歯科の採用は給与だけじゃない! 採用に成功するための3つのコンセプト

年々、経営環境が厳しくなっていると言われる歯科医院。

多額の初期投資によって開業したものの、さまざまな経営上の問題に直面して悩んでいる院長は多くいらっしゃいます。

この連載では、多くの歯科医院の経営に関するコンサルティングを手掛けているユメオカの代表である丹羽 浩之が、歯科医院が事業拡大を目指す中で出てきたお悩み相談を受け、これまでの経験を踏まえて課題の解決のヒントを提示していきます。

今回は、近年長引く採用難の中での「優秀な歯科医院スタッフの採用」に関するご相談です。

優秀な人材を採用・確保できない

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(画像=milatas/stock.adobe.com)

<相談内容>
歯科助手(DA)や受付スタッフを募集しても応募がありません。これまで反響があった求人条件でもダメでした。何か改善策はありますか?

これまで全国3,000以上の医院に教材を販売したり、経営改善の支援をしてきました。

最近は、「求人サービスを活用して歯科助手(DA)や受付スタッフを募集しても、なかなか応募が来なかったり、求めている人材が集まらない」というご相談を多く受けています。

以前までは、求人誌やサイトで募集すれば、すぐにたくさんの応募が来ていました。

しかし、そうした傾向は変化していることをまず理解していただきたいと思います。

「給与を上げれば応募が増える」という考えは、今すぐやめる

より多くの応募が来てほしいからと考え、多くの院長が「周辺の相場を確認した上で、それよりも1万円、2万円、3万円と上乗せする」という対策を取ってしまいがちです。

確かにスタッフにとって、給与条件は大事なことです。

しかし、ただ増やせばいいわけではありません。「給与条件を上げれば、応募は増えるだろう」と安易に考えてしまうと、自院が求めるスタッフを採用できなくなる可能性も高くなるのです。

「求職者の視点」に立って考えることが重要

一般的に「給与待遇面」は、働く人々にとって「職場選びの重要な要素」です。

しかし、それだけではもはや優秀な人材は集めることは困難な時代になっています。

求人募集に失敗するケースには幾つか共通点があると思います。

たとえば、「求人内容自体が良くない」という場合です。

多くの求人募集では「楽しく、明るい職場です」「ノルマなし、未経験でも大丈夫です」という言葉が用いられていると思いませんか? 

しかし、どれくらいの求職者がそうした言葉を信用しているのでしょうか。

今の時代、求職者に共感してもらわなければ、自院が求めている人材が来ることは非常に困難だといえます。

その視点を決して忘れてはいけません。

個人経営の歯科医院がやりがちな求人募集

実際、どれくらいの歯科医院が求職者の視点に沿った募集内容を発信できているのか、私は疑問に感じています。

特に、個人経営の医院では、院長が日々の業務に忙殺されるため、内容を深く考えずに募集をかけることも多いと聞いています。

募集が途絶えていなかった時代のやり方のままの医院も多く、数年前に出した内容を条件を少し変えただけの場合も散見されているのです。

医院経営を拡大・成長できる人材を本当に求めているのであれば、まずは、そうした考え方や対策をあらためていただきたいと思います。

「採用」にもマーケティング思考を取り入れるべし

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(画像=Paylessimages/stock.adobe.com)

現在、多くの医院が集客効果の高いマーケティングの実践に取り組んでいます。

具体的には、「地域の住民に選ばれる歯科医院」になるため、Webサイトを開設したり、より親密にコミュニケーションが取れるSNSを立ち上げるなど、オンラインでの情報発信といったさまざまな施策に取り組まれています。

私たちは、こうしたマーケティングの考え方を「患者」だけではなく、「採用」分野にも取り入れるべきだと考えています。

「地域の住民に選ばれる」だけではなく、ぜひ「スタッフにも選ばれる医院」を目指すことをお勧めします。

選ばれる医院にはしっかりした3つのコンセプトがある

そのためには、他の医院が載せているコピーではなく、ぜひ「自院のコンセプトが、求めている人材に伝わるような工夫をする」必要があるのではないでしょうか。

そこでぜひ取り入れてもらいたいのが、自院の

  • 「理念」
  • 「考え方」
  • 「求める人材像」

の3つが伝わる求人情報を盛り込むことです。その形式は、箇条書きでも構いません。

院長とスタッフは「雇う側」と「雇われる側」の立場にあるため、埋まらないギャップが必ず出てきます。

私たちユメオカでは、自院が目指す歯科医院のあるべき姿をスタッフに理解してもらうため、自院の「カンパニースピリッツ」や「行動指針」「信条(クレド)」を明文化することをお勧めしています。

また、中途採用で歯科衛生士を迎える場合、以前勤めていた医院での経験から現在の医院の方針とは異なる対処をしてしまうのはよくあることです。

良かれと思って取った行動でも、自院の方針に沿っていなければ注意しなければなりません。

そうしたギャップを解消するにも「面接時や入職時に必ず自院の考え方や理念、コンセプト、行動指針をしっかりと伝える」ことが大切です。

また、入職後も定期的なミーティングを通して理解、定着させる取り組みも求められるでしょう。

ギャップ解消の方法としては、「教育カリキュラムを印刷して開示する」方法も挙げられます。

他にもスタッフルームの改善や有給休暇を取得しやすい雰囲気づくりなど、スタッフの働きやすさを整備することも必要です。

そうした取り組みによって、「スタッフにも選ばれる医院」が確立されてくると思います。

人材採用で成功するための3つの観点

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(画像=wutzkoh/stock.adobe.com)

ユメオカは、医院経営では

  • 「Why(なぜやるのか)」
  • 「What(なにをやるのか)」
  • 「How(どのようにやるか)」

という3つの観点が重要だと考えています。

具体的には、「一つ一つが“点”である個別事象ではなく、ビジョンに沿った“Why(なぜやるのか)” “What(なにをやるのか)”  “How(どのようにやるか)”という3つの観点からより広げていき、線や面を形作ることが重要だ」と考えています。

それら3要素がかみ合わないと、どんなに効果的な改善策を考案しても、結局は失敗に終わることが多いからです。

特に、採用においては「Why = ビジョン」「What = 求める人材像」「How = 条件」と考えていただきたいですね。

採用に関するコストに対して漠然とした不安がある場合は、以前の記事でも紹介した「お金のブロックパズル」をぜひ活用してほしいと思います。

このツールを使って、投資効果を判断できる明確に数値化された落としどころを見つけて、「医院の資金状況を可視化する」ことで、漠然としたお金の不安の解消につながります。

【新教材】実際にDXに取り組んでいる歯科医院さんの事例を紹介

DXという言葉はよく聞くけどイメージがわかない、まずは知ることからはじめたいとお考えの院長は、こちらをご確認頂ければと思います。

ユメオカ人気教材の7本

予防型歯科医院で「昇給・カリキュラム作成・空き時間活用」に悩む院長はこちらをご確認頂ければと思います。

予防型経営★実践アカデミー

予防型歯科医院づくりに邁進する全国の院長が集まっているのが、予防型経営★実践アカデミー。 会員制(月額5,500円)で「学び・交わり・相談できる」場となっていて、ユメオカ共通言語をもとに、他医院の事例を学び、zoomなどで交流し、個別相談も可能です。

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丹羽 浩之

株式会社ユメオカ 代表

大学時代に統計工学を専攻後、コンサルティング営業の世界へ(2004年に独立)。2008年に株式会社ユメオカを設立。

医院の想いが伝わらず、自費率やリコール率が低く苦難する多くの歯科医院の存在を知る。「単なるノウハウ提供、他医院の事例提供」ではない「考え方と豊富な具体例」により、院長の経営力育成と医院ビジョン実現に貢献するコンサルティングスタイルを確立。

「院長の考えを整理すること」「分かりやすく数字で裏付けること」「患者心理に沿った診療システムをつくること」を得意とする。2016年からは予防管理型歯科医院経営を業界横断的に推進する活動をはじめ、歯科界に新たな価値提供をし続けている。