歯科医院の広告 効果を高める6つのポイント ―のぶ歯科クリニック事例―

のぶ歯科クリニックを経営している丸橋伸行です。

私が開業した当初、当院に来院される患者さまは1日10人程でした。

しかし、その4年後には年商1億円になり、現在は年間新患数2,000人、年商2億円の歯科医院へと成長することができました。

スタートでつまずいた当院が、短期間で一定規模の売上を上げられたのは広告を活用したからです。

広告は費用もかかるからこそ、失敗は避けたいところ。

前回連載した第1弾では、「歯科医院における広告の考え方や活用法」を私の経験を元にご紹介しましたが、第2弾は「効果的な広告の作り方」についてお伝えしていきます。

初回の今回は「勝率の高い広告の考え方」をお伝えします。

【編集部からのポイント】知っておくべき、医療機関の広告における法律規制(広告規制)について

今や歯科医院の集患にも欠かせないネット広告。

インターネットであっても当然ながら医療広告であるため、医療法により決められた様々な法律の規制があります。

以下に広告の規制などをまとめます。

クリニックや歯科医院、病院などの医療機関が出す広告は「医療広告」と呼ばれ、広告の定義は以下となります。

  • 誘引性:患者の受診等を誘引する意図があること
  • 特定性:医業若しくは歯科医業を提供する者の氏名若しくは名称又は病院若しくは診療所の名称が特定可能であること

このように、自分の歯科医院に誘引するものは広告と見なされる場合が多いですが、どの媒体であっても問題となるのは「痩せる」「虫歯がきれいに治る」などのように効果効能をうたうこと。

治療効果(成功率や治療率など)に触れないことが重要です。

【編集部からのポイント】歯科医院の広告掲載における注意点

掲載してはいけない内容

歯科医院や医院などの医療広告で決して載せてはいけないのは、治療効果(成功率や治療率など)や過剰なサービスをうたうことです。

医院や歯科医院などが対象となる医療機関医療広告ガイドラインとは、医療法に基づき、歯科を含む病院などが広告を行う際の指針となるものです。

正式名を「医業若しくは歯科医業又は病院若しくは診療所に関する広告等に関する指針」と呼びます。

医療広告は患者さんの命や健康に関わるため様々な規制や禁止事項があります。

以下の内容は基本的に広告が禁止されていますのでご注意ください。

  1. 広告が禁止されている内容
  2. 専門外来
  3. 死亡率や術後生存率
  4. 未承認医薬品による治療の内容
  5. 最上級表現 「絶対安全」「絶対成功」など安全性や効果をうたうもの、根拠のないデータを用いた内容
  6. 比較広告 他の委員と比べたり「日本で一番」「最高の」まどの表記 4誇大広告 「最先端」「最新」などの表現 5個人により結果が異なる可能性のあるもの 体験談やビフォーアフターの写真

掲載しても良い内容

ここまでは医療広告のガイドラインで禁止されている内容について解説しました。

それでは次は、広告に載せても問題がない内容を紹介します。

簡単に言うと、効果効能、治療の成果などの記載は厳しく規制されていますが、医院や院長の基本情報、プロフィールなどの記載は問題ありません。

  • 診療科目(歯科・小児歯科・矯正歯科・歯科口腔外科)
  • 歯科医師である旨や歯科医師名
  • 歯科医師のプロフィール
  • 病院・診療所の名称
  • 電話番号
  • 住所
  • 診療時間や休診日

またこのような基本情報以外に、診療内容に関することも載せることができます。

  • 検査や手術、その他の治療方法
  • 治療の方針や相談を受けること
  • 具体的な治療内容(「歯列矯正」「インプラント」など)
  • セカンドオピニオンの有無

ただしこの治療情報の中で「最高」「東京で一番」という比較広告や「絶対に治る」などの効果効能を書くと違反になりますので、ご注意ください。

【編集部からのポイント】医療法に抵触・違反をしたときの罰則は?

意図的でなかったちしても、医療広告ガイドラインに反すると罰則やペナルティがあります。

特に最近では虚偽のネット広告多いことから、厚生省から委託を受けた「医療機関ネットパトロール事業」や一般からの情報提供によって医療広告の違反事項を常に探しています。

よほど悪質でない限り、即停止されることはなく違反が見つかった場合にはまずは違反箇所の通告が届きます。

その際はすみやかに削除・修正に応じましょう。

「気づかないうちに医療広告ガイドラインに反してしまって、新聞に名前が出たらどうしよう」という不安を抱えている先生もいらっしゃるかと思いますが、いきなり業務停止命令が出たり広告が削除されたりするケースは稀です。

きちんと通告がありますので、その点はご安心ください。

ただし通知から約1ヶ月経っても改善されていなかったり、修正が不十分な場合は委員会から自治体に報告されます。

その後の「中止命令」や「是正命令」に従わなければ6ヶ月以下の懲役、または30万円以下の罰金が科されることがありますし、事例として公表される可能性もあります。

無知で広告違反を犯してしまう可能性はありますが、放置したり、故意に誇大広告を出し続けると大きな罰則を受けることになります。

無くした信用は簡単には取り戻せないので、このようなことにならないよう注意しましょう。

「勝率が高い」広告を作るために

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(画像=pixta)

広告は「狩り」である

私は広告とは「狩り」であると思っています。

いきなり「狩り」と言われると、医療従事者として抵抗を感じる方がいるかもしれません。

実際「ホームページを作成したのに効果が無かった」という院長先生は、この考え方が抜けていることが少なくありません。

一度、原始人になったつもりで狩りに出る場面を想像してください。

無策で狩りに出てしまえば、獲物を捕獲できずに餓死するか、狩りの最中に死んでしまう可能性があります。

狩りを成功させるには、策が必要です。自分の特徴と獲物の特徴をよく考えて、策を練る必要があります。

そもそも広告制作を依頼する際に、制作業者を信用し過ぎてはいないでしょうか。

「広告制作の業者はプロだから任せておけば安心」と安易に信用するのは危険です。

例えばクリック課金広告の場合、納品すれば業者の仕事は終了します。納品後に患者さまが来院しなくても、責任は問われないのです。

だからこそ、広告で失敗しないためには、院長先生ご自身の広告リテラシーを高めておく必要があります。

広告リテラシーを高めれば制作業者との共通言語を持つこともでき、納得のいく広告制作がしやすくなります。

さらに、院長先生の広告リテラシーが低いままでは「広告が上手くいっているかどうか」も判断できません。

例えば「クリック率1%」という数字を見て、広告効果が出ているのか否かの判断ができるでしょうか?

「1%」は一般的には効果の高い数字と言えますが、リテラシーが低いと、この数字の価値が理解できないのです。

するとクリック率が倍の2%になったところで、「たった2%か。広告は効果ないな」と間違った判断をすることになります。

このような誤った判断を避けるためにも、やはり院長先生ご自身のリテラシーは高めておかなければなりません。

勝率の高い広告のポイントは「どこで」「誰が」「誰に」「何を」

前段で自分の特徴と獲物の特徴をよく考えて、策を練る必要があるといいましたが、歯科医院の広告における「自分の特徴」とは、自院のスタンスです。

例えば「マウスピース矯正を売りたい」「ワイヤーやセラミックもあるので商品幅を狭めず、まずは歯並びを整えたい人を呼びたい」といった、「効率重視」か「提案重視」かもスタンスになります。

勝率の高い広告のポイントは「どこで」「誰が」「誰に」「何を」です。

「どこで」は第1弾でお伝えしましたが、今回からお話しする制作過程では「誰が」「誰に」「何を」が重要です。

このポイントを考えずにホームページや動画に手を出しても成功しません。

広告とは、策でありロジックです。

コントロールできない「立地」や数値化できない「人柄」に頼らず集患できるスキルは、長い歯科医師人生を支える力となるはずです。

筆者の実例

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(画像=のぶ歯科クリニック_2007年広告事例)

私の広告への第一歩は、2007年にインターネットのホワイトニングページを自作したことでした。

自作したのは資金がなかったからです。ページを公開すると、ホワイトニング希望者が月に20人も来院してくださいました。

そして、ホワイトニングホームページ経由で「年1,000万円の売り上げ」をつくることに成功したのです。

当時は「インターネットで集患なんてできるのか?」と懐疑的な先生も多かった時代です。

しかしこの経験には、立地や紹介以外の集患ルートなど、1,000万円という金額以上の価値がある学びがあったと感じています。

また、ホームページを作るのは初めてでしたので、患者さまにヒアリングをして1か月程度で3回作り替えたこともありました。

初めはヒアリングするのが怖くて気後れしていましたが、実際には患者さまの「声」がずいぶん助けてくれました。

  • 「他院と比較したか」
  • 「タイトルの大きさは丁度いいか」
  • 「表現がしつこくないか」

などについて検索者目線で訊き、「見やすくなってきた」「他院は考えなかった」という声が大きくなったところで完成としました。

このホワイトニングページは、特にメンテナンスもせずに10年以上放置していますが、未だに新患のお問合せが来ます。

  • ぱっと見の分かりやすさ
  • 基本情報を疎かにしないこと
  • キャッチコピーの大切さ

などトップページの構成要素が今でも通用している証拠であると思っています。

【編集部からのポイント】歯科医院が実践できる具体的な広告宣伝方法の例

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(画像=pixta)

歯科医院のホームページを見てもらうためのおすすめ広告の手法は、webのリスティング広告です。

リスティング広告とは、Yahoo!やGoogleで自分が検索してほしいキーワードを購入する手法です。

具体的には、例えば新宿で歯科医院を経営している場合、「新宿 歯科医院」というキーワードで上位に表示されたいと思いますよね。

これをSEO(自然検索)で上位表示させようとすると、膨大な手間と時間がかかり、「これをやったら確実に上位に出る」というルールもありません。

しかしリスティング広告で「新宿 歯科医院」というキーワードを購入すれば、一番上や上位に表示されるようになるのです。

広告の中でどこに表示されるかは、出している金額により異なります。

オークションのように高い金額を出した人(医院・企業など)から上位表示されていく広告のしくみですので、自分の予算に応じて展開していけます。

次回は

次回は勝率の高い広告のポイントとなる「誰が」「誰に」「何を」の考え方を解説します。

これらが明確になると広告だけでなく、自然に院内マネジメントも楽になってきます。

ぜひご覧ください。

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丸橋 伸行

のぶ歯科クリニック 院長

1999年 広島大学卒、2006年 神戸市でのぶ歯科クリニックを開業。

立地と紹介に頼らない歯科医院作りをテーマに、広告を中心とした集客で歯科医院を運営。看板とホームページを活用してショボい立地で年間新規患者数2,000人となる。

その経験をもとに、チェアーが埋まらない院長に対してシークレットコンサルを行う。

一方でマネジメントで悩む院長に対しては『マネジメント熱心な院長が医院を破壊する』『スタッフとの距離を詰めるな』『マネジメント問題の8割はマーケティングに問題がある』と独自の切り口でアドバイスを行っている。