歯科医院のデジタル化は何から手をつけるのが効果的か?

年々、経営環境が厳しくなっているといわれる歯科医院。多額の初期投資によって開業したものの、さまざまな経営上の問題に直面して悩んでいる院長は多くいらっしゃいます。

この連載では、多くの歯科医院の経営コンサルティングを手掛けているユメオカの代表である丹羽 浩之が、歯科医院が事業拡大を目指す中で直面したお悩み相談を受け、これまでの経験を踏まえて課題解決のヒントを提示していきます。

今回は、「スタッフが定着してくれるのだが人件費がかさむ。歯科医院の適正な収支バランスはどう考えればよいか」というご相談です。

「コロナショック」後に増えた相談

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(画像=mikitea/stock.adobe.com)

コロナ禍以前の歯科医院は、「それなりに順調でリコールも増えており、どちらかというと予約が取りにくい状況。人材に関しても、ドクターをはじめ、定年まで働いてくれるスタッフもいる。そのようなスタッフがいてくれたお陰で右肩上がりの状況が続き、定着率もよく、特に大きな問題はなかった」

このような状況が多かったのではないでしょうか。

しかし、コロナ禍で患者数が減り、リコールも減少した歯科医院が増えました。特に昨年(2020年)の4月、5月の患者数減少は著しく、3~4割ほど減った歯科医院も多かったようです。

すると、収支バランスが崩れ、どんどんお金が減っていくような感覚に陥った経験から、患者数が戻りつつある現在も、将来に不安を持つ院長先生が多いのではないでしょうか。

実際に、この「コロナショック」を機に、収支バランスや人件費比率などを、「どのように考えていけばいいのか」という質問を受けることが多くなりました。

適正な収支バランスのポイントは分配率

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(画像=Paylessimages/stock.adobe.com)

適正な分配率は55~60%

ここで、ある歯科医院の例を見てみましょう。

  • 現状の医業収入が9,200万円(年間)
  • 粗利率が87%
  • 分配率(※)が70% ※労働分配率

この数字ですと、プラスマイナスゼロといえます。ただし、分配率が70%というのは、高すぎると思います。

なぜなら歯科医院は、いわば設備産業でもあり、一定の設備費がかかるので、粗利の中で7割も人件費にかけてしまうと利益が出にくくなるからです。

結論からいえば、適正な分配率というのは55~60%が望ましいといえます。

なぜ55~60%の分配率が適正かというと、売り上げに対する営業利益の割合が10%ぐらいになるからです。売り上げが1億円であれば、1,000万円ぐらいは残りやすくなります。

給与や自費を減らすことは簡単ではありません。それらを減らさずに分配率を下げていくためには、粗利、すなわち収支を上げていくことが求められます。

目指すべきは分配率60%、利益10%の体制

それでは、分配率が60%、利益が10%ぐらい出るような収支にシュミレーションすれば、どうなるでしょうか。

先の医院の場合、収支が1億1,000万円になれば、現状の給与でも問題はないでしょう。

適正な収支バランスを実現するために、まず目指すべきは、分配率60%、利益10%の体制を作っていくことです。

この医院の場合、収支を1億1,000万円にするためには、年間1,800万円のアップが必要になりますので、月に150万円アップの必要があります。

次に、その月150万円の売上を分解して考えます。自費やリコール患者数などの割合が、どれくらいなら妥当で、実現可能であるかの「目標設定」をするのです。

実際には、分配率が60~65%の医院が多く、60%ぐらいまでに収まっていれば利益は出るでしょう。

ですからやみくもに患者数が減少することを不安がるのではなく、歯科医院にとって適正な「収支バランス」を数値化することで明確にして、安定しながら成長する「経営モデル」を作る。その上で、正しい努力をしていくことが大切です。

これらの計算は下記の「お金のブロックパズル」を参考に考えると、分かりやすいと思います。

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例:お金のブロックパズルで収支モデルをイメージ(画像=株式会社ユメオカ)

適正な分配率を実現するために

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(画像=Monet/stock.adobe.com)

達成可能な数字をスタッフに共有する

適正な分配率を、歯科医院内においてスタッフみんなで考え、共有し、目標設定して運営していくためには、まず、「何をすればいいのか(What)」 、「実際にどうするのか(How)」を、具体的な数字に落とし込む必要があります。

それらを院内に浸透させ、スタッフの合意を得て進めていくことが、「思いつきの経営ではなく、正しい経営努力」に繋がっていくのです。

院長先生の漠然とした不安感の原因は?

リコールが減り収支が前年割れした場合などは、往々にして、歯科院長は不安を抱えやすくなります。

院長が不安を抱えていると、目の前にいる患者への対応に支障をきたし、スタッフともコミュニケーションギャップが生じるなど、悪循環に陥ってしまいます。

また、歯科院長は医療のプロではありますが、必ずしも経営のプロではありません。スタッフ管理や資料の作成など、業務も広範囲で得意でない院長もいらっしゃいます。

さらに現場の第一線で業務に従事しながら、経営関連の「マーケティング」や「マネジメント」など、多岐にわたる業務は、院長の許容範囲を超えてしまうこともあるでしょう。

このような際にも歯科院長には不安感が生じます。いずれにせよ院長の漠然とした不安感の「原因は何なのか?」を把握することが大切です。

第三者のサポートも選択肢に

「何が問題であるのか」という原因がわかっていないがゆえに、院長は不安になる訳です。

まずは不安の原因を突き止めること、雇用を安定させて分配率を把握し、数値化させること。このように具体的に理解することが、院長の不安の払拭に繋がります。

このように具体的に分析をするには、アスリートにコーチが存在するように、歯科医院の経営について、コンサルタントなどを活用するのもひとつの手です。

私たちユメオカのような「パートナー型コンサルタント」は、軸となるビジョンを再確認してもらい、最終的な意思決定まで問いかけ続けることで、院長先生の不安や迷いを客観的に気づけるようにサポートしています。

関心ある方はこちら(無料相談)からお気軽にご相談頂ければと思います。

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丹羽 浩之

株式会社ユメオカ 代表

大学時代に統計工学を専攻後、コンサルティング営業の世界へ(2004年に独立)。2008年に株式会社ユメオカを設立。

医院の想いが伝わらず、自費率やリコール率が低く苦難する多くの歯科医院の存在を知る。「単なるノウハウ提供、他医院の事例提供」ではない「考え方と豊富な具体例」により、院長の経営力育成と医院ビジョン実現に貢献するコンサルティングスタイルを確立。

「院長の考えを整理すること」「分かりやすく数字で裏付けること」「患者心理に沿った診療システムをつくること」を得意とする。2016年からは予防管理型歯科医院経営を業界横断的に推進する活動をはじめ、歯科界に新たな価値提供をし続けている。