歯科医院の患者様に通ってもらう伝え方のヒント 2つの実例で解説

より多くの患者さまに来院いただくためには「他院との差別化が大事だろう」と考えている歯科院長は多いと思います。

しかし、差別化をするとなるとなかなか良いアイデアが浮かんでこないものです。

そんな方にぜひ試していただきたいのが、患者さまの健康への捉え方や価値観を変化させてファン化する取り組みです。

患者さまが歯科医院のファンになると、売り上げはもちろん、リコール率も高まるため、経営の安定につながります。

本記事ではセミナー開催実績や無料メルマガ1,500名以上の登録者を持つ歯科医師・伊勢海信宏が、患者さまをファン化させる方法をシリーズでお伝えします。 今回は患者さまの価値観を変化させて、ファン化を促す健康観教育について解説します。

患者さまの人生を良い方向へ導く健康観教育

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(画像=pixta)

価値観はどのようにしてつくられるのか?

前回ファン化には購入プロセスが一番大切であることをお話ししました。

この購入プロセスを歯科医院に置き換えると、将来に向けたアドバイスや指導力=健康観教育が最も期待されていることになります。

そして健康観教育をするためには、患者さまの価値観(健康観)を変えてあげる必要があります。

人の価値観を変える話題の前に、少し大きな話をしておきます。人間は価値観によって人生が大きく変わります。

良くない価値観が行動原理として働けばやはり良くないことが多く起こります。

ではそもそも価値観はどのように作られ、人によって何故違うのでしょうか? それは「情報量の差」「過去の経験や記憶の差」「優先順位の差」に起因していると考えています。

どういうことかを例を挙げて見ていきましょう。

【ケース1】

子どもがお母さんに以下の友達との写真を見せた時、お母さんはどのような反応をするでしょうか?

健康観教育1
(画像=伊勢海信宏、セミナー資料より)

⇒ お母さん:「仲が良さそうな友達ね!」

健康観教育2
(画像=伊勢海信宏、セミナー資料より)

⇒ お母さん:「なんか、チャラチャラしてそうね…」

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(画像=伊勢海信宏、セミナー資料より)

⇒ お母さん:「青春を楽しんでいて、いいわね!」

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(画像=伊勢海信宏、セミナー資料より)

⇒ お母さん:「こんな人たちと付き合うのはやめなさい!」

この結果から何が言えるかというと、「人は思い込みで判断する」ということです。

直接会ったわけでもないのに、自身の経験やニュース番組などの影響で勝手なイメージを抱いているにすぎません。

しかし、実際に顔を合わせて付き合っている子どもは、友達の良いところや悪いところを知っているので、母親とはまったく違うイメージを持っている可能性があるわけです。

もうひとつ見ていきましょう。

【ケース2】

Q.日本人は80歳で15本ほど自前の歯が残っていますが、スウェーデン人は21本も残っています。これは何が原因でしょうか?

A.価値観

歯科医療に携わっていない人は、この問題に対して「日本とスウェーデンの治療技術の差」と答える人が多いと思います。

しかし、治療技術の差はほとんどありません。価値観の違いは個人だけでなく、国によってもさまざまです。

スウェーデンは教育によって歯を大切にするという価値観が醸成されているのです。

私が考える健康観教育とは?

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(画像=pixta)

前章でお話しした「思い込み」は歯科医院でいうと、例えば「フロスなんてしなくてもいいよ」とか「メンテナンスしなくても、痛くなったら歯医者に通えばいいや」などが挙げられます。

このような(価値観)を持っている患者さまに対し、「いや、そうではないですよ」と言ってあげるだけでは購入プロセス(健康観教育)として不十分です。

わたしが考える教育とは、単に知識を伝えるだけのものではありません。

意図的な働きかけによって相手を望ましい方向へ変化させることこそが、教育だと思っています。

歯科医療の見地からきちんと説明して、「歯医者に通うことが大切なんだ」と価値観を変えてもらうまでが健康観教育です。

そして、変化してもらうために重要なのは人の価値観に刺激を与えることです。

相手の価値観を変えない限り、相手の行動は変わらない

ではどのようにすれば、価値観は変えられるのでしょうか。

そもそも価値観とは、脳に刷り込まれたプログラムのようなものです。

そのため、価値観を変えるにはそのプログラムを切り替えたり、アップデートしたりすることが大切になります。

少し物騒に聞こえますが、もちろん患者さまの人生を良い方向に導くためであって、「操って通院させてやろう」といった話ではありません。

では何をすると脳に刺激が与えられ、価値観が変わるのか、2つの実例をご紹介します。

Googleが一年で200億円の売上を増やしたたった1つの工夫は何?

答えから言いますと、「商品ページにジャンプするリンクボタンの色を変えた」です。

もちろん膨大なデータから導き出された色なのですが、実際に行ったのはボタンの色を変えたけです。

しかもユーザーは、このカラーチェンジにほとんど気づかなかったと言いますから驚きです。

ハガキの書き方の違いが検診者数に影響

以下は、H市の医療機関が市民に向けて出した、大腸がん検査のお知らせ葉書です。

ハガキ1
今年度、大腸がん検査を受診された方には来年検査キットを自宅にお送りします。

ハガキ2
今年度、大腸がん検査を受診されない方には、来年検査キットを自宅に送りすることはできません。

「ハガキ1」と「ハガキ2」、どちらを受け取った人が多く検査を受けに来たと思いますか?

答えは「ハガキ2」です。人は「損をしたくない」という気持ちが強いため、「ハガキ2」を送った人のほうが多く来院されたようです。

まとめ

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(画像=pixta)

要するに患者さまの脳に刺激を与えることで人の価値観は変わり、行動にも影響を与えます。

そしてぜひ知っておいていただきたいのは、人の価値観はあなたが思っているよりも、意外と簡単に変えることができるということです。

このようなちょっとした工夫でも、患者さまの価値観は変わりますので、紹介した事例をヒントにいろいろと試してみましょう。

次回は、リコールが増加する歯科医院への健康観教育について解説します。

リコールが少なくて悩んでいる院長さまは、ぜひチェックしてみてください。

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伊勢海 信宏

歯科医師
一般社団法人 歯の寿命をのばす会 代表
歯科医『開業成功バイブル』運営

歯科経営の悩みを解決する為に、無料でメルマガやLINE@で経営情報を発信。すでに登録者は2000名を超える。

また早く結果がでることにフォーカスした、セミナー(自費150万セミナー・行動心理学!歯周病説明セミナー)やシステム(歯の年齢診断プロ・手間なし動画くん・歯科開業医ネットワーク)を提供をしている。

患者さんと歯科医師の両方に価値がある医療人の心を大切にした方法を提供するのがモットー。