私はこれまでに医院を経営する多くの歯科医師にお会いしてきましたが、話をしていて気になることがよくあります。
それは先生方の抱えている「お金に対しての誤解」です。
ここで言う誤解とは、お金に対する捉え方や使い方を指しますが、なぜ誤解は生まれるのでしょうか?それはお金に対する知識不足や、お金のことを真剣に考えていないから。
つまり多くの方が、なんとなくお金と付き合っているからです。
今回は、お金を手にするとつい気が大きくなって散財してしまう先生の例を紹介します。
浪費グセを直し、正しくお金を使うためには何に注意すればよいのでしょうか。
今回のご相談:お金があると、つい使ってしまうんだけど…
お金を管理しないのは、長期的な視点がないから
歯科医師に限らずお金が入ると、すぐに使ってしまう人がいます。その特徴としては、お金の管理が苦手な方が多いように思います。
これは長期的視点の欠如で、先のことを考えていないことが原因です。
歯科院長の多くは、毎月一定の高額収入が見込めるため、節約したり生活費を切り詰めたりする必要がありません。
そのためお金を管理しようとわざわざ考えないのです。
しかし、どれだけ高収入であっても、お金の管理が苦手で際限なく欲しいものに飛びついていては切りがありません。
同時に豊かな心で平穏な生活を送ることも困難でしょう。
また歯科院長の家系は親、あるいは祖父母が資産家であることも多いため、最後には何とかなると考えている方もいます。
そういった慢心が散財につながるケースもあります。
自分にとって本当に必要なものは?
欲望のままに支出を重ねないようにするには、自分にとって本当に必要なものは何なのかを考えることが重要です。
そのためには、自分らしいお金の使い道を見つめ直すことからはじめます。
まずは下記のような項目について、自分と対話してみましょう。
- 自分は何のために歯科医師になったのか?
- どのような歯科医院にしていきたいのか?
- 目指すべき歯科医院にするには何に投資すべきか?
また車や腕時計などを見て、物欲が高まってしまった場合も同様に、一度立ち止まって自分に問いかけてみましょう。
- 自分がこういうものにお金をかけたい理由は?モテたいため?権力欲?それとも?
- 同じようなものを既に持っていないだろうか?
- これを買うことで諦めないといけないモノやコトはどれくらいあるのだろう?
子どものしつけのようですが、これぐらいシンプルなほうが実行しやすいのです。
次は具体的な相談者の例をご紹介します。
今回の相談者:
無駄にお金を使ってしまうたびに自己嫌悪に陥る I 先生(30代)
相談者のプロフィール:お金が手元にあると派手に使いたくなる30代イケメン歯科医師
医科歯科連携を推進するイケメン歯科院長。
患者さんからの評判は良く、仕事に取り組む姿勢は至って真面目ですが、性格は派手で宵越しの金は持たないタイプです。奥さまは大手航空会社の元CA。
「お金はパワー」と誤解している節があり、手元のお金が増えると途端にお金の使い方が派手になります。
評判のクリニックですので収入は充分にあるのですが、散財のし過ぎで支出は膨らむ一方。
コロナ禍に融資として借り入れた4千万円も、遊びに使ってしまったといいます。
わたしも「今月は売上が良かったので、うまいものでも食べに行きましょう」とよく誘っていただくのですが、用意されるお店は銀座界隈の寿司や鉄板焼きなどの高級店。
あまり売り上げが芳しくない時は新橋の居酒屋になります。ある意味とてもわかりやすい先生です。
特に女性が接待をしてくれるお店では、シャンパーニュの乾杯にはじまり、その後も高額ワインを次々に開けていきます。
そして散々豪遊した翌日にLINEで「またやっちまった…」と後悔の弁。何度も同じことの繰り返しです。
さらに、奥さまも浪費の天才。ブランドもののバッグや洋服が大好きで、新作が出るたびにその華麗なるコレクションに加えられていきます。
こんな状況では歯科医院の経営は上向きませんし、老後も心配になります。
I 先生へのアドバイス
I 先生にはキャッシュフローを可視化する表の作成を提案しました。
本人は何にどれだけ使ったのかをほとんど把握しておらず、どこに無駄があるのかを振り返るためです。
しかし面倒くさがりな性格から、お金の流れを記録するのが苦であったようで、長続きしませんでした。
面倒くさがりの人には、小難しいキャッシュフロー表ではなく、「欲しいものリスト」ぐらいで良いのかもしれませんね。
そしてもうひとつ、自分にとって何が消費・浪費・投資にあたるのかを考えてもらいました。
これは前述した自分との対話のことですが、「自分にとって何が本当に必要なのか」をイメージしやすくするために効果的です。
今回のまとめ
わたしの知見になりますが、高収入を得る歯科医師のような職業は、お金の管理が苦手な人が多いように思います。
預金通帳の残高を気にしないどころか見ないのです。
毎月大きな金額が入ってくるので、後先考えずに散財してしまうのもわからなくはないですが、正しくお金を使わなければ歯科医院は発展しません。
このような状況から抜け出すには、どのようにお金を使うことが自分らしいのかを考える必要があります。
お金を使う前には、一度立ち止まって考えるようにしましょう。もし上手くいかないことがあれば、お気軽にご相談ください。
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歯科医院の経営サポートの「攻め(マーケティング)」と「守り(お金の対策)」をバランス良く提供。歯科医院の院長先生の「夢」を設定し、将来を明確に思い描く。
キャッシュフローの試算を基に、まずは単年度予算を作成し、歯科医院経営を見える化。ここをスタートに目標と実績のギャップを示し、ギャップの改善をPlan-Do-Check-Actionサイクルを通じて実行。
これまで数々の支援を通じて「資産運用の悩みは、それぞれの家庭で違う」ことを強く実感したうえで、歯科医院の院長先生ごとのライフプランナーとして寄り添う。