院内にポジティブを循環させてより良い接遇を

皆さま、こんにちは。イメージコンサルタントの西原民子と申します。

歯科医院に勤務する女性スタッフの方を対象に、パーソナルカラー診断を取り入れた接遇メイクレッスンを行っています。

前回は正しいパーソナルカラーについてお話しましたが、今回は接遇の大切さを中心にお話しいたします。

この仕事を始めた当初はメイクレッスンだけを行っていましたが、話し方や言葉遣い、所作を教えて欲しいとリクエストを頂き、接遇マナー研修もご要望に合わせて開催する様になりました。

ビジネスで気をつけるべき「ハロー効果」

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(画像=pixta)

社会学的な用語としてのハロー効果とは?

皆様は、ビジネスのシーンでもよく用いられる「ハロー効果(halo effect)」という言葉を聞いたことはありますか?

ハロー効果とは、ある対象を評価したり印象を決める際に一部の特徴的な印象に引きずられて、全体の評価をしてしまうことを指します。

つまり、目立つ特徴に引きずられ過ぎてしまい、他の特徴についての評価までが歪められてしまうのです。

「halo」とは、聖人の頭上などに描かれる後光のこと。

後光が指していることで「この人は素晴らしい人に違いない」「この人の言う事は正しいに違いない」と思い込んでしまうところからこの名前がつけられました。

これは直感や先入観など、第一印象などから非合理的な判断をしてしまう「認知バイアス」の一種で、1920年にアメリカの社会心理学者によって提唱されました。

医療接遇において気をつけるべきハロー効果

一般的にハロー効果は、人事が一部の特徴だけを理由に誤った評価をしないためなどに用いられますが、医療接遇における「ハロー効果」とはどのようなものでしょうか。

歯科医院と患者様の場合、一番最初のコンタクトは問い合わせや初診の受付といった電話の場合がほとんどです。

第一印象はその後に大きく影響を与える上に、電話は顔が見えないコミュニケーションだからこそ注意が必要です。

例えば歯がとても痛くて藁にもすがる思いで予約相談の電話をしてきた際、受付の人が「その日は予約でいっぱいです」とキッパリと断ってしまったら、不安な気持ちで電話をしてきた患者様はどういう印象を持つでしょうか?

最初の問い合わせがそれだと、院長先生との接点を持つ前に「感じ悪くて最悪な歯科医院」という印象を持たれかねません。

それが医療接遇における「ハロー効果」です。

今は、悪口はすぐにネットの口コミに書かれてしまう時代。だからこそ、電話対応など最初のコンタクトは重要なのです。

電話対応で悪い印象を持たれないためには

「スタッフの電話対応一つで、医院の悪口を書かれてしまうかもしれない」と聞いてひやっとする先生は多いのではないでしょうか。

しかし、予約が取れない時に「予約が取れません」と伝えたスタッフを責めることはできません。

そもそも今の若い人はLINEなどのSNSでコミュニケーションを取ることが多く、「電話をする」という行為に慣れていないだけなのです。

だからこそ、

「電話の時」電話で見えない相手にも笑顔で笑声を心掛けて」

「お客様の要望を叶えられないまま電話を終わらせない、例えば予約が取れずに断るにしても、『一旦確認してみます』『明日はダメですが、明後日の午前なら予約可能です』と代替案を与える」

など、スタッフに対応策をしっかりと伝えることが大切です。

歯科医院に求められる接遇マナー5Sとは

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(画像=pixta)

様々な職場によって、求められる接遇マナーや大切なポイントは異なります。

歯科医院に求められる接遇マナーは「5S」です。ぜひ意識してみてください。

整理 清掃 清潔 整頓 しつけ の5S

歯科医院に求められる接遇マナー5Sは以下の5つです。

  • 整理
  • 清掃
  • 清潔
  • 整頓
  • しつけ

整理整頓が大切なのは、仕事の効率化や「ものを探す無駄な時間」を省くためです。

あるべきところにあるべきものがあると、すぐに手にとれて仕事もしやすくなります。

また、医療機関であるため患者様の目につくところを特に清潔にするのはいうまでもなく、「挨拶」「声がけ」といった仕事をする上での基本的なマナーをしっかりとスタッフにしつけとして伝えることも意識しましょう。

「ポジティブを循環」することで職場や患者様に及ぼす影響

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(画像=pixta)

現在は「歯科医院はコンビニの数ほどある」と言われる時代。

一つの駅に複数の歯科医院があるのは当たり前で、同じ通りや斜め前に歯科医院があることも珍しくありません。

そんな買い手市場の現在、先生の腕に大きな差がなければスタッフの感じの良さで通う歯科医院を選ぶケースも多いのが現実です。

それだけに患者様に「選ばれる歯科医院」となるためには、スタッフの対応がとても重要なことが分かります。

職場の空気を良くする「お互いポジティブ」な声がけ

何となく医院全体が停滞した空気になっている、患者様に与える印象をもう一段良くしたいと感じたら、「職場にポジティブな空気を循環させる」ことを意識しましょう。

スタッフ同士相手の良いところを褒めたり、にこやかに接するなど常にポジティブな声かけをすることを意識してみてください。

例えばミスを注意する場合でも頭ごなしに注意するのでなく「以前よりはずっと良くなっているけれど」「この部分は良かったよ」という一言を加えるだけで印象は変わります。

スタッフ同士がポジティブな声がけを意識していると、自然と明るい空気が広がり患者様に接する際も笑顔が増えていきます。

患者様自身、歯に痛みを感じていたり虫歯にならないように定期検診を受けたりと、心身万全な状態で来院しているとは限らないからこそ、スタッフとの明るいコミュニケーション一つで、気持ちもポジティブになります。

これが「職場にポジティブな空気を循環させる」状態です。

結果、リピートしたり良い口コミを書いてくれたりすると、結果的に患者様の増加や院の売り上げアップにも繋がります。

このように、スタッフ同士がポジティブな声かけを意識することで医院の売り上げにまで影響を与えるのです。

まとめ

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(画像=pixta)

歯科医院は非常に数が多く、ほとんどの院長先生が差別化や治療の腕を磨くなど、様々な苦労を重ねていることと思います。

そこでつい見落としがちなのが、スタッフが与える医院の印象です。高度な技術を身につけたり高価な投資をすることなく、スタッフの対応一つで医院の売り上げに影響を与えますので、ぜひ意識してみてください。

HESTEA

Hospitality -おもてなしのエッセンスのある医療接遇
Elegance -洗練された身だしなみ術を身に付けて第一印象で選ばれるクリニックへ
Salon -オンラインレッスンやセミナーの様に一方的に知識を提供するだけでなく、悩みや課題を共有し高め合っていくコミュニティー
Tactfully -機転の利いた対応や、洗練された言葉選びでクリニックのファンを増やす
Enhancement -同じ業界に働く者同士、切磋琢磨していける環境作り
Assertiveness/Accomplishment -皆が積極的に参加し、小さな達成感を共有できるサロン運営

西原 民子

KASTROMA Image Consulting 主宰
イメージコンサルタント

大学卒業後、世界No.1ホスピタリティーと定評のシンガポール航空客室乗務員として11年乗務。そこで鍛えられたホスピタリティーで、上場企業の経営者を始め、グローバル企業の社員、女性経営者等、エグゼクティブ層に多くのクライアントを持つ。

イメージコンサルティングの裾野を広げるべく、歯科業界でも積極的に活動中。“パーソナルカラーの力”を借りた医院の印象の底上げや接遇ノウハウ指導で、「選ばれるクリニック」になって欲しいと研修やセミナー活動を開催している。