(株)ビジブルのCEOの山上真司です。
私は住宅・保険の営業経験を活かし、現在は資産運用や保険のコンサルタントとして活動しております。
年間150件の新規相談、50回ほど開催しているセミナーでは、金融業界の裏話や営業マンの本音などをお伝えしてきました。
これまで中立的な立場からお客様の問題を解決してきた中で、多くの歯科医師の先生方からご相談もお受けしてきましたが、他の相談と比べても特に「もったいない」と感じることが多くありました。
そこで、今回は相談の多い「住宅ローン」について解説します。
マイホーム購入の際によくあるお金の相談
相談1 「頭金は入れる?入れない?」
両親に「頭金は多い方がいい」「ローンは組まない方がいい」と言われ、結局どうしてよいのか分からず悩んでいるというのは、よくある相談の1つです。
もちろんご相談者ごとに異なりますが、損得だけで考えると原則「頭金は必要最低限」になります。
子ども世代と親世代とは経済状況が異なるからです。
親世代のころ、住宅ローン金利が8%超の時代がありました。
例えば借入額1000万円/金利8%/35年返済だと、返済総額は約2983万円です。
要は借りたお金の3倍返さなくてはいけない時代です。
親は「頭金貯めておきなさいね」という訳です。
一方、現在の変動金利は約0.4%です。借入額1000万円/金利0.4%/35年返済だと、返済総額は約1071万円です。
あくまでも金利が一切変動しないという前提のシミュレーションではありますが、1000万円を35年借りて、約71万円の利息で済む時代です。
要は、頑張って1000万円の頭金を用意しても「約71万円しか得しない」かもしれないということです。
従って、「頭金は最小限、住宅ローンは最大限」という選択肢も考えてみてください。
そうすることで様々なメリットが出てきます。
メリット1:住宅ローン減税で支払利息以上の節税効果がある?
住宅ローン減税は、住宅ローンを組んで住宅購入した方が、所得税・住民税の節税になる制度です。
支払う税金額からダイレクトに税額を減らせる制度なので非常にメリットがあります。
現在の金利水準で考えると、支払利息より節税額のほうが大きくなります。
従って住宅ローン減税だけ考えても、住宅ローンを組んだほうが得になります。
しかし、住宅ローン減税にも上限額があります。
融資額によっては夫婦でそれぞれローンを組むなど、最適な住宅ローンの組み方が異なってきますので注意が必要です。
メリット2:自己資金を運用に回すことで余剰資金を生むことができる
歯科医師特有の課題として「子どもの教育資金問題」や、30代は開業で駆け抜け40歳前後で住宅購入することによる「老後の住宅ローン返済問題」を抱える先生が多くいらっしゃいます。
それらの問題を解決する方法として「頭金は最小限、住宅ローンは最大限+手元資金を運用に回す」ことをお話ししています。
まず、頭金を最小限にし、マイホーム購入での大きなキャッシュアウトを防ぐことで、教育資金にお金を充てやすくなります。
例えば手元資金が1,000万円あったとしましょう。
前述のように頭金に充てても、約71万円しか得しません。
もし運用にしたらどうなるのか。
1000万円/年2%複利/35年間運用すると、運用資産額は約2012万円になり、約1012万円の利益になります。
税率約20%、住宅ローンを多く借りたことによる支払利息の増加を差し引いたとしても、約731万円増えたことになります。
その増えたお金を、教育資金や、定年・勇退時の住宅ローン一括返済費用に充てることで、ライフプランは非常に楽になります。
同じ原理で、ご両親から住宅購入の資金援助がある場合、非課税枠を使った一括贈与で頭金に充てるより、毎年暦年贈与で受け取り、そのお金を運用に回すほうがライフプランが楽になるケースもあります。
(ただしご両親のご年齢・健康状態・資産状況や、相続・贈与の一体課税による税制改正により変わってきます)
相談2.「変動金利か固定金利か」
基本的に金利が上がるのは、景気が良い時です。
景気は、人口と強い因果関係があります。
今後の日本は人口減少が予想されており、景気が上がっていくとは考えにくい状況です。
そのため基本的には「変動金利」で良いと思っています。
一方、固定金利を勧める方もいます。
それは「家計が厳しい方」です。
このような説明をするとよく「逆じゃないですか?」と言われます。
確かに変動金利のほうが返済額も少なくなり、家計は楽になります。
ですが返済額が上がった時に家計が耐えられなくなってしまい、最悪のケース、マイホームを手放さなくてはいけなくなります。
従って、家計が厳しい人ほど固定金利で組み、ライフプランに影響がない住宅予算に抑えていく必要があります。
歯科医師は「子どもの教育資金」がありますので、子どもの手が離れるまでの15年〜20年はキャッシュフローがブレないように当初10年~20年は固定金利にするなど、ライフプランをベースに考える目線も必要となります。
相談3.「住宅ローン減税が終わったら繰上返済すべき?」
「10年もしくは13年の住宅ローン減税期間が終了したら、繰上返済して残債を減らした方がいいですか?」というのもよくある質問です。
この質問に関しても、考え方は相談1と同じです。
現在の金利水準で考えると、「出来るだけ多く借り、出来るだけ長く返さない」ことが原則です。
繰上返済すべき人は「いまの毎月返済額を減らしたい時」のみと考えておくといいと思います。
幸せな人生のポイントはお金の優先順位を知ること
ローン返済のために働く計画になっていないか
住宅ローンの返済計画を立てる際に「月20万〜30万円なら返済できる」と言う歯科院長は多いですが、そもそも返済に月20万〜30万円支払う暮らしが、幸せなのかどうかを考える必要があります。
人の価値観はそれぞれで、月20万円を返済に充てるよりも、10万円だけ返済して残りの10万円で家族旅行をした方が幸せな人もいます。
人生の4大支出と言われる「住宅・教育・日々の生活・老後」のどれが充実していると幸せを感じられるのか、自分にとってのお金の優先順位を考えなければなりません。
ちなみに、ひと昔前までは「住宅」を充実させたいという方が多かったのですが、近年は「教育」と「老後」の割合が多くなりました。
その理由は時代の変化にあります。
10年前は、住宅購入者の年齢が今よりも高く、40歳前後でした。
昔は、住宅にウエイトをかけている人が多かったのです。
また、退職金や年金をきちんともらえる世代だったため「退職金で一括返済する」というプランも珍しくありませんでした。
しかし現在、住宅を購入する世代は30代前半~後半に集中しています。
これは「老後が心配なので早くローン返済を終わらせたい」という価値観によるものでしょう。
今後はライフプランを立てて、将来のキャッシュフローを把握することが、より大切な時代といえます。
まとめ
今回は住宅ローンについて解説しました。
・頭金は最小限、住宅ローンは最大限
・手元資金は運用に回す
・原則は変動金利、家計が厳しい期間は固定金利
・繰上返済すべき人は毎月返済額を減らしたい人のみ
いまは金利が約0.4%のため、頭金や繰上返済を無理にする必要はありません。
大切なのは、自分にとってのお金の優先順位を把握することです。
また、連載全体を通し顧客本位のセカンドオピニオンに出会う重要性もお伝えさせていただきました。
私のコンサルティング活動のコンセプトは「業界の裏側を知ってもらい、損をしないようにすること」です。
保険加入や住宅購入に不安やお悩みのある方は、ぜひお気軽にご相談ください。
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株式会社visible 代表取締役|歯科てっぺん塾 主宰
1986年生まれ。中央大学商学部を卒業後、大手ハウスメーカー、外資系生命保険会社、乗合保険代理店にて営業に従事。住宅業界・金融業界ともに販売がゴールである「業界の在り方」に疑問を抱く。
顧客にとって目に見える(=visible)わかりやすい業界に変えたいという想いで、2019年株式会社visibleを設立。
「知らずに損する人をゼロに」をコンセプトで業界のウラガワを伝え、クライアントと最適な答えを繋いでいる。直近1年でセミナー参加・個別相談頂いた歯科医師は延べ300名を超える。