歯科クリニックでのスタッフの賃上げ、どう実現する? 収益向上と助成金制度を解説

経済の変動や物価の上昇が歯科クリニックにも大きな影響を与えています。

診療報酬は公定価格で定められていることから、器材、材料、水道光熱費、賃金等の上昇を報酬に転嫁できず、経営が圧迫されているケースも少なくありません。

一方で、歯科衛生士や勤務ドクターの賃金の引上げも、スタッフのモチベーション維持と高品質な診療提供のために欠かせません。

賃上げを実現しつつ収益を向上させる方法は、どのように見つけるべきでしょうか?

本記事では、歯科クリニックにおけるスタッフの賃金アップと収益向上を両立させるためのヒントを提供し、助成金制度の活用方法を紹介します。

賃金向上の取り組みを怠った場合のリスク

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(画像=pixta)

歯科クリニックがスタッフへの賃金向上の取り組みを怠った場合、さまざまなリスクが生じる可能性があります。以下に、そのリスクを挙げてみましょう。

  1. スタッフモチベーションの低下
    賃金が競争力のある水準でない場合、スタッフは経済的な不安を感じる可能性が高く、モチベーションが低下しがちです。そのモチベーションの低下は診療品質や患者対応に影響を及ぼし、クリニックの評判や患者数に悪影響を及ぼす可能性があります。

  2. スタッフの離職率の上昇
    賃金が低い場合、スタッフは他のクリニックや医療機関に転職しやすくなります。スタッフの離職率が上昇すると、新しいスタッフを採用し、訓練するためのコストと時間が増加し、継続的な人材不足に直面する可能性があります。

  3. スキルと経験の喪失
    高い賃金を提供しない場合、経験豊かでスキルの高いスタッフがクリニックを去ることがあります。これにより、クリニックの診療品質や専門性が低下する可能性があります。

  4. 競争力の低下
    賃金が他のクリニックと比較して低い場合、優秀な歯科医師や歯科衛生士の採用が難しくなります。競争力の低下はクリニックの成長と収益に制約をかける可能性があります。

  5. 患者の信頼喪失
    スタッフのモチベーション低下や高い離職率は、患者への対応や診療品質に影響を及ぼすため、患者の信頼を失うリスクがあります。患者の信頼はクリニックの成功に不可欠であり、いちど失うと回復は容易ではありません。

このようにスタッフの賃金アップは、スタッフのモチベーションを高め、患者へのサービス品質向上や口コミの促進に寄与します。

患者満足度向上やスタッフのスキル向上にもつながるため、クリニック経営に不可欠です。

歯科クリニックの収益向上戦略

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(画像=pixta)

診療料の見直し

歯科クリニックの収益向上において、まず検討すべき戦略のひとつが自費治療費の見直しです。

診療料の設定はクリニックの収益に直接的に影響します。

競争環境や地域の平均診療料を考慮しながら、適切な価格設定を行いましょう。過度に低い診療料は収益を圧迫し、スタッフの賃上げに余裕を持たせません。

逆に、過度に高い診療料は患者の流失を招きかねませんので、バランスを取ることが重要です。

クリニックの効率化

効率的なクリニック運営は収益向上に不可欠です。

待ち時間の短縮や予約管理の最適化など、クリニック内のプロセスを見直し、スムーズな診療フローを実現しましょう。

これにより、患者の満足度が向上し、効率的な診療で患者数を増やすことができます。

また、無駄なコストを削減するために、診療材料や器具の調達における効率化も検討しましょう。

新たな収益源の模索

収益向上のためには、新たな収益源の開拓も重要です。

例えば、歯科クリニック内で提供できる追加のサービスや特別な治療オプションを検討してみましょう。

また、保険契約の見直しや、特定の専門領域への特化なども収益向上に寄与する可能性があります。

クリニックの特性や地域に応じて、適切な収益源を見つけるために戦略的なプランニングが必要です。

これらの収益向上戦略を総合的に検討し、クリニックの特性や目標に合わせて適切な施策を選択しましょう。

賃金の引上と収益の向上は相反する要素ではなく、適切な戦略を採用することで両立させることが可能です。

歯科クリニックでも使える助成金制度

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(画像=pixta)

歯科医院が利用できる助成金制度は種類が豊富です。自院で使える助成金制度を探している院長先生も多いのではないでしょうか。

助成金制度を管轄しているのは厚生労働省です。申請の対象となるのは、雇用保険に加入していれば個人・法人は関係ありません。

助成金制度の目的は主に雇用増加や人材育成にあり、従業員を雇用したり従業員に研修を行ったり、職業環境を整えるために利用可能です。

歯科クリニックの収益向上を支援するために、厚生労働省が管轄する助成金制度は貴重なツールとなります。

以下では、歯科クリニックで使えそうな助成金制度をご紹介します。

「キャリアアップ助成金」とは

「キャリアアップ助成金」とは、非正規雇用労働者の企業内でのキャリアアップを促進するために、事業主に対して助成金を支給する制度のことです。

パートタイム労働者として雇用したスタッフに対して、企業の正社員への転換、または賃上げなどの取り組みを実施する際に申請することが可能です。

「キャリアアップ助成金」において、多くの歯科医院が該当しそうなコースとして、次の4つがあります。

  • 正社員化コース
  • 賞与・退職金制度導入コース(旧諸手当制度等共通化コース)
  • 選択的適用拡大導入時処遇改善コース
  • 短時間労働者労働時間延長コース

※厚生労働省:「キャリアアップ助成金」の最新情報のご確認はこちら

「両立支援等助成金」とは?

「両立支援等助成金」も歯科クリニックで使える助成金のひとつです。

スタッフのライフステージが変わっても、働き続けられる歯科医院を目指したい院長先生におすすめの助成金制度です。

「両立支援等助成金」は、労働者の職業生活と家庭生活の両立を支援するための助成金制度です。

歯科医院やクリニックには、女性のスタッフが多く働いています。スタッフが育児や介護で離職してしまうのは歯科医院やクリニックにとっては痛手です。

産休・育休、また休暇後の復帰のための制度を充実できれば、離職者を減らすことが可能でしょう。

「両立支援等助成金」を利用することで、歯科医院やクリニックは、代替要員にかかるコストを援助してもらえます。

「両立支援等助成金」において、多くの歯科医院が該当しそうなコースとして、次の2つがあります。

  • 育児休業等支援コース
  • 介護離職防止支援コース

※厚生労働省:「両立支援等助成金」の最新情報のご確認はこちら

その他にも歯科クリニックで利用できる助成金はあります。

国の助成金制度や支援策を活用することで、歯科クリニックの収益向上とスタッフの賃金アップを実現するための貴重な資源を得ることができます。

クリニックの経営戦略において、助成金制度も戦略的に活用し、持続的な成功を築いていきましょう。

まとめ

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(画像=pixta)

歯科クリニックの成功は、スタッフのモチベーションとクリニックの収益の両方に依存しています。

スタッフの賃金アップを通じて、高品質な歯科ケアを提供し、患者の信頼を得ていくことも大切な施策のひとつです。

同時に、収益向上の戦略と助成金制度の活用を通じて、経済的な安定を確保し、クリニックの収益向上をはかりましょう。

歯科クリニック経営における成功の鍵は、スタッフとの協力と持続的な改善です。

歯科クリニックの経営は多くの要素が絡み合う複雑な課題ですが、スタッフの賃上げと収益向上は両立させることが可能です。

適切な戦略と持続的な改善を通じて、高品質な歯科ケアの提供と経済的な持続可能性を両立させましょう。