歯科医院の評価制度・キャリアパスの導入で実現するタイプ別の歯科衛生士育成

前回は評価制度・キャリアパスの導入や運用についての実践編として、最適なチーム分けで臨む研修、評価シートを活用した事前面談、各々の実力に合った仕事を割り当てる仕組み、といった3つの施策をご紹介しました。

そして今回は評価制度のメリットをより鮮明にイメージしていただくために、歯科衛生士のタイプに合わせた評価制度・キャリアパスの考え方についてお話しします。また、中途採用活動における評価制度の活用法についても解説します。

歯科衛生士4つの志向タイプに合わせた評価軸

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(画像=taka/stock.adobe.com)

異なる志向の人を同じ物差しで育成・評価するのは困難

スタッフの性格や性質はそれぞれ異なります。同じ物差しで測っても正当な評価はできず、無理やり評価指標に当てはめれば反感を買うだけでなく、成長の妨げにもなりかねません。そこで役立つのが「組織志向」「仕事志向」「変化志向」「安定志向」の4つの志向タイプを組み合わせた歯科衛生士キャリア志向表です。

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(画像=あきばれ歯科経営 online編集部)

この表に自院の歯科衛生士を当てはめることで、どのような育成を行うと良いのかのヒントが見えてきます。

経営者である院長としては、スタッフ全員が「組織志向×変化志向」あるいは「組織志向×安定志向」に当てはまることが望ましいでしょうが、すべての人をここに当てはめることはできません。まったくどのタイプにも属さない人だっていますし、変化を好まなかったり業務の多さを負担に感じたりする安定志向の人だっています。

ただ求める人材ではないからと言って、育成を諦めるのは間違いです。たとえば安定志向であっても、「いろんなことはやりたくないがSRPだけは極めたい」と思っている人や、「小児に関しては頑張りたい」といった気概をもった人は多くいます。

どのタイプが良い悪いということではありません。まずはそれぞれのタイプを掴み、その人に合った育成軸と評価軸を作成することが、お互いが幸せになれるやり方です。ただし、最初にどのようなスタッフがほしいのか?を院長自身が明確にすることが前提です。

ちなみに歯科衛生士のタイプを理解するのに役立つのが、前回の記事で解説した「行動指針評価シート」と「技能評価表」です。

これらを正確に作成することで、その評価結果から対象の歯科衛生士のタイプが見えてきます。 また、評価制度・キャリアパスの導入にあたり、志向タイプ別に配慮すべき点を簡単に解説しますので、参考にしてみてください。

(1)組織志向

自分のためというよりも、医院のために仕事を行っているという意識が強い。医院にとって大切な人材であり、育成担当者や評価者はその意識に気づいてあげることが重要。偏るとストレスが溜まりやすいのでフォローは必要。

(2)仕事志向

基本的に自分本位で、自分がどのように成長したいかを考えている。とても大事なことだが、組織の繁栄や医院の成長を訴えてもあまり響かない、というケースもある。仕事を認める姿勢や、成長をサポートしていくことを伝える。

(3)変化志向

適応能力が高く、一般的には良い性質とされるが、コツコツと積み重ねていく仕事を苦手とする人もいる。「器用貧乏になる可能性がある」「何かひとつ得意なことを極めては?」などと伝えたり、単に飽き性ならば、多くの仕事を与えたりするのもひとつの手。

(4)安定志向

決められた仕事はしっかり行うことができるが、変化を好まないので、経験のないタスクを嫌う傾向がある。あれやこれや押し付けないことが重要。

中途採用にも評価制度が役立つ

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(画像=polkadot/stock.adobe.com)

難しい中途採用の給与や採用可否の基準に

評価制度は歯科衛生士の成長をサポートするだけでなく、中途採用者の給与設定などにも活用できます。 中途採用の面接で「お給料をどのくらいもらっていましたか?」と聞いて、給与設定の参考にすることがありますが、それで失敗したという話をよく聞きます。

具体的には、前職で月給30万円もらっていたからと、同じ設定にしたら、自医院では「そのレベルに達していなかった」といったようなケースです。

そこで中途採用時には、まず1ヵ月や3か月の短期契約を結ぶことを推奨します。

試用期間を設ければよいのでは?という意見もありますが、そう単純ではありません。試用期間を経て求める人材ではなかったと評価した場合、現在の労働基準法では契約を解除するのは難しいのです。

しかし評価制度を活用すれば、短期契約期間内でスキルを把握できますし、長期契約への切り替え時に、根拠を踏まえた適切な給与額が提示できます。スキル評価で希望給与が上がる場合もありますし、もちろん下がることもあります。

しかし、たとえ中途採用者の給与がダウンしたとしても、仕事のできる人ができない人より、給与が低いという捻じれが生じるよりは、歯科医院にとってメリットとなります。

人材不足の歯科医院では短期契約のリスクも

ただし、「採用のチャンスを必ずものにしなければならない」というような、ギリギリの人数で運営している医院では、短期契約にリスクもあります。医院やスタッフの現状を考慮して、注意深く設定する必要があります。

まとめ

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(画像=taka/stock.adobe.com)

人にはそれぞれの性格や性質があり、同じ指標で評価すると、スタッフの成長が妨げられてしまう可能性があります。一方、志向タイプに合わせた評価制度を導入すれば、適切なマネジメントが実行でき、歯科衛生士の着実な成長が望めます。さらに評価制度は、中途採用の給与設定基準にもなる万能な定規となります。

人は正しく評価されていると感じれば、モチベーションが向上し、スキルを身に付けようとします。歯科衛生士のスキルが上がれば、歯科医院はもちろん患者さんにとってもメリットになります。その良い連鎖を生むのが評価制度・キャリアパスです。関心がある方は、TomorrowLinkまでお気軽にお問い合わせください。

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昨今、歯科衛生士の理想の就職先は多様化しており、就職先として選ぶ医院の基準には一定のラインがあります。

また、就職時に「1、2年で転職しよう」「数年で違う仕事をしよう」と考えている人は少なく、「居心地の良い歯科医院なら、長く働きたい」と思う歯科衛生士がいる一方で、「歯科衛生士が集まらない」「入ってもすぐに辞めてしまう」と院長が感じるのは、両者の間で「働く」「働いてもらう」という認識にギャップがあるからです。

本書では、こうした歯科衛生士の本音や気持ちから逆算して、「どうしたら医院運営を改善できるか」を分析、解説しています。

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