その広告は誰が発信しているの?歯科医院経営における「勝率(=効果)が高い」広告の作り方

のぶ歯科クリニックを経営している丸橋伸行です。

開業当初、当院に来院される患者さまは1日10人程でした。しかし、その4年後には年商1億円になり、現在は年間新患数2,000人、年商2億円の歯科医院へと成長することができました。

スタートでつまずいた当院が、短期間で一定規模の売上を上げられたのは広告を活用したからです。

連載第1回目以降では、「歯科医院における広告の考え方や活用法」を私の経験を元にご紹介しましたが、6回目以降では「効果的な広告の作り方」についてお伝えしていきます。

今回は「勝率の高い広告の作り方」を解説します。

「誰が」発信しているかを明確に

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(画像=pixta)

広告の効果を高めるには「どこで」「誰が」「誰に」「何を」言うかがポイントであることを前回お伝えしました。

その中でも、最も重要な項目は「誰が発信しているか」です。

「スタッフが説明してもまとまらなかった話が、歯科医師が説明した途端にまとまった」という経験はないでしょうか。

人は話の内容よりも、「誰が」言ったかを重視する傾向があります。

院長先生のキャラクター設定をする

広告は「誰が発信しているか」が重要だと言いましたが、大抵の場合は院長になるでしょう。

実際に患者さまというのは院長先生に関心があるものです。院長先生のキャラクターは、イコール歯科医院のキャラクターになります。

そのため、ホームページを作成する際には歯科医院のキャラクターを明確にする必要があります。

キャラクターを決めると、それに合った患者さまが来院するようになるためマネジメントもしやすくなります。

歯科医院のキャラクターは下記4つのイメージの中から設定することをお勧めします。

  • ハード型
  • 名医型
  • 特化型
  • 町医者型

ハード型
利便性(場所・時間)や規模(チェアー台数・機器)などのヒト以外の要素が売りです。

名医型
高い技術と崇高な理念が売りです。ヒトに依存するため、ハード型とは逆のキャラクターと言えます。

特化型
マウスピース矯正やマイクロエンドなど、特定の治療が売りです。

町医者型
近所のかかりつけ医イメージです。幅広い症状に対応するため、特化型とは逆のキャラクターと言えます。

この4種類に加え、さらに「自費治療メイン」なのか「保険治療メイン」なのかの組み合わせでキャラクターを形成します。

ただし、「名医型×自費治療メイン」のキャラクターは技術面を押し出すため、誇大広告になりやすくリスクが高いので注意が必要です。

例えば、開業したての実績がない状態で「名医型×自費治療メイン」を選んでしまうと、現実と理想のギャップから厳しいクレームへと繋がる場合があります。

また、「一般の歯科医師よりも巧い」という表現になりやすいため、内容を盛りすぎると医療広告ガイドラインに抵触する可能性もあります。

もし私が「名医型×自費治療メイン」を選択する場合は、「あくまで個人の意見です。それでもよろしければ、ぜひご来院ください」というようなメッセージを加えるようにするでしょう。

他にも大切なものがあります。

それは「売り(キャッチコピー)」を裏付ける情報です。

歯周病専門医であればそれを裏付ける経歴を、ハード型であれば「なぜそのようなハードを整備しようと思ったのか」などを書くことです。

その裏付けの情報が患者さまの安心材料になります。

稼ぎ方を決める

患者さまは、歯科医院でかかる料金も知りたいと思っています。

料金とは、院長先生の立場で言えば稼ぎ方です。

自費治療メインなのか保険治療メインなのかを決めてしまえば、院内オペレーションやスタッフ教育の方向性まで決まります。

どちらをメインとするのかは院長先生ご自身が「治療しやすいか」で選んで構いません。

自費治療が偉いわけでもありませんし、年齢や体力も関係してくると思います。

ぜひ院長先生の「どちらが好きか」を大切にしてください。その方が歯科医院のキャラクターにコミットできるはずです。

ちなみに私の場合は「単価が高く、数が少ないので楽かな」と思い自費治療メインを選びました。

しかし、次第にライトな治療がしたくなったので保険治療メインへと変化しました。

そして現在はというと、保険治療のみでは少々厳しいので自費治療を増やしている状況です。

その都度、院長先生ご自身や自院に合った状態を選択していけばよいと思います。

患者さまが読みたいコンテンツを強化する

たとえば、院長先生のキャラクターを表現するのに適したコンテンツは医療理念ですが、残念なことに患者さまにはあまり読まれません。

患者さまが読みたいのは医療理念よりも、院長のプロフィールや料金表だからです。

歯科医院側として打ち出したいのは医療理念であり、プロフィールや料金表は正直あまり見てほしくないコンテンツなのですが、「患者さまが読みたいコンテンツ」を優先して強化する必要があります。

「誰に対して発信しているのか」を明確に

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(画像=pixta)

どれだけ広告投資をしても、患者さまに「自分のことだ」と自分事化してもらえなければ集客はできません。

広告を打つ際は、ターゲットを明確にすることをしっかり意識しましょう。

セグメントする

前回もお伝えしたように、広告は策でありロジックです。

ターゲットを決める際も、いきなり「こういう人に来て欲しい」とターゲティングをするのは早計と言えます。

まずは全体像把握のために、患者さまをセグメントしなければなりません。

よくあるセグメント例では「性別・年齢・収入」でセグメントした後に、ターゲットを決める方法が紹介されています。

とっかかりとしては良いのですが、広告効果を望むには少々漠然としています。

私が考えた軸のひとつに「患者さまの歯科経験」があります。

この軸を使えば、歯科医院のキャラクターに沿った層をターゲットにできます。

極端なことを言えば、世間をブレなく網羅できるセグメント軸であれば何でも良いのです。

「患者さまが希望していること」や「歯科医院のスタンス」を軸にターゲティングするのも良いでしょう。

患者さまの歯科経験におけるセグメント軸は以下のようになります。

1.に近いほど歯科経験が濃く、6.に近いほどその患者さまの歯科経験は薄くなります。

  1. 最高の歯科医師を探している
  2. 転院を考えている
  3. 定期検診を受けている
  4. 何かあったら受診する歯科医院がある(2~3年受診していない)
  5. 前回受診した時期を覚えていない
  6. 歯科医院を受診するくらいなら痛みに耐える

ターゲットの範囲を決める

ターゲットというと「点」で狙うイメージがありますが、私はまず「範囲」で捉えます。

患者さまの歯科経験におけるセグメント軸で言えば、「2.の患者さまのみ狙う」「5.6.の患者さまを狙う」といった具合です。

この範囲は、歯科医院の規模や将来像に応じて変更すると効果的です。

例を以下に挙げます。

例1:小規模歯科医院…ターゲットの範囲を狭くする
院長先生と数人のスタッフで運営している歯科医院では、大勢の患者さまに来院されても困ってしまいます。

むしろ少数でも「理想とする患者さま」に「理想と考える治療」を提供する方が幸せです。

例2:中規模歯科医院…ターゲットの範囲を広くする
中規模歯科医院では、固定費が高額になるため絶対的な売上が必要です。

勤務医が診療する患者さまにも来ていただくため、範囲を広くすることをお勧めします。

例3:現在は小規模だが規模拡大を狙っている…ターゲットの範囲を広くする
規模拡大を狙うのであれば、院内が混乱することを承知の上で範囲を広くした方が良いでしょう。

規模拡大に踏み出せない原因は「いまの患者数で拡大して良いのだろうか」という不安があるからです。

範囲設定が面倒な場合、対処に自信がある先生は全範囲を受け付けても良いと思います。

ただし、セグメント図は頭の中にイメージしておくことが大切です。

設計図の重要性

歯科医院経営において「稼ぐための設計図」はとても重要です。 なぜなら、ほとんどの歯科医院のスタッフは「普通の人」であるからです。

歯科医院経営は、いかに普通の人々に高いパフォーマンスを発揮させるかがポイントになります。

「稼ぐための設計図」は、パフォーマンスを発揮しやすくするツールです。

設計図もなしに、勤務医やスタッフに「うまくやってよ」というのは少し酷な話ではないでしょうか。

設計図の作成で特に大切なのが、KPIの設定です。KPIとは目標に対する達成度合いを数値で管理することです。

「1日100人診る」を目標とした場合、達成するための受付教育やアポイントの時間調整などのマニュアルが必要になります。

KPIは1つで構いません。項目というよりは「何を指標とするか」が重要であり、それは数値化できるものでなければなりません。

分かりやすい例としては「接遇」があります。項目として「最上のサービスを」と掲げたところで、スタッフには伝わりません。

KPIを「新患200人」とし、接遇は「クレームが出ないレベルでOK」と基準を決めてマニュアルを作ることが大切です。

また、最低限の手順やルールづくりも欠かせません。例えば「再印象せず、必ず形成から行う」などです。

「理由は後で分かればOK。とにかく一旦これでやってください。」という流れをつくることで、院内がスムーズに回ります。

「何を伝えたいか」を明確に

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(画像=pixta)

ここまでで「誰が」と「誰に」が決まりました。

スタートとゴールが決まってしまえば、その間をつなぐ線である「何を」も自ずと決まります。「何を」をきちんと伝えるポイントは明瞭さです。

わかりやすさファースト

「歯科医院の広告」と一目で分かる
患者さまが見たいのは歯科医院のホームページです。

そのため、開いたページに「歯科医院っぽさ」がなければすぐに離脱してしまいます。

自由度の高いホームページ制作だからこそ気を付けなければなりません。

正確性と分かりやすさは相反する
歯科医師の知識をそのまま記載すれば、正確な情報にはなります。しかし、患者さまには伝わりにくい内容です。

一方で分かりやすさを重視すると、正確性に欠けます。

どちらを選ぶか悩む方もいるかもしれませんが、「分かりやすさ重視」をお勧めします。

当院の患者さまに来院理由を尋ねると「どのような歯科医院か一番分かりやすかったから」という回答が多くみられます。

ターゲットに文章を理解してもらえなければ、広告効果は期待できません。

読みやすい文章
私が広告投資を始めた頃、「読んだら分かる」は傲慢であると指導されました。

その時に指摘されたライティングテクニックの中で簡単に実践できるものをご紹介します。

<andで繋ぎ続けない>
文章をand(読点「、」)で繋ぎ続けると、ダラダラとした印象を読み手に与えてしまいます。

<ワンセンテンス・ワンメッセージ>
センテンスとは文章の区切りを指します。「1つのセンテンスに込めるメッセージは1つにする」ことが伝わりやすい文章のコツです。

1つのセンテンスに複数のメッセージが込められていると読み手が混乱してしまいます。

<漢字・ひらがな・カタカナを混ぜる>
それぞれの表記には印象があります。

漢字が多い文章は固く難しそうに、ひらがなが多ければ幼稚そうに。カタカナが多ければ別世界のような印象を与えます。

漢字・ひらがな・カタカナを適度に配置することが読みやすさのポイントです。

「患者さまを集める」から「患者さまが集まる」へ

集患には「患者さまを集める」と「患者さまが集まる」の2つの意味があります。

平成30年度の医療広告ガイドラインの改正では、「患者さまを集める」手法がことごとく規制されました。

これからの時代は「こんな歯科医院なら行ってみたい」と患者さまに思っていただける医院をつくり、外部へアピールする。そんな「患者さまが集まる」という考え方が必要です。

前回「 広告は狩りである」とお伝えしたように、広告は攻めのスタイルが強調されがちです。しかし広告は守りにも使えます。

次回はその「守りの広告」について解説します。

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<丸橋 伸行先生の書籍紹介>

来院患者数10倍!歯科広告学入門
丸橋 伸行 著
(デンタルダイヤモンド社)

歯科初!患者さんが集まる「広告」のコツ、教えます。

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丸橋 伸行

のぶ歯科クリニック 院長

1999年 広島大学卒、2006年 神戸市でのぶ歯科クリニックを開業。

立地と紹介に頼らない歯科医院作りをテーマに、広告を中心とした集客で歯科医院を運営。看板とホームページを活用してショボい立地で年間新規患者数2,000人となる。

その経験をもとに、チェアーが埋まらない院長に対してシークレットコンサルを行う。

一方でマネジメントで悩む院長に対しては『マネジメント熱心な院長が医院を破壊する』『スタッフとの距離を詰めるな』『マネジメント問題の8割はマーケティングに問題がある』と独自の切り口でアドバイスを行っている。