歯科医院の内装デザイン

自院の内装デザインにこだわることで、他の歯科医院との差別化が期待できます。新規集患やリピートにも影響するので重要な要素です。

そこで、この記事では、歯科医院の内装デザインの重要性だけでなく、内装工事にかかる費用の相場、内装デザインで意識すべきポイント、近年の内装デザインのトレンド、施工会社の選び方についても詳しく解説していきます。

「自院の内装にこだわりたい」とお考えの歯科医院の院長はぜひ参考にしてください。

歯科医院が内装デザインにこだわる重要性

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(画像=pixta)

「厚生労働白書」(令和3年版)によると、歯科医院数は2009年~2019年で約6.8万件と横ばい状態が続いていますが、歯科医師数はここ数十年増加傾向にあり、2018年時点で10万人を超えています。

その一方で人口は横ばい・減少傾向が続いてきたため、「医師・歯科医師・薬剤師統計の概況(平成30版)」によると、人口10万対歯科医師」は80.5人(2018年)と増えつつあり、集客(集患)のためには差別化が重要といえるでしょう。

差別化戦略には診療内容・スタッフの接遇といった内面的な要素だけでなく、Webサイト・ロゴといった外面的な要素も考えられます。

内装デザインもその1つで、患者にとっての居心地の良さ、安心感・信頼感を左右し、新規集患やリピートにも影響します。

自院のブランドイメージにも直結する大切な要素です。

また、スタッフが快適かつ仕事をしやすい設計となっていれば、モチベーション向上や効率アップも見込めるでしょう。

歯科医院の内装工事にかかる費用の相場

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(画像=pixta)

歯科医院の内装工事の費用は坪単価40万~100万円が目安です。

他に工事費の10~20%程度の設計監理料がかかります。

歯科医院の特性として、電気設備や水道設備が多数必要になる他、PC、ユニット、換気、医療機器用のスペースや回路も必要です。そのため、必要最低限の設備を構築するだけでも多額の内装費用がかかるでしょう。

例えばユニット数2台で8坪程度の小規模な歯科医院では坪単価100万円程度で約800万~1,000万円ほどが相場になります。

一方、40坪を超える規模だとスケールメリットが生かせるため、坪40万円台に抑えられることもあります。

さらに内装費を抑える方法として内装のグレードダウンがありますが、歯科医院は診療設備の質を保つ必要があるので、天井・床・壁などを中心に考えることになるでしょう。

ただし受付スペースの材質まで下げてしまうと、患者の満足度も下がる懸念があるので注意が必要です。

歯科医院の内装デザインで意識すべきポイント

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(画像=pixta)

歯科医院の内装デザインで意識すべきポイントには次の3つがあります。

  • 歯科医院のコンセプトを反映させる
  • ターゲットとする患者層に合わせる
  • 治療・オペレーションの効率を考慮する

それぞれ詳しく見てみましょう。

歯科医院の内装デザインのポイント1.歯科医院のコンセプトを反映させる

内装デザインの1つ目のポイントは「コンセプトの反映」です。

他の歯科医院との差別化や集客・囲い込みのためには、自院のコンセプトを整理して、内装デザインに反映する必要があります。

例えば壁紙など、院内全体の印象にかかわるような箇所には、リラックスしやすいベージュ・青・緑のようなパステルカラーを使用するのも1つの方法です。

なお、おしゃれにこだわるのもよいですが、「患者さまのプライバシーを守ること」「防音対策」「作業効率」などには注意が必要でしょう。

歯科医院の内装デザインのポイント2.ターゲットとする患者層に合わせる

2つ目のポイントは「ターゲットの患者層に合わせた内装」です。

自院がファミリー層・小児層向けなのか、若年~中年層の審美治療向けなのかで、喜ばれる内装デザインは異なります。

例えば小児層の集客を考えているのであれば、アクセントとして黄色やオレンジのような暖色系を加えるとよいかもしれません。

一方、中高年の場合は、落ち着いた雰囲気のブラウン系を加えることで、穏やかな雰囲気を演出できるのではないでしょうか。

このようにターゲット層が「居心地が良い」と感じられる内装デザインを重視しましょう。

歯科医院の内装デザインのポイント3.治療・オペレーションの効率を考慮する

3つ目のポイントは「治療・オペレーション効率を考えた内装」です。

見た目のよさだけを意識して、使い勝手が悪くなっては本末転倒です。

歯科医院の本来の目的は歯科治療なので、治療や事務仕事を効率的に進めるための機能性を意識しましょう。

例えば次のようなポイントがあります。

  • 診察室と受付の往来のしやすさ
  • 作業スペースの十分な広さ
  • 掃除しやすい環境の確保

このような効率性を考慮した内装デザインが大切です。

歯科医院の内装デザインのトレンド

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(画像=pixta)

歯科医院の内装デザインのトレンドには変化が見られます。

特に次のポイントを重視する歯科医院が増えているようです。

  • 診療ブースの個室化
  • 自然素材の活用
  • バリアフリー化

それぞれ解説していきます。

診療ブースの個室化

患者のプライバシーを守るという観点から、パーテーションの設置や診療ブースの個室化などの動きが増えています。

歯科医院の利用者は近隣住民が多いため、患者が待合室で友人・知人に偶然会ってしまうかもしれません。

しかし虫歯、歯周病、入れ歯などの話は友人にも聞かれたくないと思うのが自然です。

その場合にパーテーションを設置していれば顔を合わせるリスクを減らせますし、診察ブースを個室化していれば、歯科医とのプライベートな話を聞かれる心配もありません。

また、感染対策という観点、ドリル音などを遮断してリラックスしてもらうという効果も期待できるでしょう。

自然素材の活用

従来の白や淡いカラーの内装から、自然素材を生かした内装の歯科医院が増えています。

歯科医院の患者は治療の痛みや不安が大きいため、いかにも診療所というイメージの内装デザインでは、治療前に過度な緊張感を与えることになりかねません。

その点、木材や石材などの自然素材は安心感につながるので、カフェや美容室のようにくつろぐことができるような温かみある空間を演出できるでしょう。

歯科医院のなかには、アンティークな雰囲気で内装を統一しているところもあります。

バリアフリー化

高齢患者や小児患者にも対応できるバリアフリー化も歯科医院のトレンドです。

ベビーカーや車椅子対応として、スライド式ドア・低い受付カウンターの設置・段差の排除・介助可能な個室診療室・2タイプの診療台などを整備している歯科医院もあります。

なお、2006年に「高齢者、障害者等の移動等の円滑化の促進に関する法律(バリアフリー法)」が施行されているので、今以上のバリアフリー対応が求められるかもしれません。

歯科医院の内装の設計・施工会社の選び方

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(画像=pixta)

歯科医院の内装設計・施工会社の選び方のポイントは次の3つです。

  • 歯科医院や医療機関の実績
  • 個別の要望に対応できるかどうか
  • ワンストップで対応できるかどうか

どれも大切な要素なので、それぞれ詳しく見ていきましょう。

歯科医院の内装業者の選び方1.歯科医院や医療機関の実績があるか

内装業者の選び方として「歯科医院や医療機関の実績」が大切です。

「歯科医院の内装工事にかかる費用の相場」で解説したように、歯科医院には歯科医院ならではの設備・水道・電気などの特性があるからです。

また、患者の利便性・安心感と、オペレーションの効率も両立しなければなりません。

歯科医院の設計・施工実績が豊富な会社であれば、痒いところに手が届く提案を行ってもらえますし、事例の蓄積もあるので高品質な仕上がりを見込めるでしょう。

ただし歯科医院の内装実績が少ない場合でも、創業年数が長い会社は安定した仕事を期待できます。

そのような会社が過去に数件でも歯科医院の内装を手掛けていれば、選択肢の1つとして考慮してもよいでしょう。

歯科医院の内装業者の選び方2.個別の要望に対応できるか

内装業者選びでは「個別の要望に対応できるかどうか」もポイントです。

設計・施工内容がある程度パッケージ化されている会社の場合、費用は安くても個別の要望や独創的な内装が難しいことがあります。

一般的な内装でよければ別ですが、差別化を含めて内装デザインにこだわりたい場合は、要望に細かく対応してもらえるかどうかをチェックしましょう。

そのなかで予算に合った会社を選択することが大切です。

歯科医院の内装業者の選び方3.ワンストップで対応できるか

内装工事を依頼するパターンには以下があります。

  • 設計・施工ともワンストップ対応可の会社に依頼する
  • 設計・施工を別会社に依頼する

ワンストップ可の会社の方が費用は安く、打ち合わせも1社で済みますが、設計にこだわりたい場合は費用が高くなっても、設計・施工を別会社に依頼する方がよいでしょう。

まとめ

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(画像=pixta)

歯科医院の集客のためには内装デザインによる差別化が大切です。そして、内装デザインは新規集患やリピートに影響します。

一般的に、内装工事の費用は坪単価40万~100万円が相場です。

また、内装デザインのポイントは、自院のコンセプトを反映し、ターゲットとなる患者層に合わせながら、治療・オペレーションの効率を考えることです。

施工会社の選び方としては、歯科医院を手掛けた実績、個別の要望への対応、ワンストップ対応の3点を考慮しましょう。

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あきばれ歯科経営 online編集部

歯科衛生士でもある「あきばれホームページ」歯科事業部長の長谷川愛が編集長を務める歯科医院経営情報サイト「あきばれ歯科経営 online」編集部。臨床経験もある歯科医師含めたメンバーで編集部を構成。

2021年5月14日「あきばれ歯科経営 online」正式リリース。全国1,100以上提供している「あきばれホームページ歯科パック」による歯科医院サイト制作・集客のノウハウを元に、歯科医院経営を中心とした歯科医院に関する様々な情報を経営に役立つ観点からお届けする。