慢性的な人手不足といわれている歯科業界では、新卒歯科衛生士の獲得において激しい競争が繰り広げられており、今や「1人の歯科衛生士を20の歯科医院で取り合う状態」といわれます。
そのような状況では、採用活動を行っていても、なかなか獲得に至らない歯科医院も多いのではないでしょうか。
この記事では、新卒の歯科衛生士の採用方法について解説し、獲得成功のためのポイントを紹介します。
新卒の歯科衛生士は圧倒的な売り手市場
全国歯科衛生士教育協議会「歯科衛生士養成教育に関する現状調査」(2020年)によると、歯科衛生士養成学校を出て、就職を希望する歯科衛生士6,298人に対する求人数は約13万人となっています。
就職者に対する求人倍率は約20倍と高く、1人の歯科衛生士を20の歯科医院が取り合う状態です。
5年ほど続くこの傾向は、慢性的な人手不足を表しているといえるでしょう。これが現在の歯科衛生士の新卒採用の状況です。
歯科衛生士の採用では中途より新卒に力を入れるべき理由
スタッフを採用する時に、中途採用の方が教育の手間がかからないと考えがちです。
基礎から指導する必要はなく、これまでの知識やスキルを生かして即戦力となることを期待するのではないでしょうか。
しかし、よい人材を中途で採用するのは簡単ではありません。
なぜなら、人手不足の状況で即戦力の中途人材は多くの歯科医院で争奪戦となっており、また中途人材はこれまでの業界勤務経験で、報酬・待遇や福利厚生、職場環境を慎重に比較検討する傾向があるからです。
その点、新卒の歯科衛生士は、中途人材ほど他の歯科医院とシビアに比較するわけではないため、不満を抱えにくいというメリットがあります。
自院のビジョンや価値観にも共感してくれやすく、自院の治療方針や業務に沿った行動が身につきやすいといえるでしょう。
もちろん、新卒の歯科衛生士は即戦力にはなりません。
患者を担当できるようになるまで時間がかかるうえ、先輩歯科衛生士や他スタッフも指導に時間を割かれます。
それでも、長期的に勤務すれば患者のファンがつく場合もあり、歯科医院の収益にも役立つはずです。
また、歯科衛生士学校とのつながりが生まれる可能性もあります。
就職説明会などに卒業生である新卒歯科衛生士を連れていくことで、新卒採用率のアップが期待でき、優秀な人材を確保しやすくなります。
新卒の歯科衛生士を採用する4つの方法
多くの医院が歯科衛生士の採用を望み、採用活動に取り組んでいます。
自院の人材確保を実現するためには、さまざまな枠組みに対するアプローチが必要です。
そこで、新卒の歯科衛生士採用のために行いたい方法を4つ紹介します。
新卒の歯科衛生士採用の方法1:学校への求人票
1つ目は、歯科衛生士を養成しているほとんどの学校では全国から求人を受け付けており、掲載も無料で行っています。
就職課への求人票掲載は、資料作成や郵送といった事務費用のみで可能です。
面接や説明会にかかる経費は別途必要ですが、採用コストを低く抑えられるメリットがあります。
求人票は自医院で用意するか、学校のホームページなどでも入手できるため確認してみましょう。
新卒の歯科衛生士採用の方法2:求人サイト
医療業界に特化した求人サイトに情報を掲載することで、歯科衛生士に向けたアピールが可能です。代表的な求人サイトの特徴を見てみましょう。
・GUPPY(グッピー)
医療・介護系に特化した就職情報サイト。
初期費用10万円からの「新卒採用サービス」の利用で、就職サイトや就職情報誌への掲載やスカウトがすべて利用できます。
複数の職種を募集でき、採用が決定しても追加費用はかかりません。
・Quacareer(クオキャリア)
求人情報サイトを運営する「Quacareer」(クオキャリア)では、歯科衛生士専門の求人サイト「WEB版クオキャリア」や新卒歯科衛生士専門の求人誌「就活BOOKクオキャリア」など歯科衛生士に特化した媒体を多く抱えています。
パッケージプランを利用すれば歯科医院の求人情報を効率よく掲載できるでしょう。
新卒の歯科衛生士採用の方法3:求人検索サイト
通常の求人サイトとは異なり、求人検索エンジンを利用して求人情報を紹介しているのが求人検索サイトです。
「Googleしごと検索」や「Indeed」(インディード)が代表的で、CMなどでご存じの方も多いのではないでしょうか。
求人検索エンジンは、歯科医院ホームページや求人サイトなどから求人情報を取得し、検索されたキーワードに合った求人情報を表示しています。
求人検索サイトのメリットは、インターネット上にあるさまざまな媒体の求人情報をまとめて見ることができるため、求職中の歯科衛生士に見つけてもらいやすい点です。
新卒歯科衛生士の求人案件を掲載している歯科医院も多く、掲載料も無料であるため低コストを実現できます。
新卒の歯科衛生士採用の方法4:自院ホームページ
新卒の歯科衛生士を採用する際は、自院のホームページも重要な媒体です。働きたいエリアが決定している歯科衛生士なら近辺の歯科医院を検索し、ホームページで募集状況を探すことも考えられるでしょう。
それ以外でも求人サイトなどで気になる求人を見つけた際に、多くの歯科衛生士は歯科医院のホームページをチェックしています。
それゆえ、歯科医院の経営方針や診療理念、スタッフ、院内の雰囲気など自院の魅力をホームページで伝えなければなりません。
また、スマートフォンへの対応やSNSの利用、採用専用ページの作成なども有効な手段の1つになります。
新卒の歯科衛生士の獲得に成功するためのポイント
新卒の歯科衛生士を採用するための方法をお伝えしましたが、これが全ての求人方法ではありませんし、求人を掲載しただけで人材獲得につながるわけではありません。
求人で興味を持った学生の多くはインターネットで情報を探すので、ネット検索を想定した情報発信が必要となります。
他にもさまざまな採用方法を試す
新卒の歯科衛生士の採用は、紹介した方法以外にもさまざまな手段が考えられます。以下のような手段を幅広く活用するのがおすすめです。
- スタッフからの紹介
- ハローワークへの申し込み
- インターネット広告の掲載
インターネットの情報の整備
特に近年はインターネットを利用した検索が主流となっています。
インターネット広告の活用や、ホームページを「Google」など検索エンジンの上位に表示されるように最適化する「SEO」、「Googleマップ」などの地図検索サイトで優先的に表示させるための「MEO」といったWeb対策も有効です。
歯科院の魅力を伝える
インターネット上で求職者に対して自医院の魅力をアピールすることは、大切なポイントです。
他の歯科医院と比較したうえで差別化や訴求できる点をまとめ、分かりやすく伝えましょう。
また、歯科衛生士の多くは人間関係、労働環境、待遇、成長性などを重要視しており、医院の雰囲気をつかむ目的でホームページをチェックしています。
院長やスタッフ同士の人間関係、あるいは職場環境が伝わるようなホームページを心がけ、さらにSNSを併用して情報発信することも効果的です。
歯科衛生士の新卒採用における注意点
新卒で採用した歯科衛生士の離職率は高いといわれています。
日本歯科衛生士会の調査のなかで、名古屋のある歯科衛生士専門学校を卒業後2年以上勤務経験のある歯科衛生士にアンケートを実施したところ、「2年以内に辞めた」と回答した割合は31〜35%でした。
そのため、歯科衛生士の採用においては、入職しただけで満足せず離職を防ぐための体制を整えておくことが重要といえます。
指導方法の見直し、マニュアルの作成、定期的な面談による懸念点の把握など、しっかりと準備をしておくことが重要です。
まとめ
新卒歯科衛生士の採用を実現するためには、求職者である新卒歯科衛生士の目に留まるよう幅広い方法で、求人を掲載する必要があります。
さらに、他医の歯科医院との差別化や、自医院の魅力を求職中の歯科衛生士へ伝わるように発信することも大切なポイントです。
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歯科衛生士でもある「あきばれホームページ」歯科事業部長の長谷川愛が編集長を務める歯科医院経営情報サイト「あきばれ歯科経営 online」編集部。臨床経験もある歯科医師含めたメンバーで編集部を構成。
2021年5月14日「あきばれ歯科経営 online」正式リリース。全国1,100以上提供している「あきばれホームページ歯科パック」による歯科医院サイト制作・集客のノウハウを元に、歯科医院経営を中心とした歯科医院に関する様々な情報を経営に役立つ観点からお届けする。