歯科院長が診療と経営に集中できる組織の作り方

歯科医院経営の悩みは「診療」と「診療以外」に大きく分けられます。

実際に以前の私は診療を突き詰めて、研鑽だけすれば、何もかもがうまくいくと信じていました。

でも実際に経営と診療をしてみたら、「診療以外」の部分の悩みが大半でした。

診療以外の部分で院長や現場がつまずいては誰も得をしません。

この連載では、「診療以外」の悩みを最小化し、「診療」に集中できる医院作りのヒントをお伝えしたいと思います。

今回は「正解のない時代に多くの価値を提供する考え方」についてお伝えします。

歯科医院の仕事は「診療」か「診療以外」の2つ

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(画像=pixta)

歯科医院の仕事は、「診療」か「診療以外」かに大きく分けることができます。

もちろん、歯科医院は「診療」をするところですので、絶対的価値は「診療」にあります。

しかし、わたしは、歯科医院長の悩みの多くは、「診療以外」にあると考えています。

例えば、歯科医院のスタッフが離職する場合、そのほとんどが「診療」に関することではなく、「スケーリングを教えてくれる人がいない」「院長の考えがわからない」といった「診療以外」のことが原因です。

実は、この「診療以外」の問題は、離職の話だけに留まらず、日常の「診療」や医院経営にも大きな影響を及ぼします。

院長に「診療以外」の悩みが増えますと、スタッフの退職問題だけではなく、本来やるべき「診療」に集中できずに時間が削られ、経営にも悪影響が出るからです。

院長としては歯科医院の運営で何かつまずいたとき、その悩みが「診療」なのか「診療以外」なのかを明確に判断し、対処しなければなりません。

「診療」の悩みであれば、治療技術を高める努力が必要ですし、悩みが「診療以外」ならば、スタッフの意見を聞くことも重要なのでスタッフが発言しやすい環境をつくり、意見を出し合って話し合う必要があるのです。

「診療以外」なら新人スタッフも活躍できる

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(画像=pixta)

歯科医院にとって」一番重要なのは「診察内容」「診察レベル」であることは間違いありません。

しかし、これは「あって当たり前」のもの、給料で言えば基本給でしかありません。

これを理解した上で「診療以外」の仕事について考えてみましょう。

「診療以外」の仕事には、以下が挙げられます。

  • 患者さんとのコミュニケーション
  • スタッフの育成
  • 待合室に貼るポスターの作成
  • 後輩の教育
  • 職場環境の整理整頓などの役割
  • スタッフの評価制度
  • スタッフと院長の円滑なコミュニケーション
  • バックヤードでの洗い物
  • スタッフルームの掃除 など例を挙げればきりがないと思います。

これらの「診療以外」の仕事には、スタッフの経験の長さに関わらず「すぐに価値を見い出せる」ケースも多く、スタッフが仕事の面白さを見いだせる領域の可能性もあります。

例えばコミュニケーションに関してはベテランスタッフよりも、新人スタッフのほうがスムーズな場合もあります。

経験の浅いスタッフの方が歯科の知識がない患者さんに対して、どんな言い回しが伝わりやすいのかを考えたり、年齢の近さから学生の求人に関してのアイデア適切な場合も多くあります。

歯科医院で働くスタッフは「診療」はできて当たり前と評価され、プラスアルファの成長が求められます。

それに比べて「診療以外」は学ぶ姿勢や努力、成長度合いのほうが、評価されることがよくあるのです。

「診療以外」には正解がない

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(画像=pixta)

「診療」とは、はっきりとしたゴールや正解を目指していくものです。一方で、「診療以外」の仕事には基本的に正解はありません。

例えば、院長が 「患者さんに喜んでもらえるような待合室にするには?」 「どうすればキャンセルが減るだろうか?」 「どうしたら良いコミュニケーションが取れるだろうか?」 などと、スタッフに尋ねたとします。

これらは院長の「喜んでもらいたい」という思いからの質問ですが、院長は学校の先生ではありませんし、「診療以外」の先生でもありませんので、正解を知らずに指示を出す場合があります。

しかし、このように正解がわからなくとも、「とにかく患者さんが喜ぶ〇〇を考えてくれない?」と大喜利のお題を出す感覚でスタッフに伝えるべきだと思っています。

自由に考えることこそが、「診療以外」の仕事ではとても大切であるからです。

「診療以外」の仕事とは提案すること

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(画像=pixta)

そこでスタッフに求められるのが、「業務」ではなく「仕事」をすることです。