口腔内スキャナーの導入メリットとデメリット

口腔内スキャナーは、カメラを使って口腔内の様子を確認したり、型取りをしたりする機器です。

導入する歯科医院も増えているものの、導入しなくても問題なく治療ができている、価格が高いなどの理由から、あまり必要性がわからないという院長もいらっしゃるのではないでしょうか。

そこでこの記事では、口腔内スキャナーでできること、導入するメリット・デメリットを解説していきます。

口腔内スキャナー導入を検討する際にお役立てください。

口腔内スキャナーとは

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(画像=pixta)

口腔内スキャナーとは、口腔内の様子を小型カメラで撮影して立体画像化し、モニター上に映し出す装置のことです。

こうしたレーザーの光を使った型取りは、光学印象とも呼ばれます。

モニター上に映し出された口腔内の画像はさまざまな角度から確認できますし、拡大もできるため、細部の様子をより詳しく把握できます。

印象材を用いたアナログ式の型取りよりもひずみが生じにくい点も特徴です。

アメリカやヨーロッパでは、日常的に使われている口腔内スキャナーですが、日本での口腔内スキャナーの普及率は単体では4%程度と言われており、一般的とは言えない状況です。

導入費用が高いこと、保険適用外であることなどが普及率の低さの要因ですが、活躍の場面やメリットを考え、導入する医院も増えています。

口腔内スキャナーが活躍する場面

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(画像=pixta)

口腔内スキャナーの導入率はまだまだ低いため、活躍場面の少ない特殊な機器のように感じられるかもしれません。

しかし、実際には矯正治療やインプラント治療、虫歯や歯石の確認など、歯科医院で日常的におこなわれる治療の際に活躍します。

どのように活躍するのか、従来の方法との違いも含めて詳しく見ていきましょう。

矯正治療

矯正治療を始める前におこなう矯正検査では、粘土のようなやわらかい印象材を口に入れ、歯型を取る必要があります。

しかし、患者様にとってこの過程は苦痛を伴うものです。

印象材にはにおいや味があるため、不快感を覚えたり、嘔吐反射を起こしてしまったりする患者様もいらっしゃるのです。

口腔内スキャナーを使用すれば、印象材を使わず短時間で型取りが完了するため、患者様の負担を軽減することができます。

矯正治療では複数回型取りをすることもあるため、患者様の負担・苦痛を軽減することは、気持ちよく治療を続けてもらうためにも非常に重要です。

インプラント治療

口腔内スキャナーは、インプラント治療の術前診断でも活躍します。以下の理由からより安全かつ迅速な治療が可能になるのです。

  • 口腔内をさまざまな角度から精密に検証できるため、顎の神経・動脈・静脈の位置などを正確に把握できる
  • CT画像とも併用すると、データ上でインプラントの埋込のシミュレーションができる
  • 口腔内スキャナーのデータからサージカルガイドを作成すれば、従来式よりも精密なものが迅速にでき上がる

口腔内スキャナーを使って治療の安全性を高めることは、インプラント治療に対して患者様が抱く不安を解消することにもつながります。

虫歯や歯石の確認

口腔内スキャナーは、虫歯や歯石の確認でも活躍します。

口腔内スキャナーで取得した3D画像を使えば、モニター上で口腔内をさまざまな角度から確認できます。

よって、直接口腔内を見るだけでは見つけにくい虫歯や、噛み合わせによる磨り減り、メインテナンスで取り残した歯石などを見つけやすくなるのです。

さらに、近赤外光画像(NIRI)を撮影できる口腔内スキャナーなら、隣接面の虫歯も確認しやすくなります。

近赤外光画像では歯牙のエナメル質が透けて見えるため、エナメル質部分に虫歯があればその部分だけ白く映るのです。

口腔内スキャナーのメリット

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(画像=pixta)

治療の際に口腔内スキャナーを使うと、次のようなメリットが得られます。

  • 患者様の負担を減らすことができる
  • 治療の精度向上につながる
  • 人的ミスが削減できる

いずれも患者様の満足度や歯科医院としての質を高めるために重要なメリットです。

口腔内スキャナーの使用によりなぜ、どのようにこのようなメリットが得られるのか、見ていきましょう。

患者の負担を減らすことができる

すでに述べた通り、矯正治療などでおこなう型取りで口腔内スキャナーを使えば、吐き気・不快感など患者様が感じる負担を減らすことができます。

それに加え、口腔内スキャナーを活用すれば、以下のような患者様の負担も軽減できます。

  • 精密でひずみの少ないマウスピースの作成ができるため、マウスピース装着時の不快感を減らせる
  • 速やかに治療計画を立てられるため、早く治療を開始できる
  • 精密な矯正治療・インプラント治療が可能になり、術後の違和感・不快感を軽減できる 

治療の精度向上につながる

口腔内スキャナーの使用は、治療の精度向上にもつながります。

口腔内スキャナーで取り込んだ画像を使えばさまざまな角度から口腔内を検証できるため、見逃しがちな虫歯や歯石もしっかり治療できるようになるのです。

また、より精密なマウスピースや詰め物・かぶせ物の作成により、かぶせ物が取れる、高さや噛み合わせが合わない、かぶせ物内で虫歯が発生するといったことを防げます。

見落としややり直しの少ない精度の高い治療は、患者様の満足度・歯科医院の評判にもつながります。

人的ミスが削減できる

口腔内スキャナーの操作は、機械を使って口の中を撮影するだけの簡単なものです。

印象材を使う場合のようなひずみ、術者の技量・ミスによる精度のばらつきが生じにくく、熟練のスタッフでなくても精密な術前診断が可能になるため、人的ミスを削減できます。

さらに、口腔内スキャナーを使うと、治療の短時間化・工程の簡素化により、術者側の負担も減らせます。

これにより、疲れや集中力の低下による人的ミスの削減も期待できるでしょう。

口腔内スキャナーのデメリット

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(画像=pixtaン)

口腔内スキャナーによるスキャンは、歯の少ない人や噛み合わせが複雑な人に対してはできない場合があります。

また、口腔内スキャナーを使った治療は、現段階では保険適用外です。そのため、購入価格が高いというデメリットもあります。

口腔内スキャナーの本体価格(税別)の一例をご覧ください。

  • TRIOS 4 オーラルスキャナシステム( 3Shape社)/720万円
  • iTero エレメント2(アライン・テクノロジー社)/510万円
  • トロフィー3DIプロLite(Carestream社)/298万円
  • Aadva IOS 100(ジーシー社)/98万円

上記の費用の他、ソフトウェアライセンス費用、保守管理費用、制御用PCの購入費用も必要になる場合があります。

まとめ

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(画像=pixta)

口腔内スキャナーは矯正治療やインプラント治療、虫歯や歯石の確認の際に活躍し、患者様・術者双方の負担を軽減しながら、従来よりも精密な診断・治療を可能にします。

患者様の歯の状態によっては使えない場合があること、購入費を含めた費用が高いことはデメリットですが、「歯科治療は時間がかかる、疲れる」といったイメージを払しょくするのにも役立ちます。

導入を検討する際は、購入・運用にかかる費用と採算とのバランスを考慮しましょう。

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あきばれ歯科経営 online編集部

歯科衛生士でもある「あきばれホームページ」歯科事業部長の長谷川愛が編集長を務める歯科医院経営情報サイト「あきばれ歯科経営 online」編集部。臨床経験もある歯科医師含めたメンバーで編集部を構成。

2021年5月14日「あきばれ歯科経営 online」正式リリース。全国1,300以上提供している「あきばれホームページ歯科パック」による歯科医院サイト制作・集客のノウハウを元に、歯科医院経営を中心とした歯科医院に関する様々な情報を経営に役立つ観点からお届けする。