「歯科衛生士などスタッフにやる気がない」「採用してもすぐに辞めてしまう」とお悩みではありませんか?
歯科衛生士はもっと業務に関心や責任を持って取り組んでほしい、と感じている歯科医院の院長も多いかもしれません。
しかし、日々の業務をこなしているだけではスキルアップはもちろん、モチベーションの維持は困難です。
この記事では歯科衛生士が目標を設定するメリットと設定・管理方法について、具体例を交えながら解説します。
歯科衛生士のスキルやモチベーションを上げることは歯科医院全体のサービス向上にもつながりますので、ぜひ参考にしてください。
歯科衛生士が目標を設定することの重要性
歯科衛生士をはじめ、スタッフが目標を設定することには大きなメリットがあります。
設定した目標を院長や上司と共有することで、モチベーションアップに加え早期のスキルアップやキャリアアップの実現が可能です。院長1人が目標を設定しているだけでは、歯科医院全体の成長にはなりません。
経営理念や方針をスタッフ全員で理解し、個々の役割のなかで目標を設定すれば、仕事に対するモチベーションが上がり、意志を持って取り組めるようになります。
また、目標を設定することで行うべき行動が明確になれば、自分で考えて行動できるうえ責任を持つようにもなるでしょう。
課題をクリアすることでスキルアップするとともに、達成感や人間的な成長にもつながります。
その結果、接遇や治療技術、オペレーションが円滑化し、歯科医院全体のサービス向上や業務効率化も可能となるのです。
歯科衛生士の目標を決める時に意識すべきポイント
個人に限らず歯科医院にとってもメリットが大きい目標設定ですが、どのような点を意識して行うとよいのでしょうか。
歯科衛生士が目標を設定する際のポイントについて解説します。
歯科衛生士の目標設定のポイント1.実現可能・計測可能な目標にする
高すぎる目標を掲げるのではなく、努力すれば実現できそうであり、かつ計測可能な目標設定が理想です。
現実的でない目標や、努力しなくても容易に達成できる目標では意味がありません。
また、目標達成度の計測が難しい内容も評価がしにくくなります。
効果的な目標を設定するには、ビジネスの現場で頻繁に使われる「SMARTの法則」を意識するのがおすすめです。
具体的には、目標を設定する際、以下5つの要件を満たすことを意識します。
- 具体的である(Specific)
- 測定可能である(Measurable)
- 達成可能である(Achievable)
- 関連性が高い(Relevant)
- 期限が明確である(Time-bound)
歯科衛生士の目標設定のポイント2.キャリア・スキルに沿った目標にする
前項で紹介したSMARTの法則でもあるように、設定する目標は達成可能な内容であることが大切です。
そのためには本人のキャリアやスキルに応じた、適切な目標を設定しなければなりません。
以下に例を挙げてみましょう。
- 新人の歯科衛生士:まず基本業務の習熟を目指すような目標にする
- 認定歯科衛生士を目指すスタッフ:「生活習慣病予防」など専門性を高められるような目標を設定する
個人のレベルや意思を無視した目標は現実的ではなく、むしろモチベーション低下につながる恐れがあります。
院長や管理者は、スタッフの状況や未来像などを考慮した目標が設定されているかを確認しましょう。
歯科衛生士の目標設定のポイント3.歯科医院の事業方針・コンセプトとの整合性を保つ
スタッフに目標設定・目標達成を促す目的は、歯科医院の経営改善です。
個々の能力が上がることにより、歯科医院としてのサービスも向上し、結果として経営改善につながると考えられます。
目標設定では、歯科衛生士個人としての方向性・意思も重要です。
しかし、組織の一員として仕事を行っていくうえでは、歯科医院の方針やコンセプトと合致している方が高い相乗効果が期待できます。
そのために歯科医院の方針やコンセプトをスタッフに周知・理解させることが重要です。
目標を設定する際には、院長や管理者・教育担当者などと相談しながら決めると、業務と関係のない目標や、あいまいで評価が難しい目標を避けられます。
歯科衛生士の目標の具体例
ここからはテーマごとに具体的な目標例を挙げながら、目標設定について説明していきましょう。
「何のために」取り組むのか目的を明確にし、できるだけ具体的に、結果をイメージできるような目標にすることが重要です。
ここからは、以下の5つのテーマごとに、それぞれ目標を定める意義や見込める効果、設定する際に意識すべきポイントなどを紹介します。
- スキル・治療技術
- 業務ルーティン
- メンタル・態度
- コミュニケーション・接遇
- 組織行動・チームワーク
1.スキル・治療技術に関する目標例
スキルや治療技術では、歯科治療に関する基本的な技術・知識の他、処置法・使用機材・薬剤など専門的な内容をもとに目標を設定します。
「業務内容や治療の流れをきちんと理解しているか」「薬剤や機材について知識・技術を身につけているか」といった点を意識すると、適切な段取りで業務が行え、医師の要求に応えられるサポートが可能になります。
- 技術向上のために、毎日○分自主練習を行う
- 勉強会に毎月参加し、内容をレポートにまとめて提出する
- 精密検査を10分で完了できるようにスピードアップを図る
- 治療の流れや機材操作に関するマニュアルを○月までに作成する
2.業務ルーティンに関する目標例
業務ルーティンでは専門領域ではなく、歯科医院の受付や電話応対、事務処理、治療の一般的な流れといった通常業務への理解や実践度合いを目標として設定します。
歯科治療に関する専門的知識以外の知識や常識、コスト意識や業務の効率化といった点を意識するとよいでしょう。
患者への対応や衛生面なども含まれることから、歯科医院の雰囲気やイメージにもつながると考えられます。
- 受付や診察室の清掃・整頓を毎日行う
- 顧客満足度向上のために○月までアンケートを実施し、改善策を検討する
- 予約キャンセル率を抑えるため、必ず事前確認の電話をする
- 患者さんがスムーズな説明ができるように、社会保険制度について学ぶ
3.メンタル・態度に関する目標例
メンタル・態度では歯科医院や歯科衛生士といった業種・業務に限らず、社会人としてのマナーや心構え、身だしなみといった観点から目標を設定します。
気持ちのよいあいさつや雰囲気作りなど患者への対応だけでなく、スタッフ同士の関係も意識しましょう。
勤務する歯科医院の理念やコンセプトなど、基本方針を理解することも重要です。
- ていねい、かつ正しい言葉遣いができているか、○○さんにアドバイスをもらう
- 身だしなみが整っているか、診察時間前に必ずチェックを行う
- あいさつや声かけなどを意識的に行い、患者さんやスタッフとのコミュニケーションを図る
4.コミュニケーション・接遇に関する目標例
コミュニケーション・接遇では、患者への対応や心づかいに関する内容が主な目標になります。
名前の呼び方・小さな子供への接し方・高齢者や障害者の介助など、直接患者と触れ合うタイミングに重点を置き、設定しましょう。
患者からの質問やクレームの処理といったイレギュラーな場面も意識すると、幅広く対応できます。
- 患者接遇に関する研修会に年○回参加し、内容をレポートで提出する
- 大きくはっきりとした声で、聞き取りやすい会話を心がける
- 高齢者や車椅子で来院する患者さんの誘導方法を練習する
5.組織行動・チームワークに関する具体例
組織行動・チームワークでは、基本的な業務の流れや用語、歯科治療の進め方を理解したうえで、歯科医師や他の歯科衛生士・歯科助手・事務スタッフなどと円滑に意思疎通をしながらチームプレーを遂行できるかが、重要なポイントとなります。
状況に応じた臨機応変な対応や指示、積極的なフォローといった点を意識して設定しましょう。
- 患者さんの状況を適切に判断するため、カウンセリングにヒアリングシートを作成・導入する
- 業務の妨げにならないように、小さな疑問や課題ほど早く解決する
- 周囲の状況を見てサポートできる余裕を持つため、早めに行動する
歯科衛生士の目標を運用・管理する方法
歯科衛生士の目標設定に対するポイントや具体例を紹介してきましたが、達成するためには進捗状況を把握し、サポートや振り返りを行うことが大切です。
ここでは目標の運用・管理について解説します。
目標管理シートを活用する
目標管理シートとは、各スタッフが業務目標を定め、その達成状況や評価を記入するためのシートです。
目標管理シートを導入することで、各歯科衛生士が自身の目標を日々意識し、着実な目標の達成と成長を見込めます。
課題や目標がぼんやりとしていては、具体的に何をすべきかもあいまいなままです。
きちんと明文化し、解決に向けたプロセスや具体的な行動を示すことで、自身だけでなく院長や担当者も管理がしやすくなります。
また、達成期限を定め、達成度合いを数値化すれば人事評価の参考としても活用可能です。
定期的に達成状況を確認する
目標を設定したらそれで安心するのではなく、達成への進捗状況や取り組み状況などを、定期的に院長、あるいは管理者とともに確認することが重要です。
目標を達成するためにはモチベーションの維持や課題克服といった問題が考えられますが、定期的に確認することで目標達成の意欲がわき、協力やサポートのきっかけにもなります。
また、スタッフとコミュニケーションを図れる点もメリットでしょう。
反対に目標の達成が思うようにいかないスタッフにとっては、プレッシャーに感じる場合もあるため慎重なフォローが必要です。
目標達成を支える仕組みを作る
単に「目標達成しろ!!」という一方的な上からの押し付けでは、目標管理シートを作成することが目的となる恐れがあります。
目標がノルマ化や形骸化してしまうと成長は望めません。
「一緒に成長していく」という姿勢を示し、勉強会やセミナー、外部講師による講義といった成長をサポートする機会を作ることも重要です。
振り返り・改善を行う
目標管理シートを用いながら目標の最終的な達成度や評価を、歯科衛生士本人にフィードバックすることで振り返りや改善を促し、今後の成長につなげることができます。
フィードバックを行う際は結果や行動に対して評価し、具体的な言葉で伝えることが重要です。
適切なフィードバックを行うことでスタッフのよい点を伸ばし、課題となる点を改善できます。
スタッフもより生産的な行動を選択できますし、その結果、歯科医院全体のパフォーマンス向上にもつながります。
まとめ
スタッフによる目標設定には多くのメリットがあり、達成することは医院としての目標や経営計画の実現につながります。
歯科衛生士をはじめとしたスタッフに、しっかりと目標を設定させ「目標を1つひとつ達成している」という達成感や、成長を実感させることが大切です。
モチベーションの維持は職場スタッフの満足感を高め、離職率の引き下げにも役立つでしょう。
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歯科衛生士でもある「あきばれホームページ」歯科事業部長の長谷川愛が編集長を務める歯科医院経営情報サイト「あきばれ歯科経営 online」編集部。臨床経験もある歯科医師含めたメンバーで編集部を構成。
2021年5月14日「あきばれ歯科経営 online」正式リリース。全国1,100以上提供している「あきばれホームページ歯科パック」による歯科医院サイト制作・集客のノウハウを元に、歯科医院経営を中心とした歯科医院に関する様々な情報を経営に役立つ観点からお届けする。