歯科医院(歯科診療所)を経営する歯科医師のなかには、いつまで続けられるのか、引退の年齢に不安や心配を抱えている方も少なくありません。
本記事ではそんな不安や心配を抱える歯科医師のために、歯科医師の年齢別割合のデータを参考に解説します。
また、そもそも歯科医師は何歳まで続けられるのかについても様々なデータから分析いたします。
開業医が引退前に考えておきたい3つの問題についても合わせてご紹介するので、ぜひ参考にしてください。
歯科医師の平均年齢と年齢別割合
厚生労働省が発表した「令和2(2020)年医師・歯科医師・薬剤師統計の概況」によると、令和2年12月31日時点における、歯科医師の平均年齢は「52.4歳」です。
年齢階級別にみると、「50〜59歳」の歯科医師数は23,769人で、構成割合の22.8%を占めており、全体のなかで最多。
次いで「60~69 歳」の歯科医師数は23,136人で、構成割合の22.2%を占めており、2番目に多い結果となっています。
一方で、「29歳以下」の歯科医師数は6,116人で、構成割合の5.9%に留まっており、全体を通して見ると、50歳以上が歯科医師数の半数以上を占める結果でした。
歯科医師は何歳まで続けられる?
次に、歯科医師の引退の年齢について考えてみましょう。
例えば、加齢による「老眼」など、歯科治療に対する悪影響が避けられない要素があります。
しかし、歯科顕微鏡など、機具の力を借りることで、身体の衰えをカバーしながら、歯科医師を続けられる場合も少なくありません。
前章と同じく「令和2(2020)年医師・歯科医師・薬剤師統計の概況」を見ると、「70歳以上」の歯科医師数は11,731人で、構成割合の11.3%を占める結果となっています。
つまり、統計データを見ると、70歳以上になっても、現役を続けている歯科医師も少なくないことがわかるでしょう。
開業医が引退前に考えておきたい3つの問題
本章では、開業医が引退前に考えておきたい、下記の3つの問題を解説します。
- 後継者の問題
- 借入金の問題
- 引退後の資金の問題
後継者の問題
開業医が引退する際、引退後の自院の扱いに悩まれる方は少なくないでしょう。
多くの診療所で、後継者不足が課題となっており、日本医師会総合政策研究機構が発表した「医業継承の現状と課題」では、2017年時点で8割を超える診療所が後継者の不在に陥っています。
開業医の場合、ただ引退するというだけでなく、従業員が失業してしまう問題や、地域のかかりつけ医が不在になる問題など、さまざまな事柄への配慮が必要です。
今後は、親族だけでなく、第三者への承継など、さまざまな選択肢の検討が重要になります。
借入金の問題
歯科医院を開業する際の資金調達や、運営のなかでの資金調達などによって、借入金がある場合も珍しくありません。
開業した年齢や経営状況などによっては、借入金の返済計画に大きな影響を及ぼすため、事業会社の経営と同じく、歯科医院においてもライフサイクルの計画がとても重要です。
引退時に借入残積がある場合は、どのように借入残積を返済しつつ、引退後の資金確保をするかなどを含めて、引退するタイミングはもちろん、廃業なのか、承継なのかを計画する必要があります。
例えば、廃業するなら、医療機器など換金できるものを返済に含めた計画、承継の場合は、譲渡金を返済に含めた計画を立てるなどです。
引退後の資金の問題
開業医が引退する際、引退後に必要な生活費などを含めた、資金計画を考えておくことが必要になります。
基本的な引退後の資金源として、公的年金や個人年金、貯蓄や保険、金融資産の取り崩しなどが挙げられるでしょう。
また、個人医院か医療法人かによって、引退後の資金源が異なる点も、重要なポイントになります。
個人医院の場合、公的年金は国民年金のみとなりますが、医療法人の場合だと、国民年金と厚生年金を受け取ることが可能です。
このように年金はもちろん、貯蓄や保険、資産運用など、引退後の資金調達に必要な計画と対策を、早めに打っておくことが大切になります。
まとめ
本記事では、引退の年齢に不安や心配を抱えている歯科医師が知っておきたい、引退の年齢や開業医が引退する前に考えておきたいことについて解説しました。
厚生労働省の統計データを見ることで、70歳以上でも現役を続けている歯科医師の割合が10%を超えていることが分かりました。
現代の技術を用いれば、身体の衰えはある程度、器具の力を借りることでカバーできる場合も少なくないでしょう。
また、開業医が引退前に考えておきたい問題について、従業員の失業や地域のかかりつけ医がいなくなってしまう問題、借入残積の返済計画についてと、引退後の生活に必要な資金確保の問題など、引退の年齢を含めて、事前に計画しておくとこが重要です。
ぜひ、本記事で解説した情報を、ご自身の引退の年齢や引退前に考えておきたい問題について、ご検討する際の参考にしてください。
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歯科衛生士でもある「あきばれホームページ」歯科事業部長の長谷川愛が編集長を務める歯科医院経営情報サイト「あきばれ歯科経営 online」編集部。臨床経験もある歯科医師含めたメンバーで編集部を構成。
2021年5月14日「あきばれ歯科経営 online」正式リリース。全国1,300以上提供している「あきばれホームページ歯科パック」による歯科医院サイト制作・集客のノウハウを元に、歯科医院経営を中心とした歯科医院に関する様々な情報を経営に役立つ観点からお届けする。