借り入れ金額や老後の資金計画など歯科医院長によくある「お金にまつわる」3つのご相談

こんにちは。 イレブン税理士事務所 飯谷慎平です。

コロナ禍で集患しづらい…そこで、設備投資を含め、歯科医院でできる治療のアピールのために資金を投入しようと考える院長は大勢いらっしゃることでしょう。そんな時、「どこまでお金をかけていいもの?」という漠然とした不安に陥ることはありませんか?

歯科専門税理士としては、安定経営を継続するためには「お金の見える化」が必要です、というアドバイスをします。

わたしがサポートさせていただいている範囲では、2020年の4~5月頃には最もコロナ禍の影響がありましたが、今では例年並もしくは8割掛け程度まで経営状況が回復している歯科医院がほとんどです。

これからもっと医院を大きくされたい、稼ぎたい、という攻めスタイルの院長先生が多いので、現状のニーズを見極めて積極的に様々な改革を進めているからでしょう。コロナ禍でも売上は伸びていないものの、それほど影響を受けていない、といった状況です。

わたしも歯科専門税理士として、コロナ禍であったこの一年は特に、より有利に資金調達を行うために、かなり感度の高いアドバイスをさせていただきました。

お金の見える化とは?そして、コロナ禍でも安心して歯科医院経営を継続していく方法とは?

歯科専門税理士から見たコロナ禍の医院経営について、全4回の連載でお伝えさせていただきます。みなさまの医院の安定経営のヒントになれば幸いです。 第一回目は、歯科医院を経営する院長から寄せられた「歯科専門税理士に聞いてみたい!よくあるお金にまつわるご相談」をQ&Aスタイルでご紹介します。

Question 1:
「僕の診療報酬なら、1億円借りても大丈夫ですか?」

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(画像=buritora/stock.adobe.com)

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1億円の借り入れを15年間で返す場合、月々60万円の支払いになりますが、それが払えるか?ということを考える必要があります。支払えるかどうか計算する時に必要なのが、年間の固定費にいくらかかっているかということ。

初回にお話する際には、「医院の固定費は年間おいくらですか?」と必ずおうかがいしますが、ほとんどの院長先生が「知らない」といいます。

それがわからないと、どこまで借金していいかが分からないですよね。意外に感じる方がいらっしゃるかもしれませんが、医院の売り上げがいくらかは知っているのに、固定費を把握している院長先生は多いとはいえません。

まずは、固定費を把握することから始めてください。

売上粗利から固定費を支払い、残った金額が利益になります。そこから院長自身の生活費などを引き、残った金額から月々60万円を返済することになります。それを15年間継続して支払えるか?ということが「1億円借りても大丈夫か?」の答えになります。

もっと良い歯科医院にしていくために、まずは、固定費を把握することから始めましょう。

固定費を把握した上で適正に借入れを行えば、一度に何十人もスタッフを雇わない限りは問題ないでしょう。売上目標は固定費から逆算すれば立てられますし、いくら借りていいのかも簡単に弾き出せます。

それが理想ですが、実際には漠然と歯科医院を経営されているケースが多いので、「先生、月々〇〇円返済しているけれど、このやり方を続けているとそのうちショートしかねないですよ」と、ヒントを与えるのが我々税理士の仕事だと思っています。

苦言を呈することになるので嫌がられることも多いのですが、安定経営を持続していくためには欠かせないことです。お忙しい院長先生に少しでも負担なくご理解いただけるよう、資料をお渡しする際にはパッと見てわかりやすい形に「見える化」をする工夫しています。

Question 2:
「事業承継のために必要な資金については、どのように計画すればいいですか?」

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(画像=polkadot/stock.adobe.com)

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歯科医院を承継する方法が売却(親族外承継)なのか、それとも親族内承継なのか、それによって必要な資金が異なります。親族内承継が決まると、教育費の問題が出てきます。特に私立大学の歯学部に進学する場合、3000万円は必要ですので、どのように資金を捻出するかを考えておく必要があります。

具体的には、承継するお子さんが小さいころから学資保険などへの加入を検討してもらいます。無理に加入させるのではなく、そういう選択肢があることをお伝えするのです。

1,500万円までの教育費の支援に対して贈与税が優遇される「教育資金贈与信託」など、金融機関の制度も活用できます。祖父母から孫への資金援助が非課税で行えるため、一族の相続対策としても有効な手段です。承継に関する話題は人気が高いようで、院長先生同士の飲み会では「どこの歯学部の学費が安いのか?」といった話題に花が咲くことも多いようですね。

また、教育費に大量にお金を使った後は、新しい院長を迎えるにあたって設備投資の必要がでてきます。教育費の次は、今度はその資金繰りをどのようにしていくか?と考える必要が出てきます。そうした際にも歯科専門税理士として、より有利な資金調達のアドバイスをするなど、一緒に手段を探ります。

Question 3:
「院長の引退時期については、どのように考えればいいですか?また、老後の資金計画については、どんなアドバイスをしていますか?」

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(画像=bedya/stock.adobe.com)

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医院を継承する子どもが歯学部を卒業し、研修医を経て戻ってくるのはいつなのか?それを考えて「院長の引退時期」を逆算します。老後の資金計画については、院長先生の場合は不動産所得がある方も多いですが、それ以外には「小規模企業共済」などの制度を利用するのが良いですね。

小規模企業共済は所得控除になるので、社会保険と同じ利便性があります。若い時から積み立てておくと、退職金や年金として受け取れますので、院長先生の老後の資金計画のひとつとしては、おすすめです。

また、院長先生が一番身体が動く世代の時に、医院の設備投資などに一番お金を使いたくなります。老後の資金計画も大切ですが、それをふまえて一生涯を見据えた資金計画を立てる必要があります。 理想としては、30代半ばくらいから各種保険、個人年金、小規模事業共済に入っておくと良いですね。

ただ、老後の資金計画は非常に重要なことですが、院長先生が現役でバリバリと精力的に活動されている時に、常日頃からそれについて考えているということはないですよね。ですから、このような話題を出すと、嫌な顔をされることも多いです。それでも後々必ず役立つことですから、ヒントを与えるのが我々税理士の仕事だと考えています。

まとめ

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(画像=moonrise/stock.adobe.com)

歯科専門の税理士として、常に助言をしてあげられるようにな関係でありたいと考えています。 例えば、院長先生はお忙しいですから、固定費の把握をお願いしても簡単にはいきません。そんな時は、「医院をもっと良くしたいんだったら……」などと、別の切り口を使って気づいてもらえるように工夫しています。

具体策としては、経営状況をパッと見てわかりやすく「見える化」するために、固定費だけのグラフを作成し、要注意の場合は「赤信号」で伝えるようにするなどです。数年おつきあいしている院長先生の場合は、昨年よりも固定費の推移が控えめになるなど、見える化によって、より安定経営へシフトできました。

他に、月々の経営状況の資料をお渡しするファイルのカラーレールの色を変えるということも行っています。危ない月は赤のレール、安定した月は青のレールというようにパッと見ただけで経営状況がわかるので、ファイルを並べた棚を見るだけで「今年は赤が多い」という風に視覚的にも危機感を持てます。

いかがでしたか? この連載では、全4回にわたり、歯科専門税理士から見たコロナ禍の歯科医院の経営についてお伝えします。次回はコロナ禍の影響を最小限に食い止めた”攻めスタイル”で成功レールに乗っている歯科医院についてのお話です。連載の中で、今後は、歯科医院の経営にも関係するコロナ対策関連の補助金制度についても紹介する予定です。

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