みなさん、こんにちは。 イレブン税理士事務所 飯谷慎平です。
コロナ禍が始まって以降、歯科専門税理士として、様々な資金繰りに関するご相談に対応させていただきました。
歯科業界に関しては、2020年4~5月が最もコロナ禍の影響を受けていた印象でしたが、今では例年程度~8割くらいに戻っている印象です。
特にわたしがサポートしているのは、「これから医院を大きくしていきたい」「もっと稼ぎたい」と”攻めスタイル”の院長先生が多いため、この機会に色々と改革をされていて、上手く経営の舵をを切れています。
それもあって、コロナ禍の影響をうけているところは少ない、という体感があります。
全4回のシリーズで、歯科専門税理士から見たコロナ禍の医院経営についてお伝えしております。
2回目の今回は、コロナ禍でも影響を受けていない、”攻めスタイル”の医院経営について解説させていただきます。
少しでも、みなさまの安定経営のヒントになれば幸いです。
わたしがサポートしている範囲では、コロナ禍でもあまり影響を受けていない、”攻めスタイル”の院長先生がほとんどです。
その理由は、しっかりと資金繰りなどの対策を行ったからといえます。
歯科専門税理士として安定経営のサポートをさせていただいている経験から、成功レールに乗っている”攻めスタイル”の医院経営とは、どのような施策をとっているのか、今回もQ&Aスタイルでご紹介します。
Question 1:コロナ影響が少ない“攻めスタイル”の院長とは、どんなタイプ?
Answer1
コロナ禍でも大きく影響を受けていない、”攻めスタイル”の院長先生に共通するのは、方針をしっかり固めて歯科医院経営をされている点です。
まずは競合を研究して集患層を決めるなど、マーケティングをしっかりとされているという特徴があります。
例えば開業の際に「この治療をやりたい」といった目標があれば、その治療をやりたい世代を集患する方法を考えます。
そのためにどこに医院を開くか、どんなメディアに広告を出すか、といった分析が必要になります。
具体的には、入れ歯の保険診療メインにしっかり丁寧にやっていこうという方針の院長は、高齢者が多いエリアで地域密着型の医院を展開されています。
自由診療のホワイトニングに特化したいと考える院長は、東京だったら銀座、大阪だったら梅田など都市部の繁華街にクリニックの看板を上げています。
個人的に好きな治療、やっていきたい治療があるという院長は、その治療を推進していくために競合する医院を研究し、集患ボリュームが見込める立地を見つけてそこに医院を構えています。
マウスピース矯正のインビザラインなど、自費診療を中心にしたいから、そのために集患ボリュームの高いビジネス街という立地を選んでおられる院長もいます。
ビジネス街はスペースに対する固定費はかかりますが、終業後にも通える診療受付時間を設定し、ビジネスマンが気軽に通えるように配慮しています。
Question 2:コロナ禍で、なるべく節約したい「人・モノ」に関するお金。これらついては、どのように考えるべき?
Answer2
基本的に、人件費は削らない方がいいですね。人材に関する費用は、不必要に下げないようにします。
新規採用はせずに、今いる従業員に安心して働いてもらって、モチベーションを上げることが大事です。
福利厚生に関する費用は、きっちり払っていくべきです。
モノに関する経費を削減すると従業員の士気が下がりますので要注意です。
機材などの設備にかける費用は削らずに、従業員には気持ちよく働いてもらいます。
Question 3:従業員のモチベ―ションアップのために、”攻めスタイル”の先生方が実際にしていたことは?
Answer3
人件費を削らないためには、手元に資金を確保しておくことが大切です。
コロナ禍で将来が不透明な時期にも、しっかりと預金口座に現金をプールしておければ、「人件費の支払いの心配はない」という支えができます。
このコロナ1年目については、まずは、医院としての預金残高をしっかり確保することに取り組みました。
例えば、3年間無利息で資金の貸付を受けられる支援制度を利用するなど、資金余力を持たせるためのアドバイスは感度を高くして行いました。
預金残高は精神安定剤のような役割を果たしてくれますし、なにより資金余力があれば安定経営を実現できます。
具体的な施策としては、臨時的に診療時間を短くされた医院さんが多かったですね。
状況が落ち着いたら元に戻しますが、コロナ禍という落ち着かない状況でも、従業員が安心して働ける環境づくりには響く施策だと思います。
また、キレイな施設、新しい器材は、従業員のモチベーションが上がりますので、これを機に設備や器材を新しくされた医院さんも多いですね。
ソーシャルディスタンスの確保のためにも、パーテーションを設置して診療スペースを半個室化するなど、衛生環境のレベルアップのためにも診療チェアや内装に手を入れた医院さんはたくさんありました。
また、様々な補助金を利用して、レセコンや電子カルテ関連の設備を導入されたケースも多いですね。
効率よく業務を進められる職場環境の整備にも力を注がれています。
コロナ禍以前の施策としては、歯科医院としての売上目標を達成したら、従業員が希望する高級レストランで食事会を開くといった工夫をされていた医院さんが多かったですね。
まとめ
このれまで、コロナ禍でありながらも新規開業の相談をお受けすることはありますが、それよりも、競合対策などに関する相談を受けることのほうが圧倒的に増えています。
”攻めスタイル”の院長先生は、現状の集患エリアや診療報酬の分析をすることで、どの世代にどんな治療を多く行っているのかを把握し、今後の広告戦略や他院との差別化を考えています。
どういう層がどんな治療を受けているという診療分析をして「伸び悩んでいるのはこの部分」など緻密に分析することで、固定費を抑え、利益を大きくすることができます。
そうして、先行きが不透明なコロナ禍でも安定経営の継続が実現できているのです。
いかがでしたでしょうか?
この連載では、全4回にわたり、歯科専門税理士から見たコロナ禍の医院経営についてお伝えします。
次回は、歯科医院の経営にも関係するコロナ対策関連の補助金制度について解説します。
【おすすめセミナー】
・【無料】たった4ヶ月で歯科衛生士276名の応募獲得! 歯科衛生士・歯科助手採用セミナー
・【無料】矯正治療が得意な先生に贈る マウスピース矯正集患セミナー
イレブン税理士事務所 代表
税理士
1982年生まれ。3つの税理士事務所・税理士法人を経験。税理士をもっと身近に感じてほしいとの思いから令和元年8月、神戸市中央区にイレブン税理士事務所を開業。
同時にコンサルティング会社、イレブン合同会社も設立。税務申告だけでなく、日常の会計業務の改善や診療報酬分析など歯科医院のお客様のニーズに合わせたご提案を心がけている。