歯科医院が機能するスタッフミーティングのやり方

歯科医院の院長は専門的に経営を学んでいることは少なく、収支や人材採用、教育やマネジメントなどに頭を悩ませている方が多くいらっしゃいます。

わたくし丹羽浩之はこれまで多くの歯科医院の経営コンサルティングを手掛け、歯科医院のさまざまな経営課題に接してきました。

そこで本連載では、わたしの経験を踏まえ、特に相談の多い課題をテーマとして、解決へのヒントを提示していこうと思います。

今回の記事では、歯科医院で機能するスタッフミーティングのやり方についてお伝えします。

必要があって行っているミーティングのはずなのに、スタッフの関心がなく困っているという院長は、ぜひご一読ください。

実のあるミーティングへの道を解説します。

やりたいことがたくさんあり、そろそろスタッフミーティングがしたいのだけど…

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(画像=pixta)

スタッフミーティングについて多い相談

従業員数が増え、院長が1から10まで指示を出せるような規模ではなくなりつつある歯科医院の場合、スタッフが自ら考え、行動しなければ歯科院長の仕事は回りません。

歯科院長は治療のコンセプトや初診のカウンセリング方法についてなど、やりたいことがたくさんありますから、スタッフの協力なくしてこれらを実現するのは不可能です。

このように成長の過渡期にある歯科院長からよく受けるのが、ミーティングについての相談です。

「スタッフが自律的に働いてくれる組織にしたいので、毎月3時間程度のミーティングを考えています。よい方法はありませんか?」など、相談内容はミーティングの運用方法がほとんどです。

ミーティングのはずが歯科院長の独演会に

"ミーティングあるある"の1つが「スタッフはほとんど発言せず、ほぼ院長の独演会になる」という状況です。

これはスタッフと院長との温度差が原因です。

「何のためのミーティングなの?」と目的すら分かっていないスタッフ に対し、 「自発的に行動してほしい!」と思う院長

といった構図で最初からズレが生じています。

院長は積極的な改善案を期待していても、会議の意図が分からなければ、スタッフはただ話を聞くだけに。

このような状況で院長が「キャンセル率の課題はどうしよう?」といったテーマを投げかけたところで、スタッフが発言できないのは至極当然です。

このようなミーティングが続くと、スタッフは

  • 「時間が長く感じミーティングがつらい」
  • 「ミーティングなんて二度とやりたくない」 といったマインドになり、ポジティブな結果は得られません。

この状態を回避するには、まずはスタッフにミーティングという場に慣れてもらうことが肝心です。慣れると雰囲気も良くなり発言も出やすくなります。

質の高いスタッフミーティングを作るコツ

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(画像=pixta)

気軽に発言できるテーマから

では場に慣れてもらうためには何をすべきでしょうか?

答えは簡単です。

ミーティングはかしこまったものではなく、誰でも気軽に発言できる場であることを体感してもらいましょう。

そのためには、自己紹介や印象に残った患者さまについてなど、自身の想いや考えを話せるテーマからはじめることをおすすめします。

これらのテーマであれば正解はなく誰もが話せる内容なので、ミーティングに対する無用な緊張感を緩めることができます。

そしてスタッフが場に慣れてきたら、本題である治療のコンセプトやカウンセリングについて話し合えばよいのです。

このように段階を踏むことでスタッフのミーティングに対するハードルは下がり、難しいテーマでも意見闊達な議論ができるようになります。

また、コンサルタントがいるのであれば、ファシリテーターとして参加してもらうのもよいでしょう。スタッフへの意見を促し、スムーズな進行ができます。

ここまではミーティングの運用について話しをしてきましたが、次からは質の高いミーティングを行うためのヒントをお伝えします。

事前準備が質の高いミーティングを生む

質の高い議論を行うために大切なのは、事前に内容をアナウンスしておくことです。

具体的にはテーマやタイムテーブル、スケジュールなどを伝えておきましょう。

  • どのようなことを話すのか
  • どれくらいの時間を要するのか などが分かっているとスタッフは安心感を持って臨めます。

また、 「何をやらされるの?」という気持ちで臨むミーティングと、 「〇〇について話せばよいのね」と準備できている状態で臨むミーティング とでは、ミーティングの質が大きく変わってきます。

質の高いミーティング運用のポイント

1.議題・テーマの前振り
ミーティングのテーマに関しては、たとえば「この1年間、印象に残った患者さまについて、1人2分ほどで発表」といったように前振りをしておくことが大事です。

事前に伝えておくことで、スタッフもテーマに沿ったネタを集めたり、考えたりする準備ができます。

また「1人2分」など具体的に伝えておくことで、参加者がミーティング内容をよりイメージしやすくなるというメリットもあります。

ミーティングの目的は、スタッフの意識を高め、課題を1つでも多く解決することです。

中身の薄いミーティングにならないようにするためにも事前準備を行いましょう。

2.時間の設定
歯科医院のミーティングは診療後に行うことが多いと思います。

そのため時間を決めずにだらだらやっていると帰宅時間が遅くなり、スタッフからの不満も多くなります。

だからこそ時間設定が重要なのです。

以下のような簡単なタイムテーブルをつくっておくことをおすすめします。

ミーティングの時間は60分くらいが妥当でしょう。

<タイムテーブルの例>
・5分:ミーティングテーマの説明
 ▼
・10分:医院の方針について
 ▼
・25分:今月のテーマについて
 ▼
・10分:まとめ
 ▼
・5分:次回のテーマについて

院長が話す時間の割合

最後にミーティング運用の最重要ポイントをお伝えします。

それは院長の独演会にならないようにすることです。

院長からすれば話したいことはたくさんありますが、できるだけ抑えてください。

スタッフの立場からすると院長のオンステージは、カラオケに連れていかれて自慢の歌を延々と聞かされるようなものです。

院長が話す時間は、長くても全体の3割ほどにとどめておくべきです。

最後に

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(画像=pixta)

全5回にわたり「歯科医院経営のよくある相談」について解説しました。

本記事を読んで「より詳しく知りたい」「自院の課題についても相談したい」と興味を持っていただけた方は、わたしが運営しているパートナー型コンサルタントサービス「ユメオカ」までご連絡ください。

院長先生の不安や迷いを客観的に気づけるようにサポートします。

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丹羽 浩之

株式会社ユメオカ 代表

大学時代に統計工学を専攻後、コンサルティング営業の世界へ(2004年に独立)。2008年に株式会社ユメオカを設立。

医院の想いが伝わらず、自費率やリコール率が低く苦難する多くの歯科医院の存在を知る。「単なるノウハウ提供、他医院の事例提供」ではない「考え方と豊富な具体例」により、院長の経営力育成と医院ビジョン実現に貢献するコンサルティングスタイルを確立。

「院長の考えを整理すること」「分かりやすく数字で裏付けること」「患者心理に沿った診療システムをつくること」を得意とする。2016年からは予防管理型歯科医院経営を業界横断的に推進する活動をはじめ、歯科界に新たな価値提供をし続けている。