歯科医院の待合室物販に成功するポイント

はじめに

前回までは、待合室をうまく活用して患者様のニーズをとらえた物販を行う「医療物販学」について、医院の経営視点・患者様の満足度アップ・スタッフのモチベーションのアップなど、様々な視点から解説してきました。

患者様のニーズやお悩みをしっかりとらえ、最適な提案をするには商品知識が欠かせません。

現在の物販アイテムはカテゴリーも商品数も多岐にわたりますが、PMTC以外での物販アイテムのことを知っていますか?

多くの商品数があるということは、それだけ患者様のニーズが細分化している、つまり商品の数だけのニーズが存在するということです。

このコラムでは絶対に知っておくべき、様々なデンタルケア商品について紹介します。

患者様の興味関心はどこ? 重要なのは「買いたい」と自ら感じてもらうこと

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(画像=中原維浩)

医療物販学で重要なことは、「利益率の高い商品を売る」ことではなく「患者様のお悩みや希望に沿った商品を紹介し、正しい使い方や効果などを専門家の立場から紹介し、結果的に希望通りの効果を出して満足してもらうこと」です。

その結果、患者様のデンタルIQが上がって歯への意識も変わり、自費診療の売り上げが増えていった例もたくさんあります。

こうした成果を出すためには「虫歯予防なのか」「口臭予防なのか」「ホワイトニングなのか」など、正しい患者様のニーズをつかむことが重要です。

商品を紹介する上で大切なことは、患者様自身に「使ってみたい」「買ってみたい」という欲求を自ら抱かせることです。

魅力的で分かりやすいディスプレイやPOPで興味をひき、実際に販売しているグッズを使ってブラッシング指導を行うことで、香りや味・爽快感などを五感で味わってもらいましょう。

興味を持ったところで専門家がお勧めし自分も体験することで初めて、「買いたい」という欲求が生まれるのではないでしょうか。

売り込まれることは誰でも嫌がるもの。

決して興味を持つ前に商品説明をして「押し付け」と感じられないよう、ニーズを把握することを心がけてください。

たかが歯ブラシ・されど歯ブラシ!歯ブラシをあなどるな

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(画像=中原維浩)

患者様にとっても私たちにとっても最も身近であり最も数が売れる、様々な意味で重要な口腔ケアグッズ、「歯ブラシ」。

歯ブラシもただ並べているだけでは意味がなく、「売れる歯ブラシ」「売れない歯ブラシ」があることをまずは意識しましょう。

売れる歯ブラシ・売れない歯ブラシとは?

医院で取り扱っている歯ブラシは「箱に入っているもの」「ビニールに入っているもの」があり、多くの医院では箱に入った歯ブラシを販売しているのではないでしょうか。

私が以前50医院で調査をした結果、箱に入った歯ブラシの方がビニールに入った歯ブラシよりも売れ行きが悪いことが分かりました。

これは、箱に入っていると、触れないため形状や様子がよく分からないからだと思われます。

これを解消するために、箱に入った歯ブラシを販売する際には、一個実物を出してサンプルとして触れるように陳列しておくと良いでしょう。

診療室やTBIで勧めることも大事ですが、やはり手にとって持ちやすさ、ブラシの硬さや柔らかさなど、自分で実感してみたい人も多いので、サンプルを置いただけでも売り上げはかなり変わると思います。

アフターフォローの大切さ

歯ブラシを手にとっても、それだけではなかなか使い心地までは分かりません。

そこで私の医院では、各患者様に合った歯ブラシを歯磨き指導の際に使用し、使用した歯ブラシや歯間ブラシをそのまま差し上げています。

実際に使い方もお伝えしているので、自宅で利用した際にも効果を体感できる可能性が高まります。

その後に、「前回お渡しした物は使ってみて頂いてどうでしたか?」というアフターフォローを必ずしてください。

このように患者様の納得度・満足度を上げることが、継続販売に繋がっていきます。

歯磨剤・洗口液の基本をおさらい

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(画像=中原維浩)

口腔ケアの物販は歯ブラシだけではありません。歯磨剤・洗口液についても解説します。

歯磨剤

歯科医院の物販売上を見ると、歯ブラシなどの物理的掃除用具が圧倒的に多くの売り上げを占めており、歯磨剤や洗口剤などはいまひとつ、という医院が多いのではないでしょうか。

私はこの販売額の偏りは、日本式ブラッシング指導に原因があると思っています。

ブラッシング指導の際に歯ブラシの正しい使い方・ブラッシングの仕方を丁寧に教えることはあっても、歯磨剤を勧めたり詳しく教えるケースは少ないでしょう。

しかし歯磨剤には「歯周病予防」「虫歯予防」「美白」「知覚過敏ケア」「口臭予防・対策」「口腔乾燥」「子供用」など様々な用途と効果があり、複数の疾患を予防する薬剤成分が入っているものもあります。

このように細分化された効用の歯磨剤が販売されているということは、様々な患者様のニーズや悩みに合う商品があるということ。

ぜひブラッシング指導に歯磨剤も取り入れ、患者様の悩みを解消できる提案を行うことをお勧めします。

洗口剤

洗口剤は2021年1月に、最も注目を浴びた口腔ケアアイテムの一つです。

なぜなら40年以上も研究されているCPC入りの洗口液でうがいをすることで、新型コロナウィルスが99.9%不活性化することが分かったからです。

こういった社会的にも関心が高い情報も伝えながら、うまく商品の紹介につなげていきましょう。

唾液検査の様々な活用法

内科で血液検査から様々な全身の状態を調べるように、私の医院では唾液検査によって歯と歯ぐきの健康や口腔内の細菌を調べる以外にも、がんや未病、生活習慣病のリスクなども調べています。

唾液を遺伝子解析することで、がんや糖尿病をはじめとした生活習慣病のリスクも分かるようになってきました。

他にも唾液に含まれるアミラーゼなどを調べることでストレス測定も行え、疲労度も分かることが発表されています。

このように、なんの痛みも手間もなく採取できる「唾液」から、健康状態や注意すべき点などが手軽に分かることは、患者様にとっても大きなメリットです。

また唾液検査で虫歯菌が多いと分かるなど、患者様のセルフケアや通院のモチベーションアップにも利用できます。

ポジティブな口臭対策

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(画像=中原維浩)

皆様も実感しているかもしれませんが、口臭を主訴として来院される患者様は実は結構多いものです。

年頃の患者様から「孫に口が臭いと言われた!」というご年配の方まで、幅広い年齢の方が口臭に悩んでいるのです。

口臭の原因は、患者様によって様々。口腔内診察や舌苔確認、唾液検査などを行なった上で状態に合わせて提案を行います。

例えば残存歯が多い場合にはデンタルフロスや歯間ブラシを紹介したり、歯周病由来と思われる場合には歯周病対策の歯磨剤・洗口液を勧めましょう。

グッズは他にもたくさんありますが、大切なことは「患者様の悩みを知る→その原因を調べて突き止める→原因を解消できるグッズを紹介する」ということです。

物販を苦手とする先生もいると思いますが、このように患者様の悩みを解決するグッズの紹介であれば喜ばれる上にリピートの可能性が高くなります。

そのためにも多くの特徴や効果をしっかりと理解しておきましょう。

まとめ

このコラムでは、医療物販学でも重要となる数多くの口腔ケアアイテムや検査について解説しました。

患者様のお悩みにこたえるグッズや検査を紹介するためには正しい商品知識が必要です。

新商品も毎年多く発売され、今までは解決できなかったような悩みを解決できる製品も色々生まれています。

「昔から置いてあるからなんとなく」ではなく、どんなグッズが患者様の悩みを解決するか、そして売り上げに貢献するかという視点で最新グッズもしっかり調査していきましょう。

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中原 維浩

医療法人社団栄昂会(細田歯科医院・戸塚駅前トリコ歯科 )理事長
DECT株式会社 代表取締役社長

2016年に実家の細田歯科医院を継承。理想とする「全身から診る口腔咬合医療」を提供するために勤務。2016年10月にリニューアルオープン。

その後、2017年に医院経営の包括サービスを提供するDECT株式会社を設立。2018年には、戸塚駅前トリコ歯科を新規開業。

医院の待合室でセルフケアグッズを販売することがどのように医院経営を変えていくのかをテーマに「医療物販学」という待合室におけるマーケティング理論を提唱し、年間100回を超える講演で全国を飛び回る。