私はこれまでに医院を経営する多くの歯科医師にお会いしてきましたが、話をしていて気になることがよくあります。
それは先生方の抱えている「お金に対しての誤解」です。
ここで言う誤解とは、お金に対する捉え方や使い方を指しますが、なぜ誤解は生まれるのでしょうか?
それはお金に対する知識不足や、お金のことを真剣に考えていないから。
つまり多くの方が、なんとなくお金と付き合っているからです。
今回は「お金はトラブルのもと」と考える先生の例を紹介します。
先にお伝えしておきますが決してお金によってトラブルが起きているわけではありません。
原因の多くはお金に対する先生の誤解です。
では、お金を正しく理解するにはどうすれば良いのかを解説します。
今回のご相談:お金があるから喧嘩や争いが起こる?
お金のトラブルはコミュニケーション不足によるもの
お金のトラブルを抱えている歯科医師は多くいます。実際にわたしは歯科医師や歯科医院経営者が財産の分配について、家族や親戚と争う姿を何度も見てきました。
また、お金の使い方によって、夫婦間で喧嘩になることもよくあると聞きます。
その原因について「歯科医師は裕福なためお金のトラブルが起きる」と考えている方がいますが、そうではありません。
トラブルほとんどはコミュニケーション不足に原因があります。互いを尊重し理解しあっている家族には、お金のトラブルがありません。
価値観の違いをお互いに理解する
先に述べた通り、問題の本質はコミュニケーション不足にあります。
そのため、解決策は単純明快。コミュニケーションによって、人間関係を築くことです。
価値観の違いを認め、お互いを理解しましょう。その良い例があるのでご紹介したいと思います。
ある夫婦がホテルに泊まりました。そこで、奥さんが部屋に備え付けてある冷蔵庫からお酒を取ったのを見て、ご主人はこう言ったのです。
「なんでホテルの割高なお酒を買うの?」と。
ご主人からすれば、近くのコンビニで買えば200円ぐらいのお酒を3倍以上のお金を出して買う奥さんの気が知れなかったのでしょう。
しかし、奥さんには言い分がありました。
それは「わたしたちのために、部屋をクリーニングしてくれて、荷物も運び入れてくれるスタッフさんのことを考えたら、少しでもお金を落としていかないと失礼でしょ」という理由です。
これを聞いてご主人は、奥さんのお金の使い方に関する考えを理解し、以降何も言わなくなったのです。
このように、表面的な「お金の使い方」だけでは喧嘩の原因になるようなケースも、コミュニケーションをしっかり取って意図がわかれば、理解できることもあります。
次からは具体的な相談者の例をご紹介します。
今回の相談者:
身の回りのトラブルはお金が原因だと思い込むI先生(30代)
相談者のプロフィール
勤務医で、最近結婚したI先生。人をなかなか信用しないところがあり、お金に対しての執着も強めです。
母親に強く依存しており、わたしが担当した生命保険の加入時も母親同伴でした。
I先生は「お金はトラブルのもと」とよく口にし、実際多くのトラブルを経験しています。
たとえば理事長との間では「社会保険の負担額が約束と違う」「ボーナスの額が話と違う」といったトラブルを抱えていました。
親が親戚と相続で揉めているので弁護士を紹介してほしい、と相談されたこともあります。
結婚前にI先生は、結婚相談所に会員登録していたのですが「ぼくに合う人はお金目当てなんです」とよく言っていて、自分のお金が守れるのかどうかばかりを心配していました。
子どもの頃、兄弟間でお小遣いの金額について喧嘩をしたり、欲しいものを買ってくれない両親に対してだだをこねたりしていた人は多いと思います。
恐らくですが、I先生はお金に絡む葛藤を一般の家庭以上に経験してきたのだと思います。
そのために「お金はトラブルのもと」などと誤解をし、人を信じることすら難しくなったのでしょう。
I先生へのアドバイス
相談を受けたのは結婚前であったため、「価値観の合う女性を見つけてください」と助言させてもらいました。
価値観が違い過ぎると、お金を守ろうと努力したところで結局離婚となり、多額の慰謝料を支払うことになるからです。
そして、お金を守る努力ではなく、コミュニケーションによって相手を理解する努力をしてくださいとお伝えしました。
お金のトラブルはしっかりと原因を探れば、勘違いやコミュニケーション不足ということも多いもの。
ここを意識しないと、いつまでも出会う人出会う人とトラブルを抱えかねないのです。
まとめ
歯科医師はお金があるがゆえに、トラブルが多いと思っている人がいますが、それは違います。
本質はコミュニケーションの問題です。お金を守る最も良い方法は、人間関係の問題を未然に防ぐことです。
コミュニケーションによって人間関係が円滑であれば、それ以上お金を守る必要はありません。
お互いの価値観を認め合うことで信頼関係が築け、お金の使い方に対する理解が生まれるのです。
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キャッシュフローの試算を基に、まずは単年度予算を作成し、歯科医院経営を見える化。ここをスタートに目標と実績のギャップを示し、ギャップの改善をPlan-Do-Check-Actionサイクルを通じて実行。
これまで数々の支援を通じて「資産運用の悩みは、それぞれの家庭で違う」ことを強く実感したうえで、歯科医院の院長先生ごとのライフプランナーとして寄り添う。