先生の歯科医院も? 火災保険見直しのポイント

(株)ビジブルのCEOの山上真司です。

私は住宅・保険の営業経験を活かし、現在は資産運用・保険・マイホーム購入のアドバイザーとして活動しております。

年間150件の新規相談、50回ほど開催しているセミナーでは、金融業界の裏話や営業マンの本音などをお伝えしてきました。

これまで中立的な立場からお客様の問題を解決してきた中で、多くの歯科医師の先生方からご相談もお受けしてきましたが、他の相談と比べても特に「もったいない」と感じることが多くありました。

そこで今回は「クリニックの火災保険について」についてお伝えします。

先生は大丈夫? 無駄なコストを払い続ける歯科院長の特徴とは

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(画像=pixta)

火災保険に関して「知らない」から損をする歯科院長

クリニックの火災保険で損をしている歯科院長がたくさんいます。

無駄なコストを払い続けていたり、医院のキャッシュフローを安定させるための有効活用を知らなかったりする院長先生が後を絶ちません。

実は、損をしている歯科院長には共通点があります。

1つ目は「開業してから火災保険をメンテナンスしていない」ことです。

開業時に勧められた保険にそのまま加入し、数年間、なかには10年〜20年も見直すことなく放置している先生が少なくありません。

先日ご相談頂いた戸建て開業の先生は、新築時に建築会社から火災保険に加入されておりました。

建物や家財の補償は持たれていましたが、医療機器や什器の補償が一切ありませんでした。

私も元ハウスメーカーの営業をしていましたが、残念ながら建築会社は火災保険のプロではありません…。

2つ目は「火災保険はどの保険会社から加入しても変わらない」と思い込んでいることです。

例えば、1階でテナント開業しており、水災補償を付けているが、浸水しても保険金が受け取れない保険会社に加入しているケースもあります。

他にも、加入している保険で医療機器の自然故障の際に、加入している保険で修理費用を保険金が受け取れることを知らない先生も多くいらっしゃいます。

せっかくお支払いしている保険料ですので、最適な補償と最大限の有効活用をすべきだと私は考えています。

歯科院長が損をする⁉損保業界の仕組み

損をしている原因の多くは「火災保険は災害時にしか役に立たない」と思い込んでいる点にあります。

先ほど例に挙げた医療機器の自然故障では、年間20万円程度の火災保険料で修理費をカバーできることもあります。

故障の度に費用を払う歯科医院では、修理費が年間100万円以上にのぼることもあり、火災保険の補償を使えば数十万円のコストカットができます。

また、修理費はいついくらの支出が出るか分かりませんが、火災保険料にまとめることで支払いを平準化でき、キャッシュフローを安定させることができます。

オプション内容は各保険会社で異なりますが、災害時以外でも使える補償が付いている保険があることはもっと知られてもいいはずです。

ではなぜこのような事実が知られていないのでしょうか。それは、損保業界の悪しき文化に原因があります。

例えば、医療機器の故障などで年間の保険料よりも多い請求額になると、保険の担当者はペナルティを受けてしまうといったケースが多くあります。

さらに契約自体を更新できないケースもあります。

このようなリスクを抱えているため、1社の保険しか扱っていない担当者は積極的に「こうすればお金が出ますよ」とアドバイスしにくいという事情があるのです。

なかには「保険に加入してくれた後はあまりフォローしてくれない」担当者もいます。

保険金請求を積極的にフォローしてくれる担当者が少ないという現状が、歯科院長が損をする原因なのです。

また、損害保険会社自体も、昨今の自然災害の多発や、悪徳な火災保険申請代行業者などの影響で経営悪化しており、保険金支払いに対して慎重になっています。

火災保険で損をしないために知っておきたい知識

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(画像=pixta)

複数の損保会社を扱っている担当者に相談する

火災保険で損をしないためには、複数の損保会社の商品を扱っている担当者と付き合うことが大切です。

複数の損保会社を扱っていれば、保険金請求が多すぎて契約更新できないといった場合でも、他社への乗り換えが可能です。

例えばA社で契約更新できない場合、B社で契約して、さらに1年後A社に戻すなど、状況に応じた最適な手法を用いることもできるのです。

歯科院長におすすめの3つの商品

私が火災保険についてよくアドバイスを求められるのは、次の3つです。

  1. 開業時のコストを抑えたい
  2. 医療機器の修理費がかさむ
  3. 浸水リスクがある

あまり知られていませんが、いずれも火災保険で補える項目です。それぞれに適した保険がありますのでご紹介します。

歯科院長におすすめの火災保険を目的別に紹介

開業時のキャッシュフローを抑えたい
お勧めはセキュリティ系の損保です。警備とセットで加入すると火災保険料が割引される商品があり、全ての保険会社の中でもかなり保険料が安くなる可能性があります。

医療機器が故障した際の補償が欲しい
医療機器の故障は「免責(保険金が受け取れない)」の保険会社がほとんどですが、医療機器の自然故障で補償を受けられる会社は数社あります。

医療機器メーカーの初期保証期間が切れる頃に検討をお勧めします。

定期的に決まった保険料を支払うため、修理費支出を平準化できるので、経営的にも安定するというメリットもあります。

自院に浸水リスクがある
道路に面しており、土足のまま院内に入れるクリニックでは、水災で浸水してもお金が受け取れないケースがあります。

実は多くの保険会社で、水災で保険金が受け取れるのは「床上浸水」または「道路面から45cm以上の浸水」の条件のみです。

床上浸水における床の定義は「靴を脱いで上がる場所」のため、そもそも土足で入れるクリニックには「床上」という概念がないのです。

ですから例えば、水災で4,000万円の損害が出ていたとしても30cmや40cmの浸水では保険金が受け取れないケースがありますので、被害額のお金を調達しなければならないといったリスクもあります。

しかし、45cm未満の浸水でも保険金を受け取れる保険会社もあります。

1階で土足で上がれる医院で浸水リスクがある場合、加入している火災保険を確認されるといよいと思います。

その他 新型コロナウイルス感染症
新型コロナウイルス感染症関連でも補償が受けられる保険があります。

例えば、保健所から「休業してください」と指示された場合、休業補償のオプションが付いていれば「1日あたり〇〇円」を受け取ることができます。

新型コロナウイルス感染症で使えるオプションの有無は保険会社によって異なりますので、確認してみましょう。

(※新型コロナウイルス感染症が特定感染症と認定されている場合に限ります)

まとめ

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(画像=ponta1414/stock.adobe.com)

火災保険はオプションまでチェックし、把握しておくことで、保険金を受け取れる可能性が広がります。

上手に活用すれば、年間の支出が100万円近く変わることもあります。

実際に火災保険の活用によって浮いたお金をイベントなどでスタッフに還元し、良好な経営をしているクリニックもあります。

保険会社やオプションの種類、自院にあった保険など、詳しく知りたい方は気軽に当方までお問い合わせください。

次回は歯科院長のマイホーム購入について解説します。

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山上 真司

株式会社visible 代表取締役|歯科てっぺん塾 主宰

1986年生まれ。中央大学商学部を卒業後、大手ハウスメーカー、外資系生命保険会社、乗合保険代理店にて営業に従事。住宅業界・金融業界ともに販売がゴールである「業界の在り方」に疑問を抱く。

顧客にとって目に見える(=visible)わかりやすい業界に変えたいという想いで、2019年株式会社visibleを設立。

「知らずに損する人をゼロに」をコンセプトで業界のウラガワを伝え、クライアントと最適な答えを繋いでいる。直近1年でセミナー参加・個別相談頂いた歯科医師は延べ300名を超える。