歯科医院がafterコロナ時代に生き残るためには

はじめまして。ライフプランニングサークル「シャラク」代表の渡部憲裕です。

私は医療法人社団裕正会を設立後、7医院グループ併せて15の歯科医院を開業し、運営してきました。

歯科医師免許を持つ歯科医院経営者でしたが、現在はセミリタイアを果たしているため、自身の損得に関係なく情報を公開することを特徴として、歯科医院のコンサルティングを行っています。

これまでの講演では都度、歯科経営から撤退する際に、損失を最小限に抑えるための「出口戦略を考えていますか?」と歯科院長に質問してきましたが、戦略を考え日々の行動に落とし込んでいるクリニックは多くないのが現実です。

出口戦略は「継承・売却・廃院」の3つしかなく、あらかじめ対策しておかなければ廃院への一途をたどってしまいます。

私が多くのクリニックの年商1億円達成をサポートさせていただき、出口戦略の成功実績を重ねることができたのは、急用や病気などによって院長が不在の時にも機能する仕組みづくりに成功したからといえます。

本連載では、この「院長不在クリニック」の仕組みづくりについて解説します。初回となる今回は、歯科医院をとりまく状況と、院長不在クリニックの必要性をお伝えします。

歯科医院をとりまくリスク

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(画像=pixta)

リスク1.歯科医院がおかれている状況

現在、歯科業界が抱える問題としては「患者数の減少」「廃院する医院の増加」などが挙げられます。歯科医院経営が益々深刻化している原因は、どこにあるのでしょうか。

推計患者数の実績値と予測値 出典:国立保健医療科学院

上記は推計患者数の実績値と予測値を示したものです。

患者数の減少は目に見えて明らかで2017年と比べ、2035年にはう蝕治療のニーズが30%減少すると考えられています。

う蝕治療の減少を、高まった予防意識の表れと考えると、今後は予防治療が重要になると予想できます。

歯科医院の開設数と廃止数の推移  出典:㈱インサイト

次に、今後の歯科医院数の予測についてです。開設は減少し、廃院が増加傾向にあることが分かります。

これは、開業を希望しない若手医師の増加などが背景にありますが、最大の理由は歯科院長の高齢化にあると思います。

現在と違い、80年代のバブル期に開業し、なんとなくの肌感覚でも歯科医院経営ができていた「良い時代」を院長先生が経験してしまったがゆえに、今の時代に対応できていないことが要因ではないでしょうか。

患者数が減少すれば、当然収入も減少します。結果として廃院に追い込まれている歯科医院が増加しているというのが現実です。

これを打開するには、これからの時代のニューノーマルに対応しなければなりません。

リスク2.withコロナは7割経済

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(画像=pixta)

新型コロナウイルス感染拡大や自然災害による被害の影響で、社会のあり方が大きく変化しました。

コロナ禍による緊急事態宣言に伴う経済活動の自粛により、経済へのマイナスの影響も深刻化しています。また、人々の価値観や行動も急速に変化しました。

主な変化は次の通りです。

1)予防・衛生意識の高まり
ウイルス対策として、人々の衛生意識は飛躍的に高まり、感染予防が習慣化されました。

withコロナの生活により、多くの方の意識が「健康と個人を大切にする価値観」へとシフトしたのです。

2)在宅時間の増加
在宅ワークやオンライン飲み会などが普及し、在宅時間が増加しました。

混雑する場所を避けるようになり、歯科医院への通院を控えている患者さまも多く見られました。

3)節約意識の高まり
悪化した景気のムードや生活の変化が、消費行動に影響を与えています。

withコロナは「7割経済」と言われています。例えば、飲食業界の売り上げは単純計算で7割程度になりました。

3密を避けようとするとソーシャルディスタンスをとる必要があり、スペースの問題から自ずとこの数字になってしまうのです。

歯科医院も例外ではなく、アポイントの間隔が以前より開くようになっています。

afterコロナはニューノーマルへ

このような環境の変化にともない、歯科院長に求められる選択肢は次の2つです。

  1. コストを30%下げる
  2. 単価を1.5倍にする

現実的にコストを30%下げられるクリニックはほとんどないと思います。ならば単価を1.5倍にするしかありません。

では、どのようなクリニックが単価を1.5倍にできるのでしょうか。

ひと昔前なら差別化できていた「近い・夜遅くまでやっている・休日もやっている」をウリにして、患者さまを呼んでいる歯科医院は、これからの時代、単価1.5倍を達成するのは難しいでしょう。

単価1.5倍化ができるのは、代替の効かない=オンリーワンのクリニックです。

オンリーワンとは「人・技術・継続性・安心感」が提供できる歯科医院のことです。

「人・技術・継続性・安心感」の中で技術は、他の医院との差別化が図れるよう高ければ高いほど、ウリになります。

しかし最も大切なのは、やはり人です。

スタッフが定着すると、患者さんにとっては「同じ人に診てもらえる」などの安心感が生まれ、ひいては歯科医院の継続性につながります。

afterコロナ時代は、歯科院長がこのようなニューノーマルを意識しない限り、クリニックの存続は望めません。

リスク3.歯科院長がいないと機能しないクリニック

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(画像=pixt)

3つめのリスクは自然災害や異常気象、情報の取り扱い、人材不足などです。院長がいなければ機能しないクリニックで、これらのリスクに対するヘッジは可能でしょうか。

リスクに備えないまま院長の不在が複数回続いたり、長期休養が必要になったりすると、次のような問題が発生します。

  • 患者さまの予約や診療はどうする?
  • スタッフの給料はどうする?
  • 家賃の支払いは?
  • 開業時の借金の残債は?
  • 家族の生活は?
  • 診療していなければ潰れたと勘違いされてしまう

例えば明日、急遽外出しなければいけなくなったとします。

診療をスタッフに任せることは可能ですか? 万が一院長が病気になって長期休養したら、マネジメントを勤務医に任せることはできるでしょうか?

このように、まるで院長が不死身であるかのような仕組みの歯科医院になっていませんか?

また、自然災害や感染症など有事が起こった際も同様です。 このようなジャパンリスク対策の重要性は多くの先生方が理解されていると思いますが、実際に取り組んでいるクリニックはそう多くはないのが現状です。

万一の際、スタッフと患者さまを守り、診療への影響を最小化するため、下記のような緊急時対策に今すぐ取り組むべきです。

  • スタッフはどう行動したらいいのか?
  • 患者さまやスタッフを危険に晒してしまわないか?
  • 対応や情報提供が曖昧で患者さまに不信感を持たれないか?
  • そもそも診療継続はできるのか?

リスク対策ができていないと、患者さまやスタッフのイメージダウンは免れることはできず、迎える結末は、廃院への道しかありません。

現在は強制的に出口戦略を見直すタイミング

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(画像=Proxima Studio/stock.adobe.com)

院長という存在に依存することなく、柔軟に維持することのできる組織こそ「急な有事の際も回る歯科組織」です。

この仕組みが将来的にスタッフや家族、歯科医院や院長先生ご自身を守ってくれます。

そしてwithコロナからafterコロナへの狭間となる今こそ、歯科医院経営や将来的に撤退する際の出口戦略を見直す良いタイミングです。

ニューノーマルに対応できるかの分かれ目となる今動けば、リスクヘッジをしていない歯科医院との差が一気につきます。

逆に言えば、今動けないと「スタッフにも患者さまにも選ばれない」歯科医院になってしまいます。

さらにこの先は人生100年時代も迎えます。院長先生の早急な「マインドセット」が今後の歯科医院の鍵を握っているのです。

今回は歯科医院がおかれている現状と、今リスクヘッジするべき理由について解説しました。

次回はこれからの時代における院長不在クリニックの必要性と、その意義についてお伝えします。

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