デンタルローンの基礎知識 メリットと選び方は?

「歯科医院の数はコンビニより多い」といわれており、歯科業界の競争はますます激しさを増しています。このような状況下で安定した経営を実現するためには、自費率を高めることが大切です。

そこで今回は、自費率向上につながる決済手段の一つである「デンタルローン」の概要やメリット、導入ポイントなどを詳しく解説します。

デンタルローンは導入すべき?デンタルローンとは?

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(画像=pixta)

デンタルローンは「歯科診療費に使途を限定したローン商品」のことです。

一般的に、フリーローンやクレジットカードでの分割払いより低金利(4.0~9.0%程度)であり、デンタルローンを利用した場合の治療費も全て医療費控除の対象になるなど、患者さまにとって多くのメリットがあります。

デンタルローンの対象となるのは、基本的にインプラントや矯正といった自費治療です。

患者さまは支払い負担を軽減できるなどのメリットが得られますが、利用に当たっては所定の審査を受ける必要があります。

デンタルローンは導入すべき?デンタルローンの仕組み

デンタルローンはさまざまな会社が提供していますが、大きく分けると「銀行系」と「信販会社系」の2種類があります。

それぞれ契約の形態から申し込み方法まで異なる点が多々あるため、両者の仕組みの違いをあらかじめ把握してから、自院に合ったものを選ぶことが大切です。

銀行系のデンタルローン

銀行のデンタルローンは、患者さまと各金融機関との2者間契約です。

スルガ銀行・千葉銀行・イオン銀行などが提供しています。

患者さまがデンタルローンを利用して支払う場合、まず歯科医院側で治療費の見積もりを作成した上で、患者さまご自身に金融機関へ直接振り込んでもらう必要があります。

資金は患者さまの口座に一旦振り込まれるケースが一般的ですが、歯科医院の口座に直接振り込んでもらえるケースもあります。

インターネットの普及によって、近年はパソコンやスマートフォンから申し込める銀行も増加しており、時間的な負担も軽減できます。

患者さまにとっての利便性を高められるよう、こうした使い勝手の良さもチェックしておきましょう。

信販会社系のデンタルローン

信販会社のデンタルローンは、患者さま・金融機関・歯科医院の3者間契約です。

イオンプロダクトファイナンス・アプラス・デントキュア(ジャックス)などが提供しています。

3者間契約ということで、歯科医院も各信販会社との加盟店契約を締結しなければなりません。

契約に当たっては所定の審査が行われるため、開業して間もない個人経営の歯科医院など経営実績が不足していると落ちる可能性もあります。

信販会社系のデンタルローンの申し込み方法は、治療費確定後に信販会社のWebサイトからインターネット経由で申し込む、もしくは歯科医院の窓口で申し込むという2パターンです。

資金は、あらかじめ登録しておいた歯科医院の口座に直接振り込まれます。

アプラスのデンタルローン

信販会社系のデンタルローンの中から、「書類・身分証明不要」などの手軽さで人気のある「アプラス」について解説します。

  • 利用できる人 20歳以上
  • 必要書類 Webからの申し込みの場合、身分証明や印鑑、収入証明などは不要
  • デンタルローンの利用金額は医療費控除の対象に(上限あり)
  • デンタルローンご利用金額200円につきTポイントが1ポイント貯まる
・利用できる人 20歳以上

・必要書類   Webからの申し込みの場合、身分証明や印鑑、収入証明などは不要

・デンタルローンの利用金額は医療費控除の対象になる(上限あり)

・デンタルローンご利用金額200円につきTポイントが1ポイント貯まる

※アプラスのデンタルローンをもっと詳しく知りたい方はこちらをご覧ください。

デンタルローンを導入することの歯科医院のメリット

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(画像=pixta)

デンタルローンを導入すれば、歯科医院は以下のようなメリットを得ることができます。

他院との差別化が図れる

日本歯科医師会が実施した調査によると、一般生活者が“歯科医師に求めること”として「治療費の負担が少ないこと」が上位にランクインしています。

多様な決済手段に対応している歯科医院はまだまだ少ないため、患者さまの支払い負担を軽減できるデンタルローンを導入すれば、他院との差別化を図ることができます。

ホームページやWeb広告、チラシなどで自院の得意とする自費治療と併せてデンタルローンについて案内すれば新規集患に効果的です。

医院の手間とコストを削減できる

デンタルローンの申し込み手続きや資金の振り込み、債権回収はローン会社が代行してくれるため、基本的に歯科医院にはほとんど手間がかかりません。

治療費の未回収リスクも抑えられるので、安心して自費治療を提供できます。

また、デンタルローンの多くは初期費用や手数料が無料となっているため、決済手数料の発生するクレジットカードと違ってコストがかからないのもメリットです。

自費治療のアップ

自費治療が増えない原因のの一つに、「治療費が高い」ことがあげられます。

デンタルローンを使えれば月々の支払いが安くなり、一気に患者様のハードルが下がります。

この結果、自費率のアップに繋がりやすくなります。

デンタルローンを導入することの患者様のメリット

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(画像=pixta)

それでは次に、デンタルローンを導入した場合の患者様のメリットを紹介します。

高額な治療へのハードルが下がる

インプラントや矯正など高額になりがちな自費治療は、患者さまにとって大きな負担となります。

数十万~数百万円という多大な費用がかかることも珍しくないため、良い治療だと思っても金銭的な理由から諦めてしまう患者さまは少なくありません。

デンタルローンによって分割払いができれば、月々の支払いの負担をかなり抑えられます。

結果として、患者さまの自費治療に対するハードルが下り、予算ありきではなく最適な治療を選べるようになります。

導入するデンタルローンを選ぶポイント

デンタルローンを選ぶときは、利用上限金額・支払い期間・認知度の3点に着目しましょう。

利用上限金額は高ければ高いほど、支払い期間は長ければ長いほど患者さまにとっての選択肢も広がるため、できるだけ融通が利くデンタルローンを導入することがポイントです。

また、認知度が高いデンタルローンを導入すれば患者さまが安心できるのはもちろん、ローンを提供している会社のWebサイトから歯科医院を検索できるケースが多いため、自費治療を希望される患者さまの集患にもつながります。

【徹底比較】歯科医院で導入できるデンタルローン3選

デンタルローンはたくさん存在するため、どれを導入すべきか迷ってしまいがちです。

そこで、代表的なデンタルローンを3つピックアップして比較しました。

イオンプロダクトファイナンススルガ銀行デンタルローンスマイルライン
利用可能額10万~500万円10万~800万円500万円
利用回数6~84回最長7年間6~60回
対象となる治療インプラント、矯正自身または家族の歯科治療費自費治療(ホワイトニングなどの美容治療は対象外)
金利(年利)3.9%4.0~7.0%(変動金利)分割回数36回までは手数料無料

また、各デンタルローンの概要もまとめたので、ぜひ参考にしてみてください。

イオンプロダクトファイナンス

イオンプロダクトファイナンスのデンタルローンは、大手のイオングループが携わっていることもあり信頼性は抜群です。

実質年率3.9%と業界トップクラスの低金利を実現している上、イオンカード会員ならさらにお得になるので、患者さまの負担も抑えやすくなっています。

また、デンタルローン導入後は患者さまに見積もりと申し込み用パンフレットを渡すだけで歯科医院がやるべきことはほとんどないため、手間暇かけず運用できることもポイントです。

スルガ銀行デンタルローン

スルガ銀行デンタルローンは、利用上限金額が800万円とかなり大きいため、大掛かりな手術などで多額の治療費が必要となる患者さまにも対応可能です。

治療後の返済期間は最長7年となっており、ライフプランに合った無理のない返済計画を立てられることから、患者さまとしても負担が少なく利用しやすいといえます。

また、団信・がん保障特約付きローンが選べることもポイントです。万が一の事態が起こってもローンはしっかり全額返済できるので安心感を得られます。

スマイルライン

スマイルラインのデンタルローンは、患者さまの手数料負担が0円なので、気軽に利用していただけます。

分割回数に応じた歯科医院の手数料負担はありますが、振込まで最短10日、審査完了まで最短10分と対応スピードが非常に速いため、キャッシュフローを気にせず運用できることは魅力的です。

これらのメリットも相まって、デンタルローン契約実績は業界No.1となっています。

デンタルローンの注意点

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(画像=ponta1414/stock.adobe.com)

デンタルローンは患者さま・歯科医院の双方にとって有用ですが、いくつか注意点もあります。

患者さまがデンタルローンを利用する場合、利息によって結果的に治療費が高くなる、長期にわたって支払い義務が生じるといったリスクも発生するため、事前にきちんと説明しなければなりません。

この部分の説明が足りないと後々トラブルに発展して、歯科医院の信頼が損なわれてしまう可能性もあります。

また、患者さまが治療の中断を希望された場合の対応でも注意が必要です。

歯科治療の中でクーリング・オフの対象となるものは、ホワイトニング(施術期間1か月以上、支払い総額5万円以上)だけです。

デンタルローンで支払った後に患者さまが中途解約を申し込んだ場合、ローン会社も含めての協議となるので、解約は実質的に困難となります。

デンタルローンの支払いシミュレーション

100万円の矯正治療を年利4.0%で60回払いにした場合

  • 毎月返済額:1万8,417円(元金1万5,084円、利息3,333円)
  • 返済総額:110万5,020円(元金100万円、利息10万5,020円)

40万円のインプラント治療を年利9.0%で24回払いにした場合

  • 毎月返済額:1万8,274円(元金1万5,274円、利息3,000円)
  • 返済総額:43万8,576円(元金40万円、利息3万8,576円)

まとめ

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(画像=fotofabrika/stock.adobe.com)

デンタルローンは患者さまと歯科医院のどちらにもメリットをもたらしてくれますが、利息の負担や審査落ちといったリスクもあります。

最近では、クレジットカードをはじめとするキャッシュレス決済も需要が高まっているため、患者さまのニーズに合わせて幅広い決済手段に対応することが大切です。

デンタルローンを導入するときは、自院に合ったものを選ぶことも忘れないようにしましょう。

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あきばれ歯科経営 online編集部

歯科衛生士でもある「あきばれホームページ」歯科事業部長の長谷川愛が編集長を務める歯科医院経営情報サイト「あきばれ歯科経営 online」編集部。臨床経験もある歯科医師含めたメンバーで編集部を構成。

2021年5月14日「あきばれ歯科経営 online」正式リリース。全国1,100以上提供している「あきばれホームページ歯科パック」による歯科医院サイト制作・集客のノウハウを元に、歯科医院経営を中心とした歯科医院に関する様々な情報を経営に役立つ観点からお届けする。