歯科医師の先生が金融商品で損をしないために知っておきたい2つのこと

はじめまして。(株)ビジブルのCEOの山上真司です。

私は住宅・保険の営業経験を活かし、現在は資産運用や保険のコンサルタントとして活動しております。

年間150件の新規相談、70回ほど開催しているセミナーでは、金融業界の裏話や営業マンの本音などをお伝えしてきました。

これまで中立的な立場からお客様の問題を解決してきました。

多くの歯科医師の先生方のご相談もお受けしてきましたが、他の相談と比べても特に「もったいない」と感じることが多くありました。

そこで本連載では「歯科医師の先生方が損をしないお金の使い方」をお伝えしていこうと思います。

紹介文化が根強い歯科業界

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(画像=grek881/stock.adobe.com)

「知り合いに紹介されたものは良いもの」って本当?

3年ほど前の話です。長年お付き合いのあるクライアントに「この辺りで美味しいラーメン屋はありますか?」と聞かれた際、好みを細かくヒアリングした上で「ではA店ですね!」と自信満々で勧めたことがあります。

ところが後日、「あまり口に合いませんでした…」とのご報告を受け、自信満々でお伝えしただけに顔から火が出るほど恥ずかしい思いをした覚えが。

情報を収集して分析し「この人に合うだろう」と自信を持って提案したのですが、それでも全く的外れだったのですね。

実は、同じことが歯科業界でも起こっています。

今まで数多くの歯科医師の先生方のコンサルをさせて頂いた上で、歯科業界は「紹介文化」が根強いと感じています。

既に開業されていらっしゃる先生は、開業時に導入する設備やシステム、様々な商品やその担当者など、紹介されたご経験があるのではないでしょうか。

ラーメンであれば美味しくないことに一口目で気づけますが、金融商品は無味無臭で、形すらありません。

そのため商品の本当の善し悪しに長年気づけないまま、野放しにされているケースが非常に多いのです。

このような背景からか、先生方からお金に関する相談を受けていると、もったいない保険の入り方や資産運用をしている方が多いと感じます。

例えば…

  • 生命保険に年間100万円以上の保険料を払っているにも関わらず、歯科医師にとって死活問題である手のケガや視力低下などによる「働けないリスク」の保障を持っていない
  • 「預貯金よりは増えるレベル」の金融商品に年間数百万円の積立をしている

このような先生方に「どんな経緯でこの保険や金融商品を購入することになったのですか?」と聞くと、「院長の紹介」「先輩ドクターの紹介」「友人が保険屋で」という理由がほとんどでした。

なるほど。これは歯科医師に限ったことではないかもしれませんが、知人や先輩の紹介だとその人自身を信頼しているが故に、専門知識が必要なものであっても無条件で信頼してしまうのかもしれませんね。

改めて言います。紹介による商品は、必ずしもあなたにとって最適とは限りません。

日本の金融業界は客が損するビジネスモデル

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(画像=elroce/stock.adobe.com)

金融業界のゴールは「自社商品を売ること」

間違った手段を選んでしまうのは、先生の問題ではありません。

先生に紹介してくれた方々も本当にその商品が良いと信じているのでしょう。

これは日本の金融業界の「売らなければ生きていけない仕組み」に問題があります。

例えば私がいた保険業界は手数料商売で、販売しなければ営業マンの給与はゼロです。

そのため「目の前の人に、いかに高い保険に加入してもらうか」をゴールにセールスしている営業マンが多くいました。

歯科医師にとって最適な保険であっても、営業マン自身に手数料が入らないものは勧めません。

逆に儲かるのならば、不要なものまで勧める営業マンが多いのが現実です。

顧客に無駄な商品は売らない、無理して自社商品に寄せない真っ当な営業マンは、稼げず業界を去っていくことも珍しくはありません。

また、ファイナンシャルプランナー(FP)を「お金の問題を解決してくれる専門家」だと思っているなら危険です。

なぜなら日本のほとんどのFPは「生命保険営業マン」だからです。

お金の悩みを聞いた上での解決策は「自社の生命保険の販売」なのです。

悲しいですが、それが日本の金融業界です。この状況を問題視した金融庁は2017年に「顧客本位の業務運営に関する原則(FD宣言)」を出しています。

一方、欧米のFPの報酬契約は年俸制や顧問料などが多く、商品を売っても手数料は入りません。

収入源が「商品を売った際のマージン」ではないからこそ、手数料の高い保険を売ることなどせずに本当に顧客に合ったプランを提案できます。

その結果、顧客の目的に合わせ資産を保全する「専門家」として、弁護士や医師と同レベルの地位にあります。

このような日本の金融業界でも「損をしない」考え方

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(画像=polkadot/stock.adobe.com)

損をしないために知っておきたい2つのこと

では、損しないためにはどのような考えを持ったら良いのでしょうか。私は2点あると思っています。

1.紹介された商品と類似の商品を比較する
まずは紹介されたものと、類似の商品・サービスを比較しましょう。

比較により判断のものさしができると、営業トークに流されなくなります。

そして、困った際には即決せず信頼できる人に相談することも大切です。

また、損を防ぐには知識が必要ですが、無料セミナーはお勧めできません。

売りたい商品があるからこそ行われるのが無料セミナーだからです。

ただより高いものはありませんので、金融リテラシーを養うためには身銭を切る勇気が必要です。

2.原則、営業マンを信じない
今回の結論は、これに尽きるかもしれません。

日本の営業マンで信じて良いのは、「この人なら損してもいい」と思える人だけです。

具体的には有益な情報を教えてくれる、お客様を紹介してくれる、などといった付加価値のある営業マンです。

長きにわたりトップセールスでいられる営業マンの特徴でもありますが、そんな人物は一握りです。

一方で、保険の営業マンの8割が勤続2年目以下という事実があります。

「保険会社の営業はノルマがきついため、知り合いや親戚に一通り売ったら退職してしまう」という話を聞いたことがあるのではないでしょうか。

この結果大半の営業マンが社歴も浅く、この段階の営業マンはセールススキルの研鑽に走るケースが多く、金融知識が十分に備わっているとはいえないのです。

私自身も住宅や保険のセールスを経験してきましたが、当時は「自社商品をいかに販売するか」がゴールになっていました。全く悪気なく、自社商品を良かれと思って勧めていたのです。

当時の私には、自社商品を他社商品と比較できるだけの知識がありませんでした。

このような営業スタイルを続けていくうちに、自分の知識不足によりお客様を損させてしまっていたことに気づきました。

その後悔から、現在は「クライアントの悩みに対し最適な解決策をつなぐ」を使命として活動しています。

まとめ

先輩医師や営業マンからの紹介を、鵜呑みにしてはいけない理由についてお分かりいただけたでしょうか。

紹介してくださる方々にも決して悪気はありませんが、「教えてくれる先生自体も損をしているかもしれない」という目で一度見てみてください。

次回以降は、生命保険や損害保険、資産運用などについて、「知らずに損をする」をなくすための方法を解説していきます。

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山上 真司

株式会社visible 代表取締役|歯科てっぺん塾 主宰

1986年生まれ。中央大学商学部を卒業後、大手ハウスメーカー、外資系生命保険会社、乗合保険代理店にて営業に従事。住宅業界・金融業界ともに販売がゴールである「業界の在り方」に疑問を抱く。

顧客にとって目に見える(=visible)わかりやすい業界に変えたいという想いで、2019年株式会社visibleを設立。

「知らずに損する人をゼロに」をコンセプトで業界のウラガワを伝え、クライアントと最適な答えを繋いでいる。直近1年でセミナー参加・個別相談頂いた歯科医師は延べ300名を超える。