歯科医院の院長は専門的に経営を学んでいることは少なく、収支や人材採用、教育やマネジメントなどに頭を悩ませている方が多くいらっしゃいます。
わたくし丹羽浩之はこれまで多くの歯科医院の経営コンサルティングを手掛け、歯科医院のさまざまな経営課題に接してきました。
そこで本連載では、わたしの経験を踏まえ、特に相談の多い課題をテーマとして、解決へのヒントを提示していこうと思います。
今回は、スタッフの退職など一時的な人材不足の対応策についてお話しします。
歯科業界全体が人手不足にあるわけですから、自院にマッチする人物の採用となるとなかなか思い通りにはいきません。
では、こうした難局をどう乗り切るべきか? 説明させていただきます。
スタッフが同時退職、予約や診療はどのようにすればよい?
スタッフの退職時に多い相談内容
最近ある歯科医院の院長から「歯科衛生士が2人退職したので、常勤スタッフが2名、パートが1名になってしまいました。主力が2人も抜けて大ピンチです」という相談を受けました。
歯科医院ではスタッフの退職が重なることは少なくありません。むしろ、なぜか連続してしまうものです。
スタッフが辞めることによる院長の不安は、「予約数を減らさなければならないため、収支が心配だ」ということなのだと思います。
歯科衛生士不足の今、求人広告を出したり、ホームページで応募を募ったりしても、なかなかすぐに効果は出ないものです。
ではどのように対処すべきでしょうか?
歯科医院長の「焦り」が最大の敵
思いも掛けない退職者が出た際、いちばん重要なのは焦らないことです。
- 赤字になるのでは
- 患者さま対応が回るだろうか
- 受け入れを減らしてしまったら、患者さまはもう戻ってこないのでは
といった漠然とした不安が焦りを生みますが、院長の焦りは職場の雰囲気を悪化させ、それが接遇にも表れてしまいます。
そして運が悪ければ、患者さまは別の歯科医院に移ってしまうでしょう。
では、歯科医院長が焦らないようにするためには、何をすべきでしょうか?