歯科医師の治療の基礎スキル 最初の3年で9割決まる

私、小塚義夫は、名古屋に『つゆくさ歯科医院』を開業して10年が経ちます。

開業以来売り上げもメインテナンス数も右肩上がりで、自費率約30%以上の安定経営を行なっています。

「歯科開業医として成功を収めるために、勤務医時代に何ができるのか?」「将来のビジョンをどのように立てるべきか?」など、私の開業から今日までの軌跡を振り返りつつ、歯科医院開業のメソッドを解説していきます。

3回目の今回は、「治療技術編」。

歯科医院の開業にあたって、安定した集患を得るためには、しっかりとした治療技術を備えていることは大前提です。

私は「勤務医時代の最初の3年間で、基礎的な治療スキルの90%以上が固まる」と思っています。

そしてその後、誰もが『3年目の壁』にぶつかりますが、それはいったいどのような壁なのでしょうか?

乗り越える方法は、あるのでしょうか?

また将来開業するつもりなら、治療技術の習得と両立しながら経営についても学ばなければなりません。

そのために、どういったバランスで学んでいけばいいのか、についても解説いたします。

歯科医師としての技術は、最初の3年間で90%以上の基礎的なスキルが固まる!

歯科医師としての治療技術の軸は、勤務医時代の 最初の3年間でほぼできあがります。

ご存知の通り歯科医院によって、力を入れている治療内容や治療方針が異なります。

小児歯科に力を入れていたり、歯内療法に精通していたり、予防に特化した設備を整えていたりする医院もあるでしょう。

治療技術の基盤をしっかりと習得するためには、勤務医時代、在籍する医院の考え方や方針に自分を染めるようにします。

自分なりの判断は後回しにして、まずはその医院のやり方に染まるよう、院長や先輩歯科医のスキルを盗むぐらいの強い気持ちで学び取るのです。

その方針や考え方が、自分に合っているかどうかの判断は後にすること。それが、効率よく治療スキルを習得するコツです。

新卒の勤務医は、学生時代の考えを捨てましょう。

そして、中途採用されたドクターは、これまでの歯科医院で身についていた癖を捨ててください。

別の医院に転職する時は、今まで勤めていた医院の考え方・やり方は、捨て去ることが鉄則です。

「これまで慣れている方法や考え方と違う」と感じても、「別のやり方を新しく学べる」とポジティブに捉えることで、その歯科医院が構築した独自のスキルを身につけることができるのです。

歯科医師を雇っている医院というのは、経営で成功している歯科医院です。

必ず「盗む」べきポイントがあると考えてください。

歯科医療のスキルを習得するための成長プロセス「守・破・離」は?

歯科治療の技術の習得は、芸事の修業における段階を示す「守・破・離」に倣って進めていくと、しっかりと効率よく身につけられます。

守:1~3年目 

勤務医時代の最初の3年間は、基本の習得期間です。

芸事を習う場合は、師匠やその流派の教えや型、技を忠実に守って身につけます。

歯科医療のスキルも同じこと。院長や先輩歯科医のやり方を忠実に真似ることで、ゆるぎない基礎力を得ることができます。

治療スキルも経営スキルも、基本の軸が身についている人が、将来開業医として成功します。

この時期の過ごし方は、すべての基盤。

正しい習慣を身につけられるよう「すべて将来の開業のための勉強」と考えて、アンテナを張りましょう。

そして、院長のいうことに対しては、一切言い訳をせず、まるでスポンジのように吸収していきましょう。

例え、言われたことの意味がわからなくても、まず言われた通りやってみるべき。

そうしてやってみないと、意味がわからないこともあるのです。とにかく愚直に実践あるのみです。

破:4~6年目 

勤務医4年目からの3年間は、応用力を身につける時期。

自分が治療した患者さんの予後を診られる段階に入るため、思いもよらない症例に触れる機会が増えます。

「こんなケースもあるのか」と、さまざまな可能性について考える必要が出てきます。

この段階は、院長や先輩歯科医のやり方に限らず、他の治療法での可能性についても考え、良いものであれば取りいれるなど、治療スキルを発展させる時期です。

離:7年目~ 

勤務医7年目以降は、基礎や応用を一通り身につけた後で、自分の得意分野を見つける段階です。

自分なりのやり方を見つけて、磨きをかけていきます。

そろそろ独立開業を考えても良い時期といえます。

こうした段階を踏まえ、着実に治療技術を身につけていけば、開業歯科医として必要なスキルを習得できます。

3年目の壁は誰にでも訪れる!打破する方法は必ずある

勤務医としてできることが増え、環境にも慣れてきたと感じる3年目に入ると、誰もが『3年目の壁』に当たります。

その原因は、「自分は良くやっている」という自己満足が生まれるようになり、そこから自分自身で作った枠に当てはめてしまう「自己限定」に陥ってしまうからです。

まだまだ成長できるのに、自己限定のせいで成長の停滞期に入ってしまうことになります。

しかし、打破する方法は必ずあります。

この時期になると、自分が治療した患者さんの予後を見られるようになるのですが、教わった通りに治療しているつもりでも、うまくいかない事例があることに気付きます。

そういった場面に直面した時は、素直に院長に相談しましょう。

相談の際は、「診療してみた結果は○○でした。今後の対策として、▲▲を□□のやり方でやってみようかと思いますが、他により良いやり方はありますか?」といった感じで、自分の考えを院長に伝えた上で意見を聞くことが大切です。

自分の考えを言うことで、頭も整理されますし、院長からも自分の考えを超えたアドバイスをもらいやすくなります。

このような創意工夫をすることで、自己限定の枠を打ち崩していきましょう。

勤務医の今しかできないこと、今だから準備できること

3年目までは、自分のことだけで必死な状態になってしまいます。

しかし、3年目以降は、意識して医院全体や、他のスタッフが成果を出せることにも意識を向けるようにします。

そうして周囲への目配りを続けることで、治療スキルだけでなく、経営ノウハウやマネジメントについても、徐々に学び取ることができる余裕も出てきます。

コツは、勤務医でありながら、その院内で開業したつもりで行動すること。

この時期から、「自分が開業医だったらどうするか?」と考え、医院のためになることを実践していきましょう。

勤務医時代は、ノーリスクで歯科医院経営のシミュレーションができる、絶好のチャンスなのです。

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小塚 義夫

医療法人つゆくさ歯科医院 院長 / 歯科医師

平成23年5月に名古屋にて、つゆくさ歯科医院を開業。専門は歯周病・入れ歯全般。歯周病治療に力を入れており、ターゲットを具体化した歯科医院経営の成功事例として多数の講演実績あり。

元々は教職志望だったこともあり、後輩歯科医師の育成にも注力。開業を志す若き歯科医師のよき相談相手としても活動中であり、開業にまつわるエピソードや知見を基に、あきばれ歯科経営 onlineにも寄稿頂く。