歯科医院経営にとって、歯科衛生士の育成は重要です。もし歯科衛生士が失敗ばかりだと、業務にも支障が生じ、院長の悩みの原因になってしまいます。
しかし実際には歯科衛生士のミスやなかなか育たないことに課題感をお持ちの院長は多くいらっしゃるでしょう。
本記事では、まず歯科衛生士が失敗を繰り返す5つの原因を説明した後、「どうすればミスを防げるのか」をテーマに具体的な対策法を解説します。
最後に、ミスが多い歯科衛生士への指導方法として、歯科医院の院長が意識したいポイントにも触れていますので、ぜひ参考にしてください。
歯科衛生士が失敗ばかり繰り返す5つの原因
「なぜうちの衛生士は、失敗ばかり繰り返すのだろう」と悩んでいる院長も多いと思いますが、単に注意や研修をしても、そもそもの「ミスを起こす背景」が分からないことには、原因が分かりません。
まずは、その辺りをしっかり把握しましょう。歯科衛生士が仕事でミスを繰り返す原因には、次のような5つの原因が考えられます。
- 意識と自覚が足りない
- フローを把握していない
- 仕事への理解不足
- 技術不足
- 余裕のなさ
それぞれ詳しく見ていきましょう。
歯科衛生士が失敗ばかりの原因 1.意識が足りない
失敗に対する意識や自覚が足りなければ、同じミスを繰り返す可能性が高くなります。
自らの失敗に敏感な歯科衛生士は、「ミスを防ぐ」「同じミスはしない」といった心がけで業務に取り組むので、必然的にミスを減らすことができます。
しかし、その意識が低ければミスは防げません。
意識や自覚が欠ける背景には、「他責思考」が考えられます。
つまり「自分がミスをするのは環境や院長、周りのスタッフのせい」として反省しないため、同じミスを繰り返すことになるのです。
歯科衛生士が失敗ばかりの原因 2.正しいフローを把握していない
そもそも正しい業務フローを把握しないまま、間違って仕事を覚えていることがあります。
たとえば、自医院のベテランスタッフが正しくないフローを教えてしまったケースです。
ベテランスタッフが指導時に省略したり誤解にもとづいて伝えたりしていると、どうしてもその後はミスが増えてしまうでしょう。
他に「報告・連絡・相談」が欠けているのも、本人には怠けているつもりはなく、「報告・連絡・相談」が必要かどうかの判断を誤っている可能性があります。
「大切な業務は連絡するように」と指示を受けていても、「大切な業務」の判断基準が誤っていれば「報告・連絡・相談」が上手くいかないでしょう。
歯科衛生士が失敗ばかりの原因 3.仕事への理解が追いついていない
歯科衛生士の仕事は覚えることが多いため、理解が足りていないケースも考えられます。
「仕事のスピードが遅い」「無駄な仕事が多い」のも、根底には業務の理解不足があるというケースもあるでしょう。
また、もともとスピードが遅い歯科衛生士が急かされても、無理にスピードアップを心がければミスが増えてしまいます。
歯科衛生士が失敗ばかりの原因 4.技術が不足している
歯科衛生士として技術が不足している場合も、失敗の原因となります。
学校で習ってきたことを、実際の現場ですぐに実践できるとは限りません。
そのような技術不足によって、ミスを繰り返してしまうケースがあるのです。
ただし、この点については技術力が向上すればミスの減少が見込めるので、歯科医院側が可能な限り研修や勉強会などを用意することで対処しましょう。
歯科衛生士が失敗ばかりの原因 5.心身の余裕がない
忙しさによる体力的な理由や、プレッシャーなどの精神的な理由によって、本来じっくり行えばミスを防げる事柄でも失敗してしまうことがあります。
特に、疲労や体調不良などは正常な判断を妨げ、失敗につながりかねません。
精神的・体力的な理由によってミスが多発すると、情緒不安定となってさらに失敗が続くことも考えられますので、スタッフの心身の状態には注意しましょう。
歯科衛生士の失敗を防ぐ方法
スタッフの失敗が続く場合、ヒューマンエラーを防ぐための方法を検討することが大切です。
具体的な対策として以下の3つがあります。
- 人の関与を減らす
- 失敗の要因を減らす
- ミスの見える化
歯科衛生士の失敗を防ぐ方法1:人の関与を減らす
歯科衛生士の作業をシステムに代替させることで、人為的なミスを防止できます。
たとえば、カルテの転記ミスが発生しているなら電子カルテを導入したり、会計・経理ミスが発生していれば自動精算機・会計システムを導入する、といった対策です。
人が行う作業を自動化することで、ヒューマンエラーを減らせると同時に業務も効率化できます。
「どうすればスタッフの関与を減らせるか?」「どの部分をシステムに任せることができるか?」を積極的に検討してみてください。
歯科衛生士の失敗を防ぐ方法2:失敗の要因を減らす
「スタッフの負担過多」「業務フローが複雑」など、失敗しやすい環境原因がある場合は、その要因を取り除くよう管理者が対処すべきです。
スタッフ1人ひとりの仕事量を見直したり、業務フローを改善して分かりやすくする、といった対策が考えられます。
一見、負担過多には見えなくても、スタッフと個別面談を行うことで気付かせられるかもしれません。
特に我慢強いタイプは、業務負担が重くなっても周囲に打ち明けられず、結果的に自身のキャパシティを超えて失敗につながることがあります。
この対策としては個別面談などのコミュニケーションが効果的です。
歯科衛生士の失敗を防ぐ方法3:ミスを見える化する
「業務フローの明確化・シンプル化」「マニュアルの整備」は前提として、その上でミスの発生を抑える工夫や、ミスが生じた場合に早期発見しやすい工夫を行うことが大切です。
たとえば定められた業務フローの漏れをなくすためにチェックシートを用意すれば、未対応の項目が明確になるので業務の漏れを防ぎやすくなります。
他にも、今までに起きたミスを見える化してスタッフ内で共有すれば、「いつ、どのようなタイミングでミスが発生しやすいのか」が視覚的に分かるため、改善効果が期待できるでしょう。
ミスが多い歯科衛生士の指導で意識すべきポイント
歯科衛生士のミスの指導で意識したいポイントには以下の3点があります。
- 1人ひとりに合った指導
- 冷静かつシンプルな指導
- コミュニケーションを取りやすい環境作り
それぞれ解説していきます。
個人に合う指導を行う
「熟練度が低い」「余裕がない」など、ミスの原因は歯科衛生士によってさまざまです。
「覚えるのに時間はかかるが、一旦習熟すれば着実に仕事をこなすタイプ」「そそっかしいタイプ」など性格も異なります。
必要以上にミスを気にする繊細なタイプもいれば、ミスが多発すると開き直るタイプもいるかもしれません。
前者には自信を持たせるような柔らかい指導、後者には「ミスによる弊害を伝えること」から始める必要があるでしょう。
そのように歯科衛生士の習熟状況や個性を見ながら、1人ひとりに合った適切な指導を考えてみてください。
感情的に指導しない
失敗を繰り返してイライラしても、怒鳴ったりきつい言い方をしたりすれば、スタッフは心を閉ざして逆効果になりかねません。
最初に「どのようにミスを防いでほしいのか」という目標を設定した上で、「どのようなミスが起きたのか」という事実や「ミスを防ぐために何をしてほしいのか」という要望を整理して冷静かつシンプルに指導しましょう。
そもそも感情に任せた指導は、指導する側も体力と気力を消耗しますし、他のスタッフが悪感情を抱くリスクもあります。
その光景を患者が目にすれば、自医院から離れてしまう可能性もあるので要注意です。
コミュニケーションを取りやすい環境を作る
院長やスタッフに話しかけやすい環境・雰囲気を作ることで気軽に相談しやすくなります。
ミスの中には、周囲に相談したくても相談できず、自己判断で行った結果、発生してしまうものがあります。
そのようなミスは、周囲とのコミュニケーションがスムーズになることで減らせます。
普段からスタッフに労いの言葉をかけたり、まずは相手の考えを受け入れる姿勢を心がけたりしましょう。
話しかけやすい環境・雰囲気を作ってミスを防止できれば、業務フローの停滞を防げるため、必然的に業務が捗る効果も期待できます。
まとめ
歯科衛生士が失敗を繰り返す原因には以下があります。
- ミスを防ぐという自覚が足りない
- 正しい業務フローを把握していない
- 仕事への理解が追いついていない
- 根本的な技術が不足している
- 忙しさやプレッシャーで心身の余裕がない
対策としてシステムの導入でヒューマンエラーを減らし、負担を軽減してミスを見える化する方法がありますが、冷静かつシンプルに、個人に合った指導を行いながら、コミュニケーションを取りやすい環境を整えるとよいでしょう。
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歯科衛生士でもある「あきばれホームページ」歯科事業部長の長谷川愛が編集長を務める歯科医院経営情報サイト「あきばれ歯科経営 online」編集部。臨床経験もある歯科医師含めたメンバーで編集部を構成。
2021年5月14日「あきばれ歯科経営 online」正式リリース。全国1,100以上提供している「あきばれホームページ歯科パック」による歯科医院サイト制作・集客のノウハウを元に、歯科医院経営を中心とした歯科医院に関する様々な情報を経営に役立つ観点からお届けする。