歯科医院経営において、正しく成果を出せる広告の掲載場所(交通広告・看板・紙)

こんにちは。のぶ歯科クリニックを経営している丸橋伸行です。

当院は地域人口の少ない神戸市の下町にあり、開業1年目の患者数は1日10人程でした。

しかし、その4年後には年商1億円になり、現在は年間新患数2,000人、年商2億円の歯科医院へと成長することができました。

スタートでつまずいた当院が、短期間で一定規模の売上を上げられたのは広告を活用したからです。

本連載では、「歯科医院における広告の考え方や活用法」を私の経験を元にご紹介します。

4回目となる今回は、歯科医院における広告の掲載場所について解説します。

広告の掲載場所はどこにする?どの媒体を選ぶ?

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(画像=pixta)

看板、ホームページ、チラシ、SNSなど広告媒体は多岐にわたります。選択肢が多いからこそ、判断基準が必要です。

私の場合は「投下エネルギー量」と「投下タイミング(時期・時間)」を判断基準にしています。

静的媒体と動的媒体

広告としての情報発信は「継続すること」が最も大切です。継続するからこそ、人々に認知され名前を覚えてもらえます。

そして、継続的に広告を出すうえで、その媒体が「静的」か「動的」かには大きな違いがあります。

静的媒体とは、看板やホームページなどの「一度出したら放置する媒体」です。

静的媒体は広告を出すまでの作業工程が多いですが、一度出してしまえば放置できます。

代表例はホームページや看板です。出稿後の投下エネルギーはゼロなので、継続しやすい媒体と言えます。

一方、動的媒体は常に手を加える必要があります。

代表例はSNSです。

すぐに始められる点が魅力ですが、常に新たなコンテンツの更新を求められます。

こちらはマメな院長先生向きです。

このように、媒体の性質によって投下エネルギー量と時期・時間は異なります。媒体の特長をしっかり把握してから投資することが大切です。

スポット媒体

テレビ・ラジオへの出演やチラシの効果が出たときには、凄まじい反響があります。しかし、その効果は2日程度しか続きません。

まさしく一瞬の効果なので、私はこれらを「スポット媒体」と呼んでいます。

以前、折り込みチラシによって1日に新患50人からの予約依頼がありました。

しかし、チェアー数や人手には限りがあり、全員は受け入れられませんでした。

スポット媒体はチェアー稼働率の低い医院が、起爆剤として使うことをお勧めします。

広告で情報発信するときの注意点

広告での情報発信を継続できるかどうかは、院長先生の好みや姿勢によります。

どの媒体が向いているのかは、やってみなければ分かりません。

まずは広告に手を出してみて、嫌ならやめるという程度のスタンスが良いと思います。

また、発信するということは院長先生だけに関わる問題ではありません。

「私は広告出稿したいのですが、家族が反対するんです」という相談を受けた経験があります。

そのような時には、出稿期間を区切ったり、結果が出た際のメリットを共有したりして説得しましょう。

極論になりますが、実際に収入が増えれば反対していた人も納得してくれるものです。

すでに外部発信をされている先生なら、患者さまや他の歯科医師から思いもよらない勘違いをされたご経験があるかもしれません。

しかし、勘違いを恐れて無難な表現に変更するのは悪手です。

なぜなら声をあげているのは勘違いした人であり、先生の意図を汲んでくれた人は声をあげず見守ってくれているからです。

発信後も医院が無事に回っているのなら、きちんと発信が受け止められている証拠です。

また、勘違いを避けるために、表現を分かりやすくするのは大切ですが、あまりにも理解力が低い読み手に合わせる必要はありません。

次の章からは駅や道路での広告掲載場所について具体的に解説します。

駅や電車にうつ交通インフラ広告のよい掲載場所

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(画像=pixta)

まずは代理店の提案場所を検討

広告代理店は、たくさんの掲載場所を提案してくれます。

しかし私の経験上、良い場所は全体の10%もありませんでした。

良い場所というのはもともと付き合いのある会社に優先的に紹介されるものだからです。

まずはNGを掴まないように意識して、良い場所が空いたら教えてもらえるような関係性を築いていきましょう。

交通インフラ広告を打つ際のポイント

私が交通インフラ広告を打つ際、「何をもってNGとするか」の判断基準があります。

交通インフラ広告を打つ場所のチェックポイントを〇×で評価し、全て×だったらNGとするものです。チェックポイントは5つあります。

1.掲載ポジション

人目に触れるか触れないかで判断します。事前の書類上で「ここは見えないだろう」と思う場所は、現地に行っても見えないものです。

2.サイズ

大きいか小さいかで判断します。具体的な寸法ではなく、誰が見ても「大きいね」と言えるサイズが〇です。

3.交通量

交通量は、見てくれる人の数を指しますので、交通量の多いところが良い場所です。駅や電車の場合は乗降客数で予測可能です。

ただし乗降客数には乗換客も含まれており、実際に駅で乗降している客数より少ないのでターミナル駅には注意が必要です。

4.医院との距離

自院の患者さまのうち、7割が来院している地域を一次診療圏といいます。

その後は二次、三次診察圏と続きますが、もちろん一次診療圏が良い場所です。

一次診察圏の広さは、集めたい患者さまが保険診療か自費診療かで変わります。

私が広告で保険診療の患者さまを集める場合、一次診療圏は隣接区、二次診療圏は市内全域、三次診療圏を県全域とみなしています。

一方、自費診療の患者さまは人数が少ないので、一次診療圏を市内全域にするイメージにしています。

道路に配置する野立て看板のよい掲載場所

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(画像=pixta)

野立て看板の狙い

何度も接するうちに親しみが増し、好意を抱く現象を「単純接触効果」と言います。

患者さまにとって、通院は気が重くなる予定です。

そこで野立て看板を通勤・通学・買い物で使う道に配置し、単純接触効果により心理的ハードルを下げるのが野立て看板の狙いです。

潜在患者さまが来院する可能性を高めることができます。

掲載場所のポイント

全てが完璧な場所は存在しません。

概ねチェックポイントをクリアしていれば良しとしましょう。

1.交通量

交通量が多いほど良い場所です。

しかし最初は交通量の数値を見ても、多いのか少ないのか判断できません。

まずは先生ご自身の感覚で判断するのもありです。

そうこうしているうちに数字と感覚がすり合わさり、数字で判断できるようになります。

2.道路の性質

貨物輸送が目的の産業道路より、地域住民の移動が目的の生活道路での掲載を優先してください。

速度の速いトラックが数多く走る産業道路は、野立て看板に向いていないといえます。

一方、速度の落ちる道路や慢性的に渋滞する道路は、野建て看板が視界に入りやすいため最高の場所と言えます。

3.医院との距離

まずは医院の近場に出すことをお勧めします。

近隣でも、思っているほど認知されていないことが多いからです。

ある先生が、チェアー数を増やした後も順調に歯科医院が回っていたため「開院時より診察圏が広がっているだろう」と診察圏調査をしたところ、開院時と全く変わっていなかったそうです。

もし今「さすがに近所の方は知っているだろう」という認識であれば、考えを改めた方が良いかもしれません。

4.看板の大きさ

看板は大きい方が良いのですが、その理由は人間の視野にあります。

野立て看板は頭より高い位置に設置されるので、人と看板の距離が近すぎると角度が急で見にくくなります。

意識に残りやすい角度を確保するには、ある程度の距離が必要となります。

そして、距離があっても認識されるためには大きな看板が必要です。

5.カーブしている道路

そもそもカーブを曲がる際は視野が狭まるので、看板の設置はあまりお勧めできません。

カーブしている道路に設置する場合、内側は死角になりやすいため、外側に設置した方が効果が出やすくなります。

6.電灯

電灯は標準装備の場合と、応相談の場合があります。

当然、明るい方が認知されやすいので、可能であれば、取り付けてもらいましょう。

7.ストリートビュー

看板設置場所の視察は現地視察をおすすめします。

ただし多忙であったり、あまりに手間のかかる場合はGoogleストリートビューを活用するのもよいでしょう。

私はGoogleストリートビューを見てから、現地視察をしています。

チラシや地域情報誌などの紙媒体も検討

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(画像=pixta)

紙媒体は大きく分けて「チラシ」と「地域情報誌」があります。

どちらも若年層よりは年配者にとって身近な媒体なので、年配者がターゲットの際に有効です。

チラシ

チラシを1万枚配布した場合、効果として何人の来院者が妥当でしょうか。

私が開業時に1万枚を配布した際、来院者は10人でした。

実は一般的に「チラシの反応率は0.1%」と言われています。

一定のデザインであれば、デザインによる結果は誤差の範囲です。

チラシは昔から利用されている媒体であり、既に十分な検証がされてるため「反応率0.1%」という数字は自然法則のようなものです。

興味深いことに、ホームページの反応率も0.1%と言われています。

1万回ホームページが閲覧された場合、電話や来院のアクションを起こす人が10人になる計算です。

地域情報誌

地域情報誌に記事を掲載すると、「町の名医」のイメージを作ることができます。

掲載時には、つい自院をアピールして来院を促したくなりますが、読者から求められていることは「日常生活で使える専門家のお役立ち情報」です。

イメージ作りと割り切って情報提供しましょう。

まとめ

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(画像=buritora/stock.adobe.com)

これまで4回にわたって広告のメリットやデメリット、制作のポイントや掲載場所について解説させていただきました。

広告制作の際には医療広告ガイドラインのネガティブリストに載っている表現は避けるようにして、保健所や広告代理店と上手く付き合っていくことが大切です。

広告の制作や掲載場所について、もっと詳しく知りたいという方や興味のある方はお気軽にご連絡ください。

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丸橋 伸行

のぶ歯科クリニック 院長

1999年 広島大学卒、2006年 神戸市でのぶ歯科クリニックを開業。

立地と紹介に頼らない歯科医院作りをテーマに、広告を中心とした集客で歯科医院を運営。看板とホームページを活用してショボい立地で年間新規患者数2,000人となる。

その経験をもとに、チェアーが埋まらない院長に対してシークレットコンサルを行う。

一方でマネジメントで悩む院長に対しては『マネジメント熱心な院長が医院を破壊する』『スタッフとの距離を詰めるな』『マネジメント問題の8割はマーケティングに問題がある』と独自の切り口でアドバイスを行っている。