2022年度新卒採用・スケジュールのポイントと注意すべき点は?

新卒のスタッフが働き始めてから数ヶ月が経ち、「2020年は大変な一年だったけれど、新しいスタッフも入って、今年は良い年になると良いな」と、ホッと一息つかれている先生も多いことでしょう。新年度が始まってまだ2,3ヶ月ですが、実はもう来年度の採用活動も始まっています。

夏前から来年度の採用に向けて動いている医院はどれくらいあるでしょう?そして今は何をすべき時期なのでしょうか?詳しく解説いたします。

4-6月は歯科衛生士の求人票作成に向けた準備期間

歯科衛生士の採用関係で一番最初の大きな動きは、「7月に衛生士学校に求人票を送付すること」です。6月以前、少なくとも7月頭までにはその準備が必要ですが、大丈夫ですか? 求人票には給与や就業時間、保険の有無や従業員数といった基本的な情報に加え、「院長からのメッセージ」「医院の特徴」などの記入欄があります。

数値で表せる基本情報に関しては特に悩むことはありませんが、面接や見学が制限されている今だからこそ「院長や医院からのメッセージ」など、院の雰囲気が読み取れる情報の重要性が高まっています。

重要な役割を果たすメッセージ

衛生士学校でも歯科大学でも、多くの他院の求人と共に貴医院の求人も並びます。つまり条件や院長からのメッセージなど、常に他院と比較されているのです。その上で、

  • 自分たちの医院をどのような院として伝えたいか
  • 他の医院と比べて特徴的なところはあるか
  • どういう想いを持っている人に面接にきて欲しいか

など、「多くの求人票の中の一枚」であることを意識して求人票を作成しましょう。

私がコンサルをしている医院様には、本命の歯科助手の学校には代行業者を使わずにご自身で行った方が良いとお伝えしています。ぜひ学校側の反応を見たりしながら、しっかりとメッセージを伝えていきましょう。

歯科衛生士学校に求人票を送付する7月以降の採用スケジュール

それでは次に、歯科衛生士の採用が本格化する7月以降の流れを説明します。

7月~9月

7月に求人を出すと徐々に応募が始まり、選考がスタートします。8月から9月にかけて、衛生士学校の見学が始まり、内定が決まります。

またこの時期は歯科医師は研修先を決め、新卒高校生の面接や新卒大学生応募も始まる時期となり、複数職種の活動が一気に始まります。若手の歯科医師や歯科衛生士は現在売り手市場で、希望通りの採用が非常に厳しくなっています。歯科医師の求人票同様、他の職種も数値的以外の部分の「伝え方」をしっかりと吟味してください。

10月~12月

研修を終えたばかりや、まだ研修中の歯科医師は「実習先に残るかどうするか」を悩む時期です。上でも述べた通り現在若手の歯科医師は売り手市場で、歯科医師の方が複数の医院から就職先を選ぶ立場です。そのため求人を出す側が積極的に求人広告を掲載し、就職フェアなどありましたら参加しましょう。 

2月以降

そして年が明けて一休みしたら、2,3月には来年度の採用計画を立て始めます。採用の人数は「スタッフの給与が売り上げの20%まで」というのが基本です。「ユニットの数に合わせて採用する」のではなく、あくまで売り上げ比率で採用数を決定していくことをスタッフにも知ってもらいましょう。

採用に重要な8月・3月・5月の有効な使い方

一年間を通して準備をしたり実際に活動をする採用ですが、中でも重要なのが8月・3月・5月です。この月に合わせて2ヶ月前からしっかり準備を行いましょう。

求人広告の内容が古くないか、HP内の採用ページ、採用サイトの情報が古くないかチェックし、人が動く月はなるべく多くの求人媒体に掲載することを意識してください。

求職者はよく見ている!気をつけなければならない労働条件とは

今就職活動を行っている20代前半〜20代半ばの世代は、小さな頃からインターネットがあった環境なので、自分に必要なこと・知りたいことは何でもネットで調べ尽くすのが当たり前になっています。そのため就職活動に当たっては、先生方が考えている以上に最新の労働法や他院の労働条件などに詳しいと思っておいた方が良いでしょう。これは職種に関係ありません。

したがって、古いままの労働条件の記載には、それだけで不信感を持たれて敬遠されてしまうことも。求人を出す際には「最新の労働法の条件に合った記載になっているか」「残業代の表記義務は最新(1分単位)になっているか」などをしっかりチェックすることをおすすめします。

求人票で歯科医師が注目するポイントは?

次は秋以降に始まる、歯科医師の採用のための注意点です。 求人票を作成する際に気をつけることは、「職種によって見ているポイント・重視するポイントが異なる」という点です。歯科医師は求人のどのようなところに注目しているのでしょうか?

歯科医師の場合、まずは条件から見る人が多いでしょう。具体的には以下のような項目です。

  • 給与(平均以上を探しています)
  • 休みの日数(日祝休み+平日1日)
  • 退勤時間(19時以降退勤の医院は週休3日を導入しないと採用は難しいでしょう)
  • スキルアップやセミナーなど、技術や経営を学べる環境はあるか

以上は歯科医師全般に言えることです。次に性別ごとの特徴を見ていきましょう。

男女別:歯科医師が求人でチェックするポイント

男性歯科医師は教育プログラム や給与(一生勤務しても困らない程度)を重視し、女性歯科医師 は給与よりも勤務時間や通勤のしやすさなどを重視する傾向があります。

歯科医師の求人票作成の際には、このような点を注目し他院と比較していることを理解しておきましょう。

求人票で歯科助手が注目するポイントは?

次は、歯科助手が求人票で注目するポイントです。

コロナの影響で求人が減った影響もあり、退勤時間、休日にこだわりがない方が多いです。条件にこだわりがない分、安定を求め、正社員か?試用期間が短いか?が重要視されます。

また内定を出したのに、親御さんから「今の時期は、あえて医療機関を避けて欲しい」と言われる内定辞退が多くもなっています。

  • 社保完備かどうか
  • 勤務時間(日祝+平日1日休み)
  • 退勤時間(19時を超えても応募があります)
  • 感染対策は万全か
  • 試用期間が長すぎないか
  • 正社員での募集か

このような点がチェックポイントとなります。歯科医師との違いは、人数が少ない医院が必ずしも不人気ではなかったり、スキルアップできるかどうかはあまり関係がない点です。

以前に比べて売り手市場の歯科業界。「一人の歯科衛生士に20の求人が集まる」と言われる時代だからこそ、魅力的な求人をつくれるか否かが採用成功のポイントにつながります。職種により重視する点は違うことを踏まえ、魅力的な求人票を作成していきましょう。

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伊藤 祐子

株式会社グランジュテ 代表取締役

兵庫県生まれ。東洋英和女学院大学卒業後、シンガポール航空客室乗務員として勤務。その後、スイス系プライベートバンク勤務を経て、10年間歯科医院の理事を勤め、従業員2名から40名以上の大規模医療法人設立に携わる。

人材が集まりにくい地域にて人材を安定して採用するノウハウが注目され、セミナー講師、雑誌連載の依頼を多数受ける。

2014年(株)グランジュテ創業。

医療機関の人材採用に特化したコンサルティングは全国300医院以上に及び、9割以上のクライアントが3ヶ月以内に希望職種の採用に至っている。

今回、歯科医院の採用課題を解決し、コロナ時代の先を見据えた採用戦略を寄稿頂く。