょうか。

「以前勤めていた医院では、この方法でやってきた」というのは、その人が「これまでに学んできた教科書に書かれている」と理解してみてください。もちろん、院長が期待する自院の教科書とは異なることもあるでしょう。ただ、教科書が違うという理由だけでお互いの価値観をぶつけ合っても、何も生まれません。

「それは間違っている」と指摘・注意するのではなく、これまで取り組んできたことを「素晴らしいこと」だと認めることも大切です。その上で、スタッフミーティングでも共有しているように、「自院でのやり方は、このビジョンのこういう考え方に基づいている。それを前提にすると、以前のやり方では、この部分が合わないですよね。それについてはどう考えますか?」と確認しながら、納得してもらいつつビジョンを伝える方法に切り替えてはいかがでしょうか。

円滑にビジョンの共有を進めるコツ

医院のビジョン共有を院長が一人でやるのが難しいということであれば、コンサルタントなどの第3者の協力を得ることも1つの選択肢です。 たとえば、コンサルタントが同席した上でビジョン・ミッションをスタッフと共有し、必要に応じてコンサルタントから補足してもらい理解を深めてもらう方法もあります。その後、個別面談で具体的な改善への提案も可能です。

まずは、誤解やすれ違いがあったことを理解してもらい、その人の立場をしっかり守りながら、医院のビジョンやコンセプトの方向性を説明することが重要です。そうしたプロセスを取ることで、スタッフ側もそれほど悪い気はしないでしょうし、ビジョンやミッションを共通言語することで、一緒に業務をするうえで多くのすれ違いを回避することにもつながります。

ビジョン共有を実現している「としな歯科医院」の事例

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(画像=としな歯科医院HPより)

私たちは、医院のビジョン・ミッションを共有することは、現場のすべての課題解決につながると考えています。ビジョンに基づいた基本的な立ち位置やスタンスが共有し、院長が求めている役割を理解した上で、それぞれが業務を遂行するこそ、より良い医院経営を実現できると思います。

ユメオカと一緒に長年医院経営の改善に取り組んでいるのが「としな歯科医院」(大阪府泉大津市)です。同医院とユメオカは、十数年来のパートナーでもあります。としな歯科医院では、ビジョンとなる明確なカンパニースピリッツ、ミッション、行動指針(クレド)を掲げ、患者や地域に広く配信することで、スタッフの一人ひとりが責任感を持って行動することを実現されています。

★としな歯科医院のホームページはこちら

予防管理型医院に起こりがちなトラブル

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(画像=buritora/stock.adobe.com)

最近、主流となりつつある予防管理型の歯科医院では、従来以上に現場の歯科医衛生士などスタッフの対応が重要です。ただ、現場主導の運営が進むと、院長が把握できないことも増えてきます。

たとえば、院長が気づかない間に診療システムの変更を進めようとしてトラブルが発生するケースも出ています。もちろん、スタッフは「この変更に意味がある」と思って実施しているでしょう。ただ、相談がなかったという理由で、院長が頭ごなしに否定するのは望ましい対応とはいえません。

院長がこれまで構築していた診療システムには、そうなった経緯や必要性が存在するのはもちろんです。そこに加えて、スタッフが改善しようとすることにも重要な意味があります。ときには、システム構築に至る背景を知らずに変えていることもあるでしょう。しかし、院長からしてみれば「勝手に変えられては困る」とトラブルになりがちです。こうしたすれ違いは「情報量の不一致から生まれる」と理解していただきたいです。

この不一致を解消するアプローチを取ることで、トラブルを防ぐことが可能になります。まずは「その改善には、どういう意味があるのか?」を冷静になって確認することをお勧めします。医院全体でビジョン・ミッションを共有して同じ方向に進んでいることを確認ができないと、トラブルは間違いなく発生します。その一例が、先ほど挙げた、診療システムの導入です。

どこまで介入して、どこまで任せるべきか、答えはシンプル

どこまで現場に任せればいいのか、どこまで介入すればいいか? その答えとしては「まずミッション・ビジョンを共有する」こと」だと思います。また同時に、あまり細かい所まで介入せず。言い過ぎてはいけないと考えています。

院長のスタンスとしては「ビジョン・ミッションを共有すればあとは任せる。行動指針(クレド)を繰り返し共有すれば、大きく間違ったことにはならない」という気持ちを持っていただきたいですね。個別な具体的なケースを悩むのではなく、もっと次元の高い行動指針に一致しているかをぜひ判断してください。

細かい部分については、現場のスタッフに任せてみることも重要です。そもそもスタッフに任せる気持ちがなければ、権限移譲すること自体はお勧めできません。


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予防型経営★実践アカデミー

予防型歯科医院づくりに邁進する全国の院長が集まっているのが、予防型経営★実践アカデミー。 会員制(月額5,500円)で「学び・交わり・相談できる」場となっていて、ユメオカ共通言語をもとに、他医院の事例を学び、zoomなどで交流し、個別相談も可能です。

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