歯科医院長がこれ以上人材不足に悩まず定着率が高い歯科医院にするためには?

年々、経営環境が厳しくなっているといわれる歯科医院。多額の初期投資によって開業したものの、さまざまな経営上の問題に直面して悩んでいる院長は多くいらっしゃいます。

この連載では、多くの歯科医院の経営コンサルティングを手掛けているユメオカの代表である丹羽 浩之が、歯科医院が事業拡大を目指す中で直面したお悩み相談に対し、これまでの経験を踏まえて課題解決のヒントを提示していきます。

今回は、「今後、人材不足で悩まない歯科医院にする」ためのご相談です。

人材不足では成長が困難な予防型歯科医院

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(画像=polkadot/stock.adobe.com)

人材不足ではビジョンが描けない

予防型歯科医院というのは、さらに加速する人口減少社会においても安定的に成長する貴重な存在だと思っています。

理由としては、日本における予防歯科の受診者はまだ少なく、今後受診者が増えるとともに、健康意識の高い人々の自費診療の増加が見込めるという背景があるからです。さらに自費診療であれば、審美治療やサプリメントの販売なども診療に取り込みやすくなるでしょう。

ただし、これら予防歯科の強化を実現していくためには、「歯科医院が人材不足にならない」ということが大切です。ビジョンを思い描くことができても、人材不足では、実行できる施策もできません。

歯科医院が人材不足になってしまう要因

では、歯科医院が人材不足になってしまう原因は何でしょうか。

まず歯科医院は主に女性の多い職場であるため、結婚や出産、ご主人の転勤などで辞めてしまうことが挙げられます。これらはやむを得ないケースですが、それ以外にも職場環境の問題によって、スタッフが定着しないということもあります。

定着しない理由としては、3つの要因があります。

①院長との関係性
院長との相性が合わないことで、スタッフにストレスが溜まり、結果として辞めてしまうことになります。

②スタッフ同士の関係性
歯科医院では、さまざまな年代の約10~20人が、小さな空間の中で勤務することになります。パート・時短社員・常勤スタッフなどの働く形態や、職種も受付・歯科助手・歯科衛生士・歯科医師と多種多様です。

ここで生まれやすいのが、「年代間ギャップ」や「職種間ギャップ」です。異なる職種や異なる年代のスタッフの関係性をよくしていかなければ、定着は困難です。

③給与
他の業界と比べてみても、歯科医院は給与が高いとはいえません。いくら居心地がよく、やり甲斐を感じていても、給与がよくなければ定着は難しいでしょう。生活に不安を抱えながら仕事をするという環境では、やはり長くは続きません。

人が集まる歯科医院の要素とは?

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(画像=taka/stock.adobe.com)

歯科医院には優秀な人材が集まる

大前提として、「1.やりがい、2.発展、3.持続、4.収入アップ」は、業界に関わらず、人が集まる要素です。この4つの掛け算の合計が高いほど、職場が魅力的だと考えています。

予防型歯科医院においては、この内の「1.やりがい、2.発展、3.持続」は、自然に発生しやすいと思います。

1.やりがい
歯科医院で働くスタッフが異業種に転職するケースがわかりやすいと思います。一度、違う世界に飛び込んだスタッフたちは、再度歯科医院に戻ってくることが多いという事実があります。なぜなら、患者(お客)さんから言われる「ありがとう」の質が違うからです。

歯科衛生士や歯科助手として患者と向き合う中で、「よく噛めるようになった」「日常生活が変わった」など、感謝の言葉を受けることができるのは、歯科医院スタッフの醍醐味だといえます。

2.発展性
日本における予防歯科の受診者は少なく、また長寿化していく中で、「口腔ケア」が人生の質を左右するものであるからです。そこに気づく人は今後も増えてくるでしょう。

3.持続性
着実にリコールが積み上がり長年通う患者さんが増えることで、医院の持続性は高まり続けます。

これらの理由から、「1.やりがい、2.発展、3.持続」は自然に得られやすい職場だと考えられます。

歯科医院の課題は収入アップ

しかし、「4.収入アップ」に関していえば、他の業界よりも低いのが実情ですので、これをクリアできないと魅力的には映らず、歯科業界に優秀な人が集まることはないでしょう。

「1.やりがい、2.発展、3.持続、4.収入アップ」の掛け算によって、魅力ある業界かどうかのスコアが決まってくるのです。

また、採用と定着は両輪です。採用の際に良い人材を採るためには、高い給与を提示した方が有利です。さらに一定の収入がないとスタッフが安心感と誇りを持って働くことができず、定着もしません。

アフターコロナで賃金アップは必須

現代はデフレ社会であり、日本では約20年間賃金が上がっていません。先進国の中で賃金が上がっていないのは、日本だけです。

東京と韓国の最低賃金の推移を見ると、あと2、3年で韓国は東京を追い抜くと推測されています。このような状況では、いつ人材流出が起きても不思議ではありません。

その対策として、例えばユニクロは、2020年の初任給を4.5万円も引き上げました。一店舗あたりのスタッフ数は減っているのですが、ネット販売や中国への配置転換で、スタッフあたりの収益力が確実に上がっているので、初任給を上げることができるのです。もちろん、既存スタッフの給与も同様です。

アフターコロナを見据えて、DX(デジタルトランスフォーメーション)の重要性も問われていますが、それは「賃金を上げていく」ことにつながるからです。また賃金が低いままであると、歯科医師や歯科衛生士を目指す人が減少し、歯科助手や受付の応募が少なくなっていくでしょう。

そして、前述したように、予防歯科医院にはさまざまな成長要因があるにも関わらず、人員不足になると、ビジョンが達成できないという状況に陥ってしまいます。

給与を上げるためにDXは必要か?

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(画像=Monet/stock.adobe.com)

大切なのは「生産性を上げる」という観点

これまでの予防型歯科医院は、リコールを増やして、ユニットが足りなくなれば、ユニットを拡張し、「歯科衛生士を雇う」という流れでした。

このようなやり方は、年間総額での利益は高まりますが、スタッフの給与を大幅に上げることはできません。何故なら、利益が上がっても、スタッフの人数が増えているために、一人あたりの生産性が高まっていないからです。

「ユニット・スタッフ数を上げて全体の売り上げを上げる」という旧来の方法では歯科医院の規模ばかりが大きくなってしまい、固定費や人権費などのコストが増大してしまうのです。

そのため、「生産性を上げる」という観点を持つことが大切です。「生産性」とは、一人あたりの粗利です。これからの予防型歯科医院はスタッフの数を増やさずに、いかに粗利を上げていくかがポイントです。そこでDXが必要になってくるのです。

DXとはデジタルを通じた改革

DXは単にデジタル化を行うのではなく、「デジタルを通じた改革」だと考えています。「改革」とは、一人当たりの生産性を、どのように上げていくかということに結びつきます。

ユメオカではDXとは、「既存の業務を効率化して、新しい付加価値を生み出す」と定義しています。大切なのは業務を効率化する前に、「本当にその業務をやる必要があるのか」と、習慣化された業務を見直し、考え直すことです。

このような考え方や「DXとは何か」をまずは院長が理解することが必要であり、必要のない業務は何か、やる必要があるならば、どのように効率化させていくのかが課題となります。

DXによって新たな付加価値を

DXの効率化によって得られた時間は、新しい付加価値を生み出す時間へと変えていくのが理想です。

例えば受付業務も、この先2年ほどで大きく変わると予想しています。歯科医院の受付業務は、会計や予約が約8割を占めていますが、デジタル化によって1割程度にできると思います。

今や、コロナ禍で「非接触」が人々の望む形態になりましたので、デジタル診察券の使用やLINEでの受付、キャッシュレス決済も取り入れることによって、受付業務も圧縮できるからです。

さらにオンライン相談などの「デジタル関係性」を強化することによって、スタッフや歯科医師にも空き時間が生じます。

例えば、この時間に物販や矯正の相談予約を入れると「リアル関係性」も保たれます。一つひとつ洗い出してみると、今まで機会損失していたことが、たくさん浮かび上がってくると思います。

また、カルテやスタッフ間の情報共有・問診票・自費診療を受けた患者のアンケートなどもデジタル化が可能です。他にも、新人研修用の動画などを作成することで、事前知識を持った上で、現場教育ができるというメリットもあります。

まとめ

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(画像=Mihai Simonia/stock.adobe.com)

スタッフの数を増やさず、粗利を上げていくことが「生産性の向上」に繋がり、これが給与アップの原資になります。

既存の業務を本当にやる必要があるのかどうかを見極め、効率化し、新しい付加価値を生み出していく。これが実現できれば、生産性を今までの約2倍程度は上げられる歯科医院ができるでしょう。

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DXという言葉はよく聞くけどイメージがわかない、まずは知ることからはじめたいとお考えの院長は、こちらをご覧頂ければと思います。

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