歯科衛生士がSRPをできない?‗あきばれ歯科経営 online編集部

歯科医院(歯科診療所)を経営する院長先生の中には、「歯科衛生士がSRPが苦手・出来なくて困っている」という方も多いのではないでしょうか。

歯科衛生士が患者に余計な痛みを感じせずに効果的なSRPを行うことは、患者にとっても歯科医院にとっても重要なことでしょう。

この記事では、SRPの基本的な流れや注意点を解説していきます。

患者への術後ケアも合わせて紹介するので、歯科衛生士の技術向上にお役立てください。

SRPとは?

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(画像=pixta)

SRPとはScaling and Root Planing(スケーリング・ルートプレーニング)の略称で、プラークコントロールとともに歯周病治療における基本的処置とされています。

具体的な特徴・概要は次の通りです。

  • 歯周ポケットが形成されている箇所の縁下歯石・プラークを除去し、歯根部の表面を滑らかにする
  • 歯周ポケット内の歯石・プラークを除去することで歯肉と歯が付着し、歯周ポケットが浅くなる

SRPは歯周基本治療の根幹を担う重要な施術ですが、歯周ポケット内を目視しながらの施術が出来ない、歯肉を傷つけたり歯のセメント質や象牙質を削ってしまったりする恐れがあるといった点から、もっとも難しく熟練を要する処置でもあります。

SRPの流れを確認

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(画像=pixta)

SRPは、以下の流れで行われます。

  1. 口腔内の消毒
  2. 口腔内を観察する
  3. SRPを行う
  4. 洗浄と止血を行う

それぞれのフェーズでどのようなことを行うのか、内容と注意点を解説していきます。

効果的に歯周ポケット内の状態を把握し、歯肉や歯を傷つけずに歯石・プラークを取り除くポイントを確認していきましょう。

口腔内の消毒

まずは殺菌効果のある洗口剤を用いて口腔内を洗浄します。

口の中には細菌が多く存在しているため、患者の口腔内での感染症、エアゾルによる飛沫感染といったリスクがあります。

こうしたことを防ぐため、口腔内の消毒は重要です。

口腔内を観察する

次に、口腔内をよく観察します。

目視が難しい歯周ポケット内の歯石やプラークを確実に、そして歯や歯茎を傷つけることなく除去するために、事前に口腔内を観察し、状態を把握しておくことが重要です。

具体的には次の点を観察し、状態を確認します。

  • 口腔清掃状態の確認
  • 歯石の沈着状態:歯肉縁上・縁下の部位と量の把握
  • 歯肉の状態:歯肉の色調、形態、性状、炎症の広がりの把握
  • 歯周疾患の状態
  • 歯周ポケットの深さ

歯周ポケットの深さは歯の表面と裏面で測定し、3㎜以下なら正常~軽度、4~6㎜なら中度、7㎜以上は重度の歯周病と判断されます。

SRPを行う

施術中は血液や唾液を排除し、器具を持った手に伝わってくる感覚から、歯石や歯根面の粗さ、スケーラー刃部の適合性などを判断し進めていきます。

このときのスケーラー操作ポイント・注意点は次の通りです。

  • 歯周ポケットの浅い部分は横に振幅させるように操作
  • 歯周ポケットの深い部分は細かくジグザグに動かし歯石を引き上げる
  • 大きな歯石は上から叩くように操作
  • スケーラーは歯の面に沿わせるようにして当てる
  • スケーラーを歯周ポケットに挿入後、第一シャンクを外側に広げ過ぎない

SRPの終了は、器具の擦過音や器具から伝わってくる感覚で判断します。

歯石探知専用のプローブを用いると、歯石の残存を確認しやすくなります。

洗浄と止血を行う

SRP後は歯石片や歯質削除片が歯周ポケット内に残っている可能性があるので、次の流れで洗浄と止血を行います。

  1. 歯周ポケットの底まで挿入出来るシリンジを使い、生理食塩水で歯周ポケット内を洗浄
  2. 生理食塩水に浸した滅菌ガーゼで、唇舌側や頬舌側から挟むように2~3分押さえて止血

その後は、次回来院時に炎症の状態を確認し、改善されていない部分に再度SRPを行うことになります。

SRPがうまく出来ないときに確認したいポイント

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(画像=Paylessimages/stock.adobe.com)

SRPがうまく出来ないときには、次のポイントを確認してみましょう。

  • 患者と術者の位置:軽く肘を曲げた高さに患者の口腔がくるよう調整
  • 視野の確保とライティング:ガーゼや綿花などを活用し、防湿・止血、汚物の除去をする
  • キュレットの選択:フェイス幅は歯肉の薄さ、ブレードは歯周ポケットの深さや幅に合わせて選択
  • キュレットの操作方法:左手でシャンクを持ちレストを置き、右手でハンドルを持つ
  • シャープニングの精度:第1シャンクと歯軸を並行にしたときに刃が引っかかる70度が理想

SRPの治療後に気をつけたいポイント

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(画像=pixta)

SRPをした後は歯磨き指導や食事指導を行い、患者自身でのプラークコントロールを促します。

しかし、SRP後に行うべきことはそれだけではありません。

患者からのクレームやトラブルを避け、適切な治療を行っていくために重要なポイントを、「患者への十分な説明」「歯周組織評価」の2点から解説していきます。

患者への十分な説明

SRP後には、口腔内の不快感・疼痛・知覚過敏といった症状が生じて、患者とのトラブルに発展する場合があります。

しかし、SRP後のこうした症状の多くは数時間~数日で改善する一時的なものです。

よって、事前にその旨を患者に説明したうえで、術後の口腔清掃・食事の仕方について指導しましょう。

術後に患者自身でも止血出来ない出血や膿傷が生じた場合は速やかに連絡するよう、伝えておくこともポイントです。

患者との信頼関係の構築、今後の継続的かつ円滑な歯周病治療のためにも、患者と十分なコミュニケーションをとりましょう。

歯周組織評価

SRPは治療計画に沿って進められますが、2度目の来院時には前回の施術部位の状態を評価しなければなりません。

プラーク染色体の色素で歯肉の色調が確認しにくくならないよう、評価はプラーク染色体使用前に次の流れで行います。

  1. 歯肉表面をエアシリンジで乾燥させる
  2. 視診で歯肉の発赤、腫脹を確認する歯肉の
  3. 発赤や腫脹などがある箇所は歯周ポケット内に歯石が残存していると考えられるため、再度施術を行う

なお、各SPRの施術後の評価に加え、歯周基本治療終了時には再評価も行い、口腔内清掃状態の改善度・歯周組織の改善度を確認します。

まとめ

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(画像=Paylessimages/stock.adobe.com)

歯周病の基本的処置であるSRPをうまく行うには、歯石・プラークの状態の正確な把握、スケーラーの選択と操作、視野の確保などが重要です。

とくに新人の歯科衛生士の場合、固定観念にとらわれない柔軟なスケーラー選択が出来なかったり、施術時のレストが弱かったりしてうまくいかないことも多いでしょう。

基本的な施術方法を改めて確認するとともに、応用的なコツをつかむことがSRP上達のポイントとなります。

施術後の患者のケア・評価も含めて、患者にとってより良い歯周病治療のできる歯科衛生士を育成していきましょう。

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あきばれ歯科経営 online編集部

歯科衛生士でもある「あきばれホームページ」歯科事業部長の長谷川愛が編集長を務める歯科医院経営情報サイト「あきばれ歯科経営 online」編集部。臨床経験もある歯科医師含めたメンバーで編集部を構成。

2021年5月14日「あきばれ歯科経営 online」正式リリース。全国1,100以上提供している「あきばれホームページ歯科パック」による歯科医院サイト制作・集客のノウハウを元に、歯科医院経営を中心とした歯科医院に関する様々な情報を経営に役立つ観点からお届けする。