歯科医院の平均患者数は?将来予測と患者数を伸ばす方法も解説!深刻な悪影響と対処法_あきばれ歯科経営 online編集部

歯科医院を開業した時には個人事業主としてスタートした後、歯科医院運営が軌道に乗ってからは、法人化を検討することも大切です。

本記事では歯科医院を法人化するメリットと手続きの流れ、デメリットや注意点について解説します。

自院の事業拡大や売上アップ、節税などに関心をお持ちの歯科医院の院長先生は、ぜひ本記事の内容を参考にしてください。

歯科医院の法人化とは?

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(画像=pixta)

歯科医院の法人化とは、院長が「個人事業主」として歯科医院を運営するのではなく、「法人」(特に「医療法人」)として運営する形態にすることです。

ちなみに、法人とは「法律上の人間」という意味です。法人化することによって、院長という人間(自然人)とは別に、「法人」という書類上の人間(人格)が存在することになります。

歯科医院の法人化は一般企業に置き換えるなら「株式会社」などの設立と同様ですが、歯科医院の場合、設立するのは「医療法人」です。

院長個人とは別の存在として「法人」を作ることにより、以下のようにさまざまなメリットを得られます。

歯科医院を法人化するメリット

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(画像=pixta)

歯科医院を法人化するメリットは主に次の5つです。

  • スタッフを採用しやすくなる
  • 資金調達がしやすくなる
  • 節税効果が期待できる
  • 事業継承しやすくなる
  • 分院・売上アップがしやすくなる

それぞれのメリットについて以下で解説します。

歯科医院を法人化するメリット1:スタッフを採用しやすくなる

歯科医院を法人化すると、歯科衛生士・歯科助手などスタッフの求人に対して応募が増える効果が期待できます。

なぜなら、個人事業主の場合と異なって法人であればスタッフを雇用する場合は社会保険の適用は義務です。

必然的にスタッフ向けに健康保険や厚生年金といった社会保険を充実させることになるので、求職者にとっての魅力がアップするからです。

優秀なスタッフの採用・定着は歯科医院の運営に欠かせませんが、最近は人材不足が深刻な問題となっています。

特に、歯科衛生士については20人の歯科医院が新卒1人を奪い合う状況です。

歯科医院を法人化するメリット2:資金調達がしやすくなる

歯科医院を法人化すれば、個人事業主として運営するよりも社会的信用度がアップし、資金調達がしやすくなります。

金融機関に融資を申し込んだ場合、個人事業主であれば審査基準は院長個人に対する信用度だけです。

一方、法人であればそれなりの経営体制が整備されているとみなされます。 法人化された歯科医院なら院長の個人的事情による廃業のリスクもないため、金融機関の融資審査に通りやすくなるのです。

歯科医院の経営においては設備投資の資金調達が重要であるため、この点は大きなメリットといえます。

歯科医院を法人化するメリット3:節税効果が期待できる

個人事業主と法人では税率が異なるため、歯科医院を法人化すると節税効果が期待できます。

個人事業主の所得に適用される税金は所得税であり、2022年現在の所得税率は課税所得に応じて5〜45%の7段階設定(累進課税方式)です。

歯科医院を法人化すると、売上に対して課税される税金は所得税ではなく法人税です。

2022年現在の法人税率は、課税所得800万円以下の部分は15%、800万円超の部分には23.2%が適用されます。

つまり、売上金額によっては所得税よりも法人税の方が税率は低くなり、節税になる可能性があるのです。

また、院長への役員報酬や退職金など個人事業主では経費にできない項目も、歯科医院を法人化すれば経費に計上できます。

ただし、役員報酬は「定期的・定額」を原則とし、過大な報酬や臨時的な報酬は税務において否認される可能性がある点には要注意です。

歯科医院を法人化するメリット4:事業継承しやすくなる

歯科医院を法人化すれば、事業継承する時の手続きを簡略化できます。

個人事業主の場合、歯科医院を経営する院長が辞職する時は廃業しなければなりません。

個人事業主であっても自分の子や他の後継者に医院を譲ることは可能ですが、書類上は「院長個人=歯科医院」となっているため、院長自身は個人事業主を廃業する手続きが必要です。

一方、法人であれば、院長個人とは別に歯科医院が存在するため、廃業しなくても事業を継承できます。

また、個人事業主での事業継承の場合はスタッフとの雇用契約や資産譲渡に関する手続きが発生しますが、法人であればそれも不要です。

歯科医院を法人化するメリット5:分院・売上アップがしやすくなる

歯科医院を法人化すれば分院がしやすくなるため、歯科医院の拡大・売上アップにつながります。

個人事業主の場合は経営者と管理者(院長)を分離できない定めのため、分院を増設することはできません。

一方、医療法人化された歯科医院においては、院長以外の歯科医師が各分院の管理者になれます。

また、分院長が替わる場合の手続きも管理者の入れ替えのみと簡略化できます。

歯科医院を法人化する方法・手続きの流れ

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(画像=pixta)

歯科医院を法人化する手続きは次の3つです。

  1. 医療法人設立認可申請書と添付書類の準備・提出
  2. 都道府県医療審議会への諮問・答申
  3. 法務局での法人登記手続き

手続きの日程が限定されており、必要書類の種類や数、様式や注意事項が多岐にわたるため、準備に数ヶ月以上を要することもあります。

法人化にあたってはスケジュールに十分な余裕を持って準備を開始しましょう。

1.医療法人設立認可申請書と添付書類の準備・提出

認可申請書と添付書類の提出先は都道府県の福祉保健局です。

申請期間は都道府県により異なりますが、1年中受け付けているわけではなく、通常は期間が限られています。

申請の時期を逃さないよう、早めに申請期間を確認しておくことが大切です。

認可申請時の添付書類は定款や財産目録、役員・社員名簿など多岐にわたります。

書類ごとに様式や注意事項があるため、申請する自治体の公式ホームページなどで早めに確認しておいてください。

2.都道府県医療審議会への諮問・答申

医療審議会の開催、認可書交付の日程は都道府県により異なります。

医療審議会は通常年に3回程度開催されるもので、タイミングの合う会合で議題に挙げられることになります。

3.法務局での法人登記手続き

都道府県の認可を受けた後、2週間以内に法務局での法人登記手続きが別途必要です。

この時、医療法人設立登記申請書や定款、都道府県から発行された設立認可書、財産目録などを提出します。

歯科医院を法人化する際の注意点・デメリット

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歯科医院を法人化する際は次の点に注意が必要です。

  • 負債の引継ぎ
  • 事務作業が増えることへの対策

それぞれについて以下で解説します。

負債の引継ぎについて注意が必要

個人事業主として歯科医院を開業した際に契約した融資・ローンがある場合、それを法人に引き継ぐ方法について検討しておかなければなりません。

基本的に、個人事業主の負債と法人として受けた融資とでは名義が異なるため、別物として扱われます。

ただし、法人に拠出する資産を入手するために発生した負債に関しては、「負債残高証明及び債務引継承認願」を提出すれば法人への引き継ぎができることもあるのです。

一方、運転資金や消耗品・修繕費などに関する負債、賞与資金の短期借入金などは引き継ぐことができません。

事務作業が増えることへの対策が必要

歯科医院を法人化すると、設立時の手続きが煩雑なことにくわえて、月々の会計処理などの事務作業が個人事業主で経営している時よりも増えるため、対策が必要です。

例えば、法人としての確定申告を決算日から2ヶ月以内に行わなければなりません。

また、決算後は法務局で資産総額変更の登記申請を行い、地方自治体には事業報告等届出書を提出する必要があります。

法人には書類の準備や手続きに手間がかかり、専門知識が必要となる難易度の高い手続きも存在します。

そのため、税理士と顧問契約を結ぶなど、事務作業をスムーズに進めるための対策を練っておく必要があるのです。

まとめ

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(画像=pixta)

歯科医院の法人化には求人や資金調達、事業継承における優位性や節税効果がある他、事業拡大や売上アップにつながるなど、多くのメリットがあります。

ただし、法人化の手続きに手間と時間がかかる、また、法人への負債引き継ぎに関する注意点や事務作業増加への対策が必要になるといった点に注意が必要です。

自院を法人化する際は、スケジュールに余裕を持って準備を進めるようにしてください。

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あきばれ歯科経営 online編集部

歯科衛生士でもある「あきばれホームページ」歯科事業部長の長谷川愛が編集長を務める歯科医院経営情報サイト「あきばれ歯科経営 online」編集部。臨床経験もある歯科医師含めたメンバーで編集部を構成。

2021年5月14日「あきばれ歯科経営 online」正式リリース。全国1,300以上提供している「あきばれホームページ歯科パック」による歯科医院サイト制作・集客のノウハウを元に、歯科医院経営を中心とした歯科医院に関する様々な情報を経営に役立つ観点からお届けする。